ボクとサナ ~淫魔はミステリーに恋し、ロジックを愛する~

papporopueeee

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6. 証言:倉持 嶺二

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『最初は威勢よかったのになぁ。中折れしちまったか?』
『う、うるさいな……。サナは何か気付いたところとかないの?』
『まったくねぇな。アタシはあくまでいち観客として楽しませてもらってるぜ?』
『ミステリ好きのくせに役に立たない……』
『ククッ、だったら”確認”でも使ってみるか?』

 確かに”確認”を使えば新たな情報を得ることはできる。
 しかし、確認に対してサナが”NO”と答えた時の浸食はいまの比ではない。
 代償の重さも一気に跳ね上がってしまう。

 ”確認”はもっと盤面が煮詰まった時、その名前通り確認のために使うべき力だ。
 いまはまだ思考に時間を割くべきだろう。

「……」

 思考を巡らせていると、先ほどの嶺二と三葉のやりとりが思い起こされた。
 嶺二が声を荒げたあの時の言葉……。

 ”純夏が犯人でないのなら、嶺二が犯人である”。

 それは当たり前の話だ。
 容疑者が2人いて、片方が犯人じゃなければもう片方が犯人なのは当然だ。

 しかし嶺二に怪しいところは見受けられない。
 これでは純夏を信じたくても、嶺二を疑うことはできない。

 だったら、嶺二を犯人だと決めつけてみようか。
 怪しいから疑うのではなく、最初から嶺二を犯人だと仮定してみよう。

 その上で、どうやって嶺二を告発するかを考えるのだ。

「……もしも……もしも倉持先輩が犯人なのだとしたら、プリンを食べたタイミングは放課後の入室直後しかありえない」
「おい、まだ僕を疑っているのか?」
「あくまでもしもの話です。倉持先輩がプリンを食べることが出来たのは、先輩が一人だったのは部室に入ってから相田先輩が来るまでの間だけですよね」
「そうだよ、その短い時間だけだ。だから僕は疑わしくないんだろ?」

 嶺二の言葉は聞き流す。
 疑わしくないとかはどうでもいい。

 いまだけは、プリンを食べたのは嶺二で確定しているのだ。

 入室直後に嶺二は冷蔵庫からプリンを取り出して食べた。
 巨大プリンは食べるのに時間がかかっただろう。
 食べ終わってから三葉が入室するまでに大した時間は経過していないはずだ。

 嶺二はその短い時間で自身がプリンを食べた痕跡を隠した。
 入室した三葉からも疑われないくらいに、完璧に証拠を隠滅し…………。

 そうだ、容器……プリンの容器はどこにいった?

 巨大プリンの容器は当然のようにプリンよりも大きい。
 そう簡単に処分できる物ではない。

 昼休みに純夏が食べたのだとしたら処分も可能だろう。
 放課後に嶺二が食べたのだとしたら、はたして処分はできただろうか。

 処分が不可能であれば、残された選択は隠すことだけだ。
 そして嶺二が容器を隠すことができたとしたら、それは部室の中か、もしくは――

 シオンの視線が無意識に動き、瞳と嶺二が一直線に並ぶ。

「な、なんだよ」

 シオンが視線を向けた先。
 テーブルの上の嶺二の鞄。

 まるで視線を遮るように、嶺二の体は鞄の前に陣取られていた。
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