17 / 68
6. 証言:倉持 嶺二
4
「倉持先輩。どうして嘘を吐くんですか?」
「はぁ? 嘘? 僕がいったいどんな嘘を吐いているって言うんだ?」
「それは――」
” っ……鞄の中は教科書と、筆記用具と……あとはフィルムカメラだよ ”
「倉持先輩、どうして鞄の中身について嘘を吐くんですか? カメラなんて、その鞄には入っていないですよね」
「ハッ、キミこそ何を根拠に僕が嘘を吐いているなんて断言しているんだ? 中身を見てもいないのに、どうして鞄にカメラが入っていないとわかる」
「中身を見なくたってわかりますよ、その鞄の中にカメラが入っていないことくらい。むしろ、カメラが入っていたとしたら、倉持先輩は写真部を辞めたほうがいいと思います」
「はぁっ? どうして僕がそんなことをキミに言われなきゃ――」
「投げましたよね、さっき」
” 嶺二は不機嫌そうに持っていたカバンをテーブルの上に放り投げると、ドカッと椅子の上に腰を下ろした。 ”
「……っ!?」
「あなたは先ほど鞄をテーブルの上に放り投げた。その椅子に座る直前です。憶えていますよね」
「そ、それは……っ」
余裕を湛えていた嶺二の顔が崩れていく。
おそらく意識していなかった何気ない行動だったのだろう。
だからこそ、指摘に対して咄嗟の言い繕いが間に合わない。
「倉持先輩は写真部でも随一のカメラ派なんですよね? そんなあなたが、カメラの入った鞄をあんなにも乱暴に投げ捨てた。これはあり得ることなんですか?」
「……ちょっと考えられないわね。レイくん、誰にも触らせないくらい自分のカメラに対しては神経質だし」
「っ……い、苛ついてたから、つい投げてしまったんだ! 人間なんだから、そういうミスをしてもおかしくないだろ」
嶺二はまだ嘘を認める気はないらしい。
それならそれで構わない。
嘘であるという証拠を見せつければ、否が応にも認めざるを得ないだろう。
「相田先輩、1つお願いがあるのですが」
「なに?」
「この部室の中から、倉持先輩のカメラを探してもらえないでしょうか?」
「なっ!?」
「ボクの推理では、あの鞄の中にはカメラは入っていません。でも倉持先輩は毎日学校にカメラを持ってきているんですよね。そうなると、倉持先輩のカメラがどこにあるかを考えた時、部室の可能性が一番高いと思うんです」
嶺二が放課後に1人になれたのはこの部室の中だけだ。
カメラを鞄から取り出したのが放課後以外になければ、その所在もこの部屋以外にありえない。
「……思音くんの推理が合ってるなら、多分この棚が一番可能性が……あっ――」
「か、勝手に触らないでください!」
三葉が棚の引き出しを開けた途端に、嶺二が立ち上がって大声を上げた。
「さ、触らないわよ……レイくんがカメラ大事にしてるの知ってるし……。でも、あったわ。確かに、このカメラはレイくんがいつも持ち歩いている物ね」
「だそうです……倉持先輩?」
「はぁ? 嘘? 僕がいったいどんな嘘を吐いているって言うんだ?」
「それは――」
” っ……鞄の中は教科書と、筆記用具と……あとはフィルムカメラだよ ”
「倉持先輩、どうして鞄の中身について嘘を吐くんですか? カメラなんて、その鞄には入っていないですよね」
「ハッ、キミこそ何を根拠に僕が嘘を吐いているなんて断言しているんだ? 中身を見てもいないのに、どうして鞄にカメラが入っていないとわかる」
「中身を見なくたってわかりますよ、その鞄の中にカメラが入っていないことくらい。むしろ、カメラが入っていたとしたら、倉持先輩は写真部を辞めたほうがいいと思います」
「はぁっ? どうして僕がそんなことをキミに言われなきゃ――」
「投げましたよね、さっき」
” 嶺二は不機嫌そうに持っていたカバンをテーブルの上に放り投げると、ドカッと椅子の上に腰を下ろした。 ”
「……っ!?」
「あなたは先ほど鞄をテーブルの上に放り投げた。その椅子に座る直前です。憶えていますよね」
「そ、それは……っ」
余裕を湛えていた嶺二の顔が崩れていく。
おそらく意識していなかった何気ない行動だったのだろう。
だからこそ、指摘に対して咄嗟の言い繕いが間に合わない。
「倉持先輩は写真部でも随一のカメラ派なんですよね? そんなあなたが、カメラの入った鞄をあんなにも乱暴に投げ捨てた。これはあり得ることなんですか?」
「……ちょっと考えられないわね。レイくん、誰にも触らせないくらい自分のカメラに対しては神経質だし」
「っ……い、苛ついてたから、つい投げてしまったんだ! 人間なんだから、そういうミスをしてもおかしくないだろ」
嶺二はまだ嘘を認める気はないらしい。
それならそれで構わない。
嘘であるという証拠を見せつければ、否が応にも認めざるを得ないだろう。
「相田先輩、1つお願いがあるのですが」
「なに?」
「この部室の中から、倉持先輩のカメラを探してもらえないでしょうか?」
「なっ!?」
「ボクの推理では、あの鞄の中にはカメラは入っていません。でも倉持先輩は毎日学校にカメラを持ってきているんですよね。そうなると、倉持先輩のカメラがどこにあるかを考えた時、部室の可能性が一番高いと思うんです」
嶺二が放課後に1人になれたのはこの部室の中だけだ。
カメラを鞄から取り出したのが放課後以外になければ、その所在もこの部屋以外にありえない。
「……思音くんの推理が合ってるなら、多分この棚が一番可能性が……あっ――」
「か、勝手に触らないでください!」
三葉が棚の引き出しを開けた途端に、嶺二が立ち上がって大声を上げた。
「さ、触らないわよ……レイくんがカメラ大事にしてるの知ってるし……。でも、あったわ。確かに、このカメラはレイくんがいつも持ち歩いている物ね」
「だそうです……倉持先輩?」
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。