ボクとサナ ~淫魔はミステリーに恋し、ロジックを愛する~

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6. 証言:倉持 嶺二

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「倉持先輩。どうして嘘を吐くんですか?」
「はぁ? 嘘? 僕がいったいどんな嘘を吐いているって言うんだ?」
「それは――」



” っ……鞄の中は教科書と、筆記用具と……あとはフィルムカメラだよ ”



「倉持先輩、どうして鞄の中身について嘘を吐くんですか? カメラなんて、その鞄には入っていないですよね」
「ハッ、キミこそ何を根拠に僕が嘘を吐いているなんて断言しているんだ? 中身を見てもいないのに、どうして鞄にカメラが入っていないとわかる」
「中身を見なくたってわかりますよ、その鞄の中にカメラが入っていないことくらい。むしろ、カメラが入っていたとしたら、倉持先輩は写真部を辞めたほうがいいと思います」
「はぁっ? どうして僕がそんなことをキミに言われなきゃ――」
「投げましたよね、さっき」

” 嶺二は不機嫌そうに持っていたカバンをテーブルの上に放り投げると、ドカッと椅子の上に腰を下ろした。 ”

「……っ!?」
「あなたは先ほど鞄をテーブルの上に放り投げた。その椅子に座る直前です。憶えていますよね」
「そ、それは……っ」

 余裕を湛えていた嶺二の顔が崩れていく。

 おそらく意識していなかった何気ない行動だったのだろう。
 だからこそ、指摘に対して咄嗟の言い繕いが間に合わない。

「倉持先輩は写真部でも随一のカメラ派なんですよね? そんなあなたが、カメラの入った鞄をあんなにも乱暴に投げ捨てた。これはあり得ることなんですか?」
「……ちょっと考えられないわね。レイくん、誰にも触らせないくらい自分のカメラに対しては神経質だし」
「っ……い、苛ついてたから、つい投げてしまったんだ! 人間なんだから、そういうミスをしてもおかしくないだろ」

 嶺二はまだ嘘を認める気はないらしい。

 それならそれで構わない。
 嘘であるという証拠を見せつければ、否が応にも認めざるを得ないだろう。

「相田先輩、1つお願いがあるのですが」
「なに?」
「この部室の中から、倉持先輩のカメラを探してもらえないでしょうか?」
「なっ!?」
「ボクの推理では、あの鞄の中にはカメラは入っていません。でも倉持先輩は毎日学校にカメラを持ってきているんですよね。そうなると、倉持先輩のカメラがどこにあるかを考えた時、部室の可能性が一番高いと思うんです」

 嶺二が放課後に1人になれたのはこの部室の中だけだ。

 カメラを鞄から取り出したのが放課後以外になければ、その所在もこの部屋以外にありえない。

「……思音くんの推理が合ってるなら、多分この棚が一番可能性が……あっ――」
「か、勝手に触らないでください!」

 三葉が棚の引き出しを開けた途端に、嶺二が立ち上がって大声を上げた。

「さ、触らないわよ……レイくんがカメラ大事にしてるの知ってるし……。でも、あったわ。確かに、このカメラはレイくんがいつも持ち歩いている物ね」
「だそうです……倉持先輩?」
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