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12. 推理:鍵
1
津から説明されたセキュリティを考えると、今回のプリン泥棒がこのマスターキーを使ったとは考えにくい。
『当てが外れちまったなぁ?』
『まだ、このセキュリティに何かしらの細工をして持ち出した可能性も――』
『クックッ、仮に細工があったとして、お前にそれがわかるのか?』
わかるわけがない。
アナログならともかく、こんな電子的なセキュリティを欺いたとしたら素人では手が付けられない。
『……サナ、”確認”だ』
『来ると思ってたぜ』
『”プリンを食べた犯人は職員室で保管されているマスターキーを使用していない”』
『”YES”』
手の甲に刻まされた浸食がピンク色に発光する。
10センチ近くまで食い込んだ痣は緩いカーブを作り、ハートの紋様を描き出し始めていた。
「……佐藤先生、もう一つのマスターキーについても話を伺えますか?」
「用務員が管理している方ですか? 申し訳ありませんが、私はそちらについては詳しくは知りません。完全に管轄が違いますので、余程の理由がない限り学校側の人間がそちらを借用することはできない。言えるのはそれくらいでしょうか」
「そうですか……」
津の言葉通り、教師であろうと生徒であろうと用務員からマスターキーを借りるのはおかしい。
それは部室への侵入よりも目立つ行為であり、密かに部室に侵入するために目立ってしまっては本末転倒だ。
用務員が管理しているマスターキーのセキュリティも、職員室側とそう大差はないだろう。
この学校の全ての扉を開けられる鍵が、易々と盗み出せるような保管をされているはずがない。
マスターキーの線は完全に外れのようだ。
『はぁ……。サナ、もっかい”確認”』
『頻発するねぇ。そんな調子で大丈夫か?』
『推理が煮詰まってきてる証拠だよ。一周して元に戻って来たって感じだけど……』
既に”確認”で写真部部室の鍵を使用した人間は3人で確定してしまっている。
マスターキーの線を完全に消せば、容疑者は純夏と嶺二のふたりだけに逆戻りだ。
2人の容疑を晴らすためにこの職員室まで来たというのに、2人しかありえないという結論を出すことになってしまうのは心苦しくはある。
「相田さん、少し部室の鍵を見せていただいてもいいですか?」
「いいけど、何に使うの?」
「いえ、まあ……ちょっと」
「? まあ、いいけど。はい、どうぞ」
三葉は怪訝な顔をしつつも鍵をシオンへ手渡した。
「ありがとうございます……」
小さな鍵を握りしめると、ギザギザとした形が掌に刺さって少し痛んだ。
探偵は真実の味方。
サナの言葉を胸に、シオンは”確認”の言葉を告げた。
『”プリンを食べた犯人は、いま十八女思音の手の中にある鍵を使用して部室に入った”』
『”NO”』
「…………え?」
シオンの声は心の中を飛び出して、空気を震わせていた。
『当てが外れちまったなぁ?』
『まだ、このセキュリティに何かしらの細工をして持ち出した可能性も――』
『クックッ、仮に細工があったとして、お前にそれがわかるのか?』
わかるわけがない。
アナログならともかく、こんな電子的なセキュリティを欺いたとしたら素人では手が付けられない。
『……サナ、”確認”だ』
『来ると思ってたぜ』
『”プリンを食べた犯人は職員室で保管されているマスターキーを使用していない”』
『”YES”』
手の甲に刻まされた浸食がピンク色に発光する。
10センチ近くまで食い込んだ痣は緩いカーブを作り、ハートの紋様を描き出し始めていた。
「……佐藤先生、もう一つのマスターキーについても話を伺えますか?」
「用務員が管理している方ですか? 申し訳ありませんが、私はそちらについては詳しくは知りません。完全に管轄が違いますので、余程の理由がない限り学校側の人間がそちらを借用することはできない。言えるのはそれくらいでしょうか」
「そうですか……」
津の言葉通り、教師であろうと生徒であろうと用務員からマスターキーを借りるのはおかしい。
それは部室への侵入よりも目立つ行為であり、密かに部室に侵入するために目立ってしまっては本末転倒だ。
用務員が管理しているマスターキーのセキュリティも、職員室側とそう大差はないだろう。
この学校の全ての扉を開けられる鍵が、易々と盗み出せるような保管をされているはずがない。
マスターキーの線は完全に外れのようだ。
『はぁ……。サナ、もっかい”確認”』
『頻発するねぇ。そんな調子で大丈夫か?』
『推理が煮詰まってきてる証拠だよ。一周して元に戻って来たって感じだけど……』
既に”確認”で写真部部室の鍵を使用した人間は3人で確定してしまっている。
マスターキーの線を完全に消せば、容疑者は純夏と嶺二のふたりだけに逆戻りだ。
2人の容疑を晴らすためにこの職員室まで来たというのに、2人しかありえないという結論を出すことになってしまうのは心苦しくはある。
「相田さん、少し部室の鍵を見せていただいてもいいですか?」
「いいけど、何に使うの?」
「いえ、まあ……ちょっと」
「? まあ、いいけど。はい、どうぞ」
三葉は怪訝な顔をしつつも鍵をシオンへ手渡した。
「ありがとうございます……」
小さな鍵を握りしめると、ギザギザとした形が掌に刺さって少し痛んだ。
探偵は真実の味方。
サナの言葉を胸に、シオンは”確認”の言葉を告げた。
『”プリンを食べた犯人は、いま十八女思音の手の中にある鍵を使用して部室に入った”』
『”NO”』
「…………え?」
シオンの声は心の中を飛び出して、空気を震わせていた。
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