ボクとサナ ~淫魔はミステリーに恋し、ロジックを愛する~

papporopueeee

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21. 追及:証拠

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『…………写真?』
『……どうしたぁ? シオン』
『…………っ…………ぇっ………ぁっ!』
『クックッ……まるで、愛に目覚めたような顔だなぁ? アタシに惚れ直したか?』
『…………サナ……全部、わかってて?』
『んー?』

 振り向くと、サナはいつもと同じニタニタとした笑みを湛えて居た。

 その表情の奥底に隠された真意を見抜けたことは、シオンには一度もない。

『……どっちでもいいや。とりあえず……ありがと』
『ああ、シオンに感謝されるのは悪い気持ちじゃあねえな。よくわからねえが、どういたしましてと言っておくぜ?』



「烏丸くん、待って!」
「十八女……」

 シオンの声に反応して、純夏の歩みが止まった。

 もう純夏と津の間の距離は1メートル程度になってしまっている。
 後数秒遅れていたら事が始まってしまっていただろう。

「……証拠、あるのか?」

 懐疑的な純夏の声。
 その声に、シオンは堂々と返事をした。

「うん。ごめん、不安にさせちゃって。ちゃんと、無理やりじゃなくても証明してみせるから」
「……そうか」

 そう言うと、純夏は素直に引き下がった。
 嶺二を引きずったまま。

「……お礼を言うべきですかね。十八女君がハッタリをきかせてくれなければ、私が不当な暴力に見舞われるところでしたから」
「ハッタリでもなければ、不当でもないですよ。暴力は認められないですけど……それでも、先生。あなたは烏丸くんから怒りを向けられても仕方のない人ですから」
「……そう言うのならば言葉ではなく証拠で示すべきでは? 探偵君」
「もちろん、言われなくてもそのつもりです」

 シオンの言葉に、津が少しだけ眉根を寄せた。
 急に自信に満ち溢れたシオンを訝しんでいるようだ。

「……それではさっそく見せてもらいましょうか。私がこのUSBメモリで盗撮をしていたという妄言を証明する証拠を」
「いえ、見せることはできません」
「は……? ははっ、何を可笑しなことを。まさか、妄言を証明するのは君の脳内にある妄想とでも言いたいのですか?」

 証拠を見せることはできない。
 その言葉を証拠が存在しないと受け取ったのか、津は笑いを漏らし始めた。

 余程シオンのことを見くびっているらしい。
 そうでもないと、そんな早計な勘違いは起こさないだろう。

「違いますよ。見せることができないと言ったのは、ここでは無理というだけです。証拠は写真部部室にあります」
「部室に……?」

 疑問の声を漏らしたのは三葉だった。

「佐藤先生、あなたはそのUSBメモリは最近買ったんでしたよね。それも、前に使っていた物と同じモデルを」

” あれ? そのUSBメモリ……先生、それ前のと同じやつッスよね? ”

 それは、今日初めて職員室の津を訪ねた際に純夏が発言していたことだ。

「ええ、そうですよ。それが何か?」
「そのUSBメモリが盗撮カメラだった場合、前に使っていた物も同じく盗撮カメラだったと考えられます」
「これが盗撮カメラだったとしたら、そうでしょうね」
「では、そもそもどうして先生はUSBメモリを買い直す必要があったのでしょうか?」
「……俺が壊したからだ」

” いや、その……踏んじまったんだよ。佐藤先生のUSBを ”
” 踏んだだけじゃないよね、カラスくん? ”
” 粉々に粉砕してたよな、烏丸 ”

 やらかし体質の純夏は、以前に津のUSBメモリを踏んで壊していた。

「そんなことは私もわかっています。結局、十八女君はいったいなにが言いた…………っ!」

 津の顔色がみるみるうちに青白く染まっていく。
 額にも汗が浮かび始め、キレイに整えられていた七三ヘアーも崩れ始めていた。

「ま、まさか……っ! そ、そうだ、確か……!」

 津は呻くような声を上げるとまっすぐに三葉を睨んだ。
 盗撮の証拠を撮影していた、写真部部長を。

「気付いたようですね。いえ、正しくは思い出したのでしょうか。あなたのそのUSBメモリ。その中身を写した写真が存在することを」

” カラスくんのやらかしシリーズなら全部保管してありますよ!
  USBメモリの写真も粉々具合から、
   やらかした瞬間のカラスくんの表情までバッチリ ”

「うっ……ぐっ……!」
「これから、部室に行って件の写真を確認しましょう。もしも写真に写っているUSBメモリの破片に不審な物が混ざっていれば、そのUSBメモリを直接調べる理由としては十分です。そうですよね?」
「ぐぅっ!!」
「もちろん、先生も部室まで同行してくださいね。そのUSBメモリもちゃんと持って」
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