ボクとサナ ~淫魔はミステリーに恋し、ロジックを愛する~

papporopueeee

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22. 調査:写真

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「……本当に、やるのか?」

 嶺二の声は細く震えていた。

「僕にだって、見分けられるかどうかなんてわからない。そりゃ、相田さんと烏丸よりはマシだろうけど……。でも、僕はフィルムカメラは好きだけど、ビデオカメラもUSBメモリも専門外だ。それなのに、僕に見分けられるかどうかなんて……! 最初から、プロの人に任せたほうがいいに決まってる! 写真はどこにだって待ち運びできるんだから、いまここで確かめなくても……!」

 それはシオンが見た、初めての嶺二の弱音だった。

『おいおい、こいつらに任せて大丈夫かぁ?』
『ボクよりはマシだよ。そう判断したから、ボクが門番してるんだし』
『それにしたってよぉ……。鑑識が自信なさ気に挙げた証拠なんて信用されないぜ?』
『自信がないって言うより、不安なんだよ。先生を告発したのはボクだけど、結局決定権があの3人に委ねられちゃったから』

 写真から盗撮カメラの痕跡を発見すると言うことは、面と向かってお前が盗撮犯だと宣言するようなものだ。
 仮にあの写真に証拠が残っていても、気づかなかったフリをすれば証拠はなかったことにされてしまうのだから。

『人を犯人扱いするのって、結構キツいんだよ。間違ってたらどうしようって不安だし、そもそも人を攻撃するのに慣れてないし……。サナからの“確認“を使えるボクでもそうなんだから、2人から押し付けられちゃったら萎縮もしちゃうよ』
『だったらどうする? あの長髪が言う通り専門家に依頼するのか?』
『それも考えてるけど、時間が空くと先生にも猶予を与えちゃうし……。結局判断がつかなかったらプロに頼るしかないから、最初から頼んじゃってもよくはあるんだけど……でも――』

「ダメだよ、レイくん」

 それは空気を切り裂くような、キッパリとした言い方だった。

「プロに任せたほうがいいのは当然だよ。だけど、先生を疑ってるのは私たちだから……だから、まず私たちがやらないとダメなの。疑ってる人が自分で確認しないと、結果を心の底から信じられないから」
「……」
「ごめんね、押し付けるようなこと言っちゃって。私もカラスくんもちゃんと確認するし、レイくん一人に責任を押し付けるようなことはしないから。ただ、頼りにしてるっていうのは本当だけど」

 三葉の言葉を受けて、強張っていた嶺二の肩が少し緩んだ。

「……相田さんも、さっきまでもう止めようとか言ってたくせに」
「誰かさんがカッコつけるから、私もカッコつけたくなっちゃったの」
「べっ、別に、俺はカッコつけたかったわけじゃないっスよ?」
「……誰もカラスくんのことなんて言ってないけど?」
「あっ!」
「ふっ……それじゃあ、僕も烏丸を見習ってカッコつけようかな」
「うん、よろしく。確か、次のページにあったはずだから――」

 そう言って、三葉はページをめくった。
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