61 / 68
23. 真相:犯人
2
「これでもういいでしょ? カラスくんから足を退けて!」
「嫌です」
「なっ!? さっき約束したじゃない! 写真を食べたら――」
「もうひどいことはしない……確かにそう約束はしましたね。しかし、私は烏丸君にひどいことをしているという自覚はありませんので。これも、ただ床に落ちているゴミを踏んでいるにすぎません、よっ!」
「ゔっ!!」
「や、止めてってば!」
純夏への暴力に耐えられなくなった三葉が津の体へと掴みかかる。
「おやおや――」
しかし女子高生と成人男性の体格差では敵うはずもなく――
「きゃっ!?」
「わざわざ捕まりに来てくれるとは、おかげで手間が省けました。相田さんは教師思いの生徒ですね」
津は無理やり三葉を抱き込むと、その首へ腕を回して羽交い絞めにした。
「皆さん、大人しくしていてくださいね。でないと、相田さんが苦しい思いをしてしまいますよ?」
「うっ、くっ……!」
部室の中に三葉の苦悶の声が響く。
純夏だけでなく三葉まで人質にされたことによって、シオンと嶺二は完全に身動きが取れなくなってしまった。
「うん、聞き分けが良くていいですね。やはり生徒とはそうでなくては。では、倉持君?」
「っ、な、なんですか」
「先ほどの写真。まだそのPCにデータが残っていますよね? 消してください」
「……そのデータをPCに保存したのは相田さんです。僕にはどこに保存してあるかわかりません」
「そうですか……。倉持君はまだ状況をきちんと理解できていないようですね?」
「っ、くっ、かはっ……!」
「あ゙っ! がぁっ!?」
三葉の息苦しそうな声と、純夏が痛みに耐える悲鳴。
できるできないではなく、嶺二は写真を消さなければならない。
津はそう言っていた。
「わ、わかりました! 消す! 何とか探して消すから!」
嶺二はPCに飛びつくと、慌ててその操作を始めた。
完全に津に場を支配された。
人質により皆は言いなりで、証拠は着々と消されていってしまう。
『よう、役立たず。いつまで突っ立ってるんだ?』
『だって、こんな状況で……どうすればいいの……?』
シオンにできることは推理することだけだ。
荒事に対して取れる手段なんて持ち合わせていない。
『できることをすればいいじゃねえか。各々が自分にできる精一杯をすれば、事態は好転するもんだろ?』
『でも、いったい何を推理すれば……』
『あの変態教師が嫌がることだよ。犯人が人には知られたくないことを推理して、その恥部を公に晒してやんな』
『佐藤先生が知られたくないこと?』
『まだ謎が残ってただろ?』
『……?』
やれやれと溜息を吐いた後、サナは唇をシオンの耳に当てて囁いた。
『ここまでやりたい放題なんだ。あいつは自分が犯人だって認めたも同然じゃねえか。盗撮と、そしてもう一つのよ?』
『……プリンの盗み食い』
それはずっと謎だったこと。
『……どうして犯人はプリンを食べたんだろう』
「嫌です」
「なっ!? さっき約束したじゃない! 写真を食べたら――」
「もうひどいことはしない……確かにそう約束はしましたね。しかし、私は烏丸君にひどいことをしているという自覚はありませんので。これも、ただ床に落ちているゴミを踏んでいるにすぎません、よっ!」
「ゔっ!!」
「や、止めてってば!」
純夏への暴力に耐えられなくなった三葉が津の体へと掴みかかる。
「おやおや――」
しかし女子高生と成人男性の体格差では敵うはずもなく――
「きゃっ!?」
「わざわざ捕まりに来てくれるとは、おかげで手間が省けました。相田さんは教師思いの生徒ですね」
津は無理やり三葉を抱き込むと、その首へ腕を回して羽交い絞めにした。
「皆さん、大人しくしていてくださいね。でないと、相田さんが苦しい思いをしてしまいますよ?」
「うっ、くっ……!」
部室の中に三葉の苦悶の声が響く。
純夏だけでなく三葉まで人質にされたことによって、シオンと嶺二は完全に身動きが取れなくなってしまった。
「うん、聞き分けが良くていいですね。やはり生徒とはそうでなくては。では、倉持君?」
「っ、な、なんですか」
「先ほどの写真。まだそのPCにデータが残っていますよね? 消してください」
「……そのデータをPCに保存したのは相田さんです。僕にはどこに保存してあるかわかりません」
「そうですか……。倉持君はまだ状況をきちんと理解できていないようですね?」
「っ、くっ、かはっ……!」
「あ゙っ! がぁっ!?」
三葉の息苦しそうな声と、純夏が痛みに耐える悲鳴。
できるできないではなく、嶺二は写真を消さなければならない。
津はそう言っていた。
「わ、わかりました! 消す! 何とか探して消すから!」
嶺二はPCに飛びつくと、慌ててその操作を始めた。
完全に津に場を支配された。
人質により皆は言いなりで、証拠は着々と消されていってしまう。
『よう、役立たず。いつまで突っ立ってるんだ?』
『だって、こんな状況で……どうすればいいの……?』
シオンにできることは推理することだけだ。
荒事に対して取れる手段なんて持ち合わせていない。
『できることをすればいいじゃねえか。各々が自分にできる精一杯をすれば、事態は好転するもんだろ?』
『でも、いったい何を推理すれば……』
『あの変態教師が嫌がることだよ。犯人が人には知られたくないことを推理して、その恥部を公に晒してやんな』
『佐藤先生が知られたくないこと?』
『まだ謎が残ってただろ?』
『……?』
やれやれと溜息を吐いた後、サナは唇をシオンの耳に当てて囁いた。
『ここまでやりたい放題なんだ。あいつは自分が犯人だって認めたも同然じゃねえか。盗撮と、そしてもう一つのよ?』
『……プリンの盗み食い』
それはずっと謎だったこと。
『……どうして犯人はプリンを食べたんだろう』
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。