ボクとサナ ~淫魔はミステリーに恋し、ロジックを愛する~

papporopueeee

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24. 最終推理

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 津がプリンを食べなければ、合鍵の所持が発覚することもなく、盗撮が露見することもなかった。
 津の目的が部室の盗撮であるならば、プリンを食べるという行為は自身を窮地に追いやることに等しい。

 誰にも知られることもなく、教師生活を続けながら盗撮することが津の理想であるとすれば、それを邪魔したのは紛れもなく津自身だ。
 津の行動は明らかな矛盾を抱えている。

『サナは何かわかってるの?』
『わかってると思うのか?』
『……』
『なんだ、その物欲しそうな顔はよ? キス待ちか?』
『いや、うん……そうだよね。探偵であるボクが推理しないと』
『クックッ、動けなくされたって探偵には関係ねえ。思考は誰にも止められねえからな』

 推理することで状況が好転するかはわからない。
 推理の先に津にとって不利な情報が待っているかもわからない。

 それでもサナの言う通り、いま自分にできることをしよう。



 リスクを冒してプリンを食べた理由として、2つのパターンが考えられる。

 ・プリンそのものに価値があった。
 ・プリンを食べるという行為に意味があった。

『本当にその2つだけなのか?』
『パターン分けの仕方は他にもあるけど、プリンの価値に着目するなら2つだけだよ』
『プリンに価値があったのか、プリン自体には価値は無かったか……。それで? どっちなんだ?』
『……プリンに価値があったとは考えにくいよ。レア物とはいえ、結局はプリンだもん。盗撮が露見する可能性と釣り合っているとは思えない』

 津はマンモス堂の円盤プリンだから食べたのではない。
 プリン自体に価値を感じていたわけではないと考えられる。

『入ってたのが例えカステラでも、盗み食いはしてただろうってことか。でもよぉ、プリン以外にもお菓子は入ってただろ? あっちなら数も多いし、食べたってバレやしないぜ?』
『……だって……あれは、美味しくないし』
『クックッ、マズいから食べなかったって論に納得できるかは話の展開次第だなぁ……。続きを頼むぜ?』
『プリンを食べるという行為が、先生にとってどんな意味があったのかなんだけど……』

 津はプリンを食べることにより、何かのイベントを起こしたかったと考えられる。
 つまり重要なのは、津がプリンを食べたことによって周りに及ぼされた影響だ。

『変態がプリンを食べたことによって、どんな影響があったんだ?』

 ・シオンが写真部と接点を持った

 ・純夏が容疑者として疑われた

 ・嶺二が容疑者として疑われた

 ・三葉がプリンを撮影できなくなった

『それぞれの人間に1つずつあるなぁ』
『でも、2つは簡単に消せる』
『へぇ?』
『まず、ボクが写真部と接点を持ったのは相田さんが依頼をしたからだ。先生が発端ではあるけれど、相田さんの意思の方が大きい。だから、先生がプリンを食べた理由にボクは関係ない』
『もう1つは?』
『倉持先輩が容疑者として疑われたのは、放課後に最初に部室に入ったから。つまり、倉持先輩じゃなくても最初に入った人間は容疑者になっていたんだ。先生が未来予知でもできない限り、倉持先輩を容疑者にするためにプリンを食べたとは考えられない』
『ってことは……クックッ、いま人質にされてる2人か』

 ・純夏が容疑者として疑われた

 ・三葉がプリンを撮影できなくなった

 津がプリンを食べた理由は、これらと関係が深い可能性が高い。
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