68 / 68
26. エピローグ
淫魔と探偵
「つかれたー……」
自室に着くなり、シオンはベッドに倒れ込んだ。
「クックッ、今回も楽しませてもらったぜ?」
「はぁ、サナはいいよね、観てるだけなんだからさ。ボクなんて、命の危機を感じちゃったよ」
「誰かさんが犯人を挑発したからだよなぁ? ものの見事に逆上させる手腕は煽り師として一流だったぜ?」
「……そうでした。ボクのせいでした」
シオンは潜り込むように枕に顔を埋めた。
「そう落ち込むこともねえさ、シオン。お前の暴言のおかげで事態が動いたのは確かなんだ。ただ、あの短髪の片思いが露見して、キレた変態にいたぶられただけさ。気にするな」
「慰めになってないよ……」
「短髪は、変態がおさげのこと好きなのがわかってやる気が出てきたとか言ってたなぁ。クックッ、あれは恋のバトルでもあったわけだ。いまごろ、勝者はベッドの上でしけこんでるかもしれねえなぁ?」
「止めてよ! 知り合いのそういう話するの!」
シオンはふよふよと漂うサナへ向かって枕を投げつけた。
しかしサナはそれを軽々とキャッチしてみせる。
「おっと……それよりシオン。終わった気でいるかもしれねえが、まだ事件は解決してないぜ?」
「え? ……ああ、そうだった。サナ、”最終確認”」
シオンが告げると、その体に刻まれている紋様が発光し始める。
「おいおい、やる気ねえな。事件の締めだぜ?」
「だって、もう犯人は確定してるようなもんだし……。”事件の犯人は佐藤 津だ”」
「”YES”」
サナの持っている枕にもYESという文字が浮かび上がった。
「さて、それじゃあ回収するぜ?」
シオンの右腕全体から首元まで刻まれていたサナの眷属の証。
その紋様が光を発しながら拡散するように宙へ溶けていく。
「ぅっ……!」
紋様が消えていく度に、シオンの口からは声が漏れる。
光に照らされているせいか、その頬は紅潮しているようにも見えた。
「ぁ……はぁ……っ」
「イったか?」
「そんなわけないでしょ!」
「そりゃ残念だ」
枕を抱えながらカラカラと笑うサナ。
ブラウスから見え隠れする右手の指先と首元には、シオンに刻まれていた紋様が浮かび上がっていた。
「これでサナにとっても事件は解決。後は代償だけど……」
「さて、今回は右腕一本と少しってところか。どうするかな……?」
サナは指先の紋様を舌先でなぞりながら、シオンを視線で舐め回した。
この時だけはシオンは契約者ではなく、サナにとっての獲物となる。
「なるべく軽めでお願いします……」
「そういうわけにはいかねえよ。契約だからな。きっちりと等価値を取り立てさせてもらうぜ……♡」
サナがじわじわとシオンへ接近する。
YESと書かれた枕を突き付けるように、シオンへと迫っていく。
「なっ、なな、なに……?」
「どうしたぁ……? 顔が赤いぜ、シオン?」
「さ、サナこそ、なんか興奮してない?」
「そりゃ淫魔だからな。これからシオンに支払ってもらう代償を考えただけでイキそうだぜ?」
「っ!」
「クックッ、あんまり焦らすのも可哀想だ……」
サナはペロリと自らの唇を舐め上げ、釣られてシオンは喉を鳴らした。
「十八女思音に告げるぜ。お前が支払う代償は――」
” 十八女思音が最も可愛いと思う女装姿で1分の自撮りビデオを作成しろ ”
「うわあぁあぁ! また女装だああぁぁぁっ!!」
シオンはサナから枕をぶんどると、顔を埋めて叫び始めた。
「もう少しで一人遊びも追加できたんだけどなぁ……惜しかったなぁ」
「なんにも惜しくないよ! 最悪だよ!」
「クックッ、また姉の服を黙って借りるか?」
「それじゃあ最も可愛いと思うの部分がクリアできないもん! やだあぁぁっ!!」
「ってことはお買い物も必要だなぁ……。幸いにも髪型は最高に可愛いもんなぁ。ウィッグ代が浮いてよかったなぁ?」
「良くない! なんにもよくない!!」
その時、シオンのスマホが通知音を鳴らした。
「ん? ……クックッ、シオンがうるせえから姉が心配してるぜ?」
「うぅっ……誰のせいだと思ってるんだよ……」
「返事のついでに、下着を貸してもらう交渉もしたらどうだ? ほら、前に――」
「もう止めて! 過去の傷を広げないで!!」
騒ぐふたりを他所に、またもスマホが通知音を鳴らす。
画面には相田三葉からのチャットが表示されていた。
『今日はほんとにありがと! 撮った写真送っとくね!』
続けて送られてきた写真。
そこには三葉、純夏、嶺二。
そしてシオンが並んで写っており、編集で文字が書き加えられていた。
” 事件解決記念!
これにて一件落着、お後がよろしいようで。
なんてね♪ ”
自室に着くなり、シオンはベッドに倒れ込んだ。
「クックッ、今回も楽しませてもらったぜ?」
「はぁ、サナはいいよね、観てるだけなんだからさ。ボクなんて、命の危機を感じちゃったよ」
「誰かさんが犯人を挑発したからだよなぁ? ものの見事に逆上させる手腕は煽り師として一流だったぜ?」
「……そうでした。ボクのせいでした」
シオンは潜り込むように枕に顔を埋めた。
「そう落ち込むこともねえさ、シオン。お前の暴言のおかげで事態が動いたのは確かなんだ。ただ、あの短髪の片思いが露見して、キレた変態にいたぶられただけさ。気にするな」
「慰めになってないよ……」
「短髪は、変態がおさげのこと好きなのがわかってやる気が出てきたとか言ってたなぁ。クックッ、あれは恋のバトルでもあったわけだ。いまごろ、勝者はベッドの上でしけこんでるかもしれねえなぁ?」
「止めてよ! 知り合いのそういう話するの!」
シオンはふよふよと漂うサナへ向かって枕を投げつけた。
しかしサナはそれを軽々とキャッチしてみせる。
「おっと……それよりシオン。終わった気でいるかもしれねえが、まだ事件は解決してないぜ?」
「え? ……ああ、そうだった。サナ、”最終確認”」
シオンが告げると、その体に刻まれている紋様が発光し始める。
「おいおい、やる気ねえな。事件の締めだぜ?」
「だって、もう犯人は確定してるようなもんだし……。”事件の犯人は佐藤 津だ”」
「”YES”」
サナの持っている枕にもYESという文字が浮かび上がった。
「さて、それじゃあ回収するぜ?」
シオンの右腕全体から首元まで刻まれていたサナの眷属の証。
その紋様が光を発しながら拡散するように宙へ溶けていく。
「ぅっ……!」
紋様が消えていく度に、シオンの口からは声が漏れる。
光に照らされているせいか、その頬は紅潮しているようにも見えた。
「ぁ……はぁ……っ」
「イったか?」
「そんなわけないでしょ!」
「そりゃ残念だ」
枕を抱えながらカラカラと笑うサナ。
ブラウスから見え隠れする右手の指先と首元には、シオンに刻まれていた紋様が浮かび上がっていた。
「これでサナにとっても事件は解決。後は代償だけど……」
「さて、今回は右腕一本と少しってところか。どうするかな……?」
サナは指先の紋様を舌先でなぞりながら、シオンを視線で舐め回した。
この時だけはシオンは契約者ではなく、サナにとっての獲物となる。
「なるべく軽めでお願いします……」
「そういうわけにはいかねえよ。契約だからな。きっちりと等価値を取り立てさせてもらうぜ……♡」
サナがじわじわとシオンへ接近する。
YESと書かれた枕を突き付けるように、シオンへと迫っていく。
「なっ、なな、なに……?」
「どうしたぁ……? 顔が赤いぜ、シオン?」
「さ、サナこそ、なんか興奮してない?」
「そりゃ淫魔だからな。これからシオンに支払ってもらう代償を考えただけでイキそうだぜ?」
「っ!」
「クックッ、あんまり焦らすのも可哀想だ……」
サナはペロリと自らの唇を舐め上げ、釣られてシオンは喉を鳴らした。
「十八女思音に告げるぜ。お前が支払う代償は――」
” 十八女思音が最も可愛いと思う女装姿で1分の自撮りビデオを作成しろ ”
「うわあぁあぁ! また女装だああぁぁぁっ!!」
シオンはサナから枕をぶんどると、顔を埋めて叫び始めた。
「もう少しで一人遊びも追加できたんだけどなぁ……惜しかったなぁ」
「なんにも惜しくないよ! 最悪だよ!」
「クックッ、また姉の服を黙って借りるか?」
「それじゃあ最も可愛いと思うの部分がクリアできないもん! やだあぁぁっ!!」
「ってことはお買い物も必要だなぁ……。幸いにも髪型は最高に可愛いもんなぁ。ウィッグ代が浮いてよかったなぁ?」
「良くない! なんにもよくない!!」
その時、シオンのスマホが通知音を鳴らした。
「ん? ……クックッ、シオンがうるせえから姉が心配してるぜ?」
「うぅっ……誰のせいだと思ってるんだよ……」
「返事のついでに、下着を貸してもらう交渉もしたらどうだ? ほら、前に――」
「もう止めて! 過去の傷を広げないで!!」
騒ぐふたりを他所に、またもスマホが通知音を鳴らす。
画面には相田三葉からのチャットが表示されていた。
『今日はほんとにありがと! 撮った写真送っとくね!』
続けて送られてきた写真。
そこには三葉、純夏、嶺二。
そしてシオンが並んで写っており、編集で文字が書き加えられていた。
” 事件解決記念!
これにて一件落着、お後がよろしいようで。
なんてね♪ ”
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。