両腕のない義弟との性事情

papporopueeee

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第五夜

義弟は甘い時間を求める

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「……甘いのがなーい」

 朝飯の野菜炒めを頬張りながらカオルがぼやいた。

 ここ数日はフレンチトーストやピーナツバタートーストなど、カオルの好みに合わせた朝食だったので不満なのだろう。

「なんだ、甘い野菜炒めが食べたいのか?」
「そうじゃないし!」
「野菜炒めだって上手いだろ。わざわざカオルの好みに合わせた味付けにしてるんだぞ」

 個人的には辛みを効かせた野菜炒めが好みなのだが、甘党の例に漏れずカオルは辛いのが苦手だ。カレーはいつも甘口だし、エビチリはチリ抜きを好む。

「美味しいけど―、デザートも食べたーい」
「あー……みかんならあったかもな」
「やだー、もっと人工的な甘みが欲しいー」

 発言が不健康なことこの上ない。ルームランナーの購入を真面目に検討するべきだろうか。

「……昨日のやつ食べたいなー」

 昨日のやつとは、生クリームたっぷりのエッグタルトのことだろう。カオルは一個と半分食べているが、連日で所望するほどに気に入ったらしい。ただ、あんなのを毎日食べていたら糖尿病間違いなしだ。

「そのためには、また俺が出かけないといけないな」
「えー……じゃあいいや」

 カオルの天秤ではたくさんの生クリームよりも俺の方が重いようだ。一応喜ばしい。

「……あれって通販で買えたりしないの?」
「……」

 天秤はぐらぐらと揺れている最中のようだ。



「じゃあ、勉強頑張れよ」
「がんばった後は何する?」
「カオルのしたいことをすればいいだろ?」
「それじゃあきっと、ケン君もしたいことだね♪」

 その天真爛漫な微笑みの裏ではきっと淫蕩な行為を想っているに違いない。天使のような小悪魔とはまさにカオルのことなのだろう。

 もしも今日も性行為をした場合、五日連続でカオルとすることになる。そして、おそらくは明日もその先も、カオルは毎日だって求めてくる可能性がある。ここらで一度その流れを切った方がいいかと思考を巡らせていると、スマホがチャットの着信を告げてきた。

『カオルくん、お菓子喜んでくれた?』

 チャットの送信主は一条だった。

「やっべ……」

 昨日のカオルとのやり取りで失念してしまっていた。一条はカオルへのお土産を選んでくれたのだから、本来であればまず俺からお礼を言わなければいけなかった。

「すぐに返さないとな……」

『悪い。ちょっとどたばたしててチャット送れなかった』
『お菓子はとても喜んでた。今日も食べたいってうるさいくらいにな。選んでもらえて助かった』
『よかったらまたオススメを教えてくれ。お礼にまた奢るから』

 チャットを送り終えると、その数秒後にはスマホがまた着信音を鳴らした。

『カオルくんが喜んでくれたみたいで良かった。でもあんなに甘いのに今日も食べたいなんて、よっぽど気に入ったんだね。筋金入りの甘党さんだ』
『鹿島くんさえよかったら、お菓子買って行ってあげようか?』

「……うちまでか?」

 一条のチャットを見ると、わざわざ駅でお菓子を買ってこの自宅まで届けることを申し出ているように思える。

「ふむ……」

 普段であれば断るだろう。一条が俺とカオルに尽くす義務も義理もないわけで、ご足労いただくのも申し訳ない。

 しかし一条をこの家に招き入れ、カオルに新しい接点を作るにはこれ以上ない機会でもある。

「……よし」

『それ、お菓子をたかりたいだけじゃないのか?』
『バレたか』
『でもちょうど頼みたいことがあったんだ。お菓子の配達を頼んでもいいか?』
『もちろん! お菓子は昨日のと同じのでいいかな?』
『それだけは止めてくれ』
『???』
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