コツコツと異世界生活楽しもうとおもったのに転生時からほとんどのステータスがカンストしてました

瀬雨

文字の大きさ
8 / 8
第一章

トップ・オブ・ザ・シリアス

しおりを挟む
『お前が…朽ちろよ。』
「いや、俺植物じゃねえから、朽ちるってよりかは、くたばるのほうが正しい…」

『ズシュッ』

「ッ……!!!」
貫通した?何が?見えなかった?だとしたらとんでもない速度……
魔力感知全開にしてるのに、発動の前触れすら感じ取れなかった…
死ぬ。
本当に危ない類の魔術。
「この作品にそのレベルのシリアス感は求められてないと思うから。お前みたいなやつは主要キャラになる前に倒してやるよ。」
「訳の分からん事をほざく奴だ、お前今から死ぬんだぞ?」

死ぬ?冗談じゃない。


さっき攻撃を受けたあたりだ…何故ダメージが残り続けている?
治癒は完了したはずだ。
何故治癒した後も痛みが消えない…?
くそっ!駄目だ…うまく頭が回ってくれない。
こんなときに限って。

「いい暇つぶしにはなるか…」
「は?」

「俺の攻撃魔法は……その一撃が、命の取り合いにおける重要な要素を全て兼ね備えられるように独自で編み出したものだ。毒による麻痺…脳内伝達物質の妨害、凝縮された魔力による継続的な苦痛、圧倒的な発動の際のパフォーマンス。全てにおいてどの攻撃魔法より洗練され、よりシンプルなものだ。」
ベラベラと…俺を誰だと…
いや、俺コイツに比べたらただの人かもしれん。
「故に、威力も高く、当たるまで気付かない程の速度。」
「ククッ…後は想像がつくはずだ。」
「分からんね、教えてくれよ。」

「お前は死ぬ、それだけだ。」
「分かりやすくて助かるよ。」
 
予備動作がないノーモーションによる簡単な攻撃魔法ならまだしも、ここまでの性能を持った攻撃魔法だ。
何かしら、見切る方法があるはず。


「まぁ…それを探す暇は無さそうだけど。」

『ドンッ!』

「ッ!!!!」

『ドン!!』
『ドン!!』
『ドン!!』
『ドン!!』
『ドン!!』

防御魔法…も効かないのか。
てか、痛すぎて声も出ない…

「俺は今だけでお前に数十か所程、穴を開けた。」
「もちろん治してるさ、全力で。」
いや、嘘だ。治ってない。
この攻撃…魔力でどうこうしようとすると俺の魔力に反発するかのように俺を内側から攻撃してくる。

肉体の傷は塞がってるが、魔力そのものが傷ついている状態…エネルギーが体の中で爆発しまくってるみたいな現象がこのまま続いたら。
俺は多分死ぬ。

「治したところで、実際治癒されているのは…」
「わかってるよ、それぐらい。なんなら今もずっと、くそ痛えんだから。くそっ…」

死にたくなる痛み…死んだほうが良い。
でもこの命の輪郭がはっきりと分かる戦い。
そうか。
こういうのだ、こういうのを求めてたんだよ神様。
格上や手強い敵達との、命のぶつけ合い。
二周目の人生は刺激を求めた。
理由なんてない。
強いて言うなら、そっちのほうが面白いだろうな。
その程度の行動原理。
ただ、普通のやつならそんなことのために、この痛みを味わいたいとは思わないだろう。
実際俺も後悔はしてるが。
今この状況に対して、高揚し恐怖しているのもたしかだ。

「実質、俺の記念すべき初戦は魔王ってわけだな。」
「?」

体が今にも弾けそうだが、動くし、戦えないこともない。
実際肉体はピンピンしてる。
アドレナリンは魔法だな。

「やる気になってきたようで悪いが、あと数発当てればお前は死ぬ。治癒しようが、しまいが。」
「じゃあ避けてしまえば問題ないわけだな。」
「面白い。やってみろ人間。」

魔術とは簡単に言ってしまえばプログラ厶のようなものだ。
実行するための過程と、実行による効果や結果を書き込む。
この世界の魔法はこれの繰り返しによって成長し続けてきた。
長い年月をかけて。


この時代。
いや、彼が生きた時代から生まれた新たな魔法の概念。常識を覆した彼の尋常ならざる魔術を後世の人々はこう呼んだ。
「『魔術創製』」

この身で受け続けた、魔王の魔力。
その全てとまではいかないが、実際に攻撃を喰らうのが一番手っ取り早かった。
俺がを使うための必須条件。

魔術に組み込む魔法や魔力について知る。
今、不完全ながら俺はそれを満たしている。

「後は運でしょ。」
「結局神頼みか?」

『ドンッ!!!!!』
当たれば死ぬ…

「ククッ…あと何発耐えれ………」
「はっ!ハハッ!!驚いた?」
「お前……一体、何をした?」


「避けただけに決まってんだろ。」

仮称【自動回避オートマッズ
この瞬間、異世界からの異端者である彼が成し遂げたのは、文字通りの神業。
超短時間での魔術の安定した生成。
この瞬間彼らは世界全体のバランスを大きく塗り替えた。
皮肉にも世界が生み出した混沌、魔王と彼の交戦は世界を変える出来事になったのだ。


そして、その瞬間を目撃した彼らもまた、変わりゆく世界に呑まれていく。

「おい、魔王、うちの同僚返してもらおか。」

「待て待て、出向いてくれたところ申し訳ないのだが、少し大人しくしておいてくれ、小バエの相手は後でいくらでもしてやる。今俺はコイツと遊んでるんだ、邪魔だけはしてくれるな。殺すぞ」
「俺は今すぐにでも帰りたいんだけどな。」
「いいや、お前が土に還る前にもっと見せてくれ!俺の魔術を出し抜いたあれを。」
まぁ、こちらとしてもこれ以上、戦闘を長引かせるのはリスクが大きい。
まだ俺の即席魔術は不安定。
いつボロが出てもおかしくない。
対応される前に倒す。

「よっし!思う存分見せてやるよ…」

「…来い。」















しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

ryoryo1114
2022.01.24 ryoryo1114

あの~もし同じ人であったらよろしければpixivのヤングアベンジャーズの方も投稿お願いします。

解除

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした

夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。 死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった! 呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。 「もう手遅れだ」 これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。