18 / 93
第三章 ヤクザな伯爵と冒険者
冒険者ギルド
しおりを挟む
アドルフ・フィッシュバーン伯爵。
そう名乗った金髪角刈りおじさんからの仕事、竜の卵、もしくは幼生体の捕獲を健太郎は請け負う事にした。
リゼルが言い出した騎士団への加入は断った健太郎だが、フリーで仕事をする事に抵抗は無かった。
彼が忌避したのはあくまで上下関係の発生する組織への参入であり、働く事自体が嫌になっていた訳では無かったからだ。
「そうだ、ミシマ。お前ぇ、冒険者ギルドには登録してんのか?」
「コホーッ?」
冒険者ギルド? いや、ダンジョンから脱出してからリゼルの所為でバタバタしてたから。
首を振った健太郎に金髪角刈りおじさんは告げる。
「じゃあ、登録しとけ。ギルドを通した正式な依頼にしときゃあ、嬢ちゃんの触れを出す時に都合がいいからよ。んじゃあ、俺は城に戻って諸々の事やっとくから!」
そう言うとおじさんは赤い手綱の白馬を操り颯爽と走り去った。
「コホーッ」
あっ……せっかちなおっさんだ。
「ふぅ……慌ただしい人だったね。でもまぁ、ギルドに登録しておくのはいいかもね。流れ者でも国民として戸籍も貰えるし」
「コホー?」
そうなんだ?
首を傾げた健太郎にミラルダは答える。
「ああ、ギルド証は身分証としても使えるしね。そういう訳だからさミシマ、取り敢えずギルドに行こうか?」
そう言うとミラルダは首に掛けていた米軍の認識票の様なペンダントを取り出すと、健太郎にニコッと微笑んだ。
そんな訳で健太郎は現在、街の中心のあるレンガ造りの建物のロビー、その受付カウンターで面接を受けていた。
道々聞いたミラルダの話によれば、ギルドに登録していなくてもダンジョンには潜れるそうなのだが、ギルドの後ろ盾があれば身分証明の他にも税金とか色々と都合がいいらしい。
「名前はミシマ・ケンタロウさん。年齢は二十四歳、住所はフィッシュバーン伯爵領、領都クルベスト、平民街三丁目二十五の三、間違いありませんね?」
「コホーッ」
腕で大きく丸を作った健太郎を見て、受付を担当している黒髪眼鏡で七三分け男はクイッと眼鏡を上げ無言で頷いた。
「次に戦闘スタイルは大剣にカラテ……カラテというのは転生者が使う格闘技ですね……確か片眉を落とす事で力が増すとか……」
「コホーッ?」
片眉ぅ? と首を捻った健太郎に「違いましたか、失礼しました」と男は返し咳払いを一つした。
彼の名はクニエダ、異界語(主に日本語)に精通しており、漢字、ひらがな、カタカナも読む事が出来たので、コミュニケーションに難のある健太郎の担当に付いたのだ。
自己紹介の際、その事を説明され、その後、最近の異界の情報を根掘り葉掘り聞き出された。
どうやらクニエダは転生者の孫らしく、幼い頃から祖父がこの世界で集めた漫画、小説に触れて育ったらしい。
健太郎もそういう話を社会に出てから人と話していなかったので、小一時間程、アニメや漫画の話で盛り上がってしまった。
恐らくそれも自身の願望の現れだとその時の健太郎は思っていたが……。
「それでは職業的には戦士という事でよろしいですか?」
「コホーッ」
再度、健太郎は腕で大きく丸を作る。
「実力については魔法使いのミラルダさんから、ドラゴンスレイヤーだと証言を頂き、討伐の証である鱗等も確認いたしましたので登録は問題御座いません。何か質問は御座いますか?」
そう言って再び眼鏡を持ち上げたクニエダに、健太郎は渡された紙に質問を書いて提示する。
そういえば、えらいすんなり登録出来たけど、俺みたいなゴーレムって他にもいるの?
「いえ、ゴーレムという例は私の知る限り初めてで御座います。ですが転生者の方は祖父の例もある様に珍しく御座いませんので。それに伯爵様からも上手く取り計らって欲しいと要請が御座いましたので」
「コホーッ」
なるほどな、どっちかっていうと角刈りおじさんの口添えがかなり効いたんだろうな。夢世界でも権力者の一言は効果抜群って訳だ。
「他には何か?」
クニエダの言葉に健太郎は首を横に振り、質問はもう無いと伝える。
「そうですか、ではこちらを」
すっと机の上に差し出されたのはミラルダの物と同じ、米軍の付ける認識票に似た鎖のついた金属片だった。
「こちらにミシマさんの指名、所属、連絡先等が記載されています。身分証としても使える他、モンスターとの戦いで命を落されても、他の冒険者によってこれが発見されればご家族に連絡が行くようになっております。紛失した際はお早めに最寄りのギルドまでお知らせください」
「コホーッ」
似てるとは思ってたけどホントに認識票だった……多分死ぬ事は無いだろうけど、無くさない様に気を付けるか。
認識票を受け取り手を振ってギルドの受け付けを去ろうとした健太郎に、クニエダがあの……と眼鏡を光らせながら声を掛ける。
「コホーッ?」
何かな?
「あのですね……また、動く漫画……アニメのお話をお聞きしたいのですが……時間がある時で結構ですので、お願い出来ないでしょうか?」
「コホーッ!!」
勿論さッ、俺も夢世界にどんな漫画や小説があるか知りたいしねッ!!
親指を立てた健太郎にクニエダはフフッと笑うと、健太郎を真似てグッと親指を立てた。
そう名乗った金髪角刈りおじさんからの仕事、竜の卵、もしくは幼生体の捕獲を健太郎は請け負う事にした。
リゼルが言い出した騎士団への加入は断った健太郎だが、フリーで仕事をする事に抵抗は無かった。
彼が忌避したのはあくまで上下関係の発生する組織への参入であり、働く事自体が嫌になっていた訳では無かったからだ。
「そうだ、ミシマ。お前ぇ、冒険者ギルドには登録してんのか?」
「コホーッ?」
冒険者ギルド? いや、ダンジョンから脱出してからリゼルの所為でバタバタしてたから。
首を振った健太郎に金髪角刈りおじさんは告げる。
「じゃあ、登録しとけ。ギルドを通した正式な依頼にしときゃあ、嬢ちゃんの触れを出す時に都合がいいからよ。んじゃあ、俺は城に戻って諸々の事やっとくから!」
そう言うとおじさんは赤い手綱の白馬を操り颯爽と走り去った。
「コホーッ」
あっ……せっかちなおっさんだ。
「ふぅ……慌ただしい人だったね。でもまぁ、ギルドに登録しておくのはいいかもね。流れ者でも国民として戸籍も貰えるし」
「コホー?」
そうなんだ?
首を傾げた健太郎にミラルダは答える。
「ああ、ギルド証は身分証としても使えるしね。そういう訳だからさミシマ、取り敢えずギルドに行こうか?」
そう言うとミラルダは首に掛けていた米軍の認識票の様なペンダントを取り出すと、健太郎にニコッと微笑んだ。
そんな訳で健太郎は現在、街の中心のあるレンガ造りの建物のロビー、その受付カウンターで面接を受けていた。
道々聞いたミラルダの話によれば、ギルドに登録していなくてもダンジョンには潜れるそうなのだが、ギルドの後ろ盾があれば身分証明の他にも税金とか色々と都合がいいらしい。
「名前はミシマ・ケンタロウさん。年齢は二十四歳、住所はフィッシュバーン伯爵領、領都クルベスト、平民街三丁目二十五の三、間違いありませんね?」
「コホーッ」
腕で大きく丸を作った健太郎を見て、受付を担当している黒髪眼鏡で七三分け男はクイッと眼鏡を上げ無言で頷いた。
「次に戦闘スタイルは大剣にカラテ……カラテというのは転生者が使う格闘技ですね……確か片眉を落とす事で力が増すとか……」
「コホーッ?」
片眉ぅ? と首を捻った健太郎に「違いましたか、失礼しました」と男は返し咳払いを一つした。
彼の名はクニエダ、異界語(主に日本語)に精通しており、漢字、ひらがな、カタカナも読む事が出来たので、コミュニケーションに難のある健太郎の担当に付いたのだ。
自己紹介の際、その事を説明され、その後、最近の異界の情報を根掘り葉掘り聞き出された。
どうやらクニエダは転生者の孫らしく、幼い頃から祖父がこの世界で集めた漫画、小説に触れて育ったらしい。
健太郎もそういう話を社会に出てから人と話していなかったので、小一時間程、アニメや漫画の話で盛り上がってしまった。
恐らくそれも自身の願望の現れだとその時の健太郎は思っていたが……。
「それでは職業的には戦士という事でよろしいですか?」
「コホーッ」
再度、健太郎は腕で大きく丸を作る。
「実力については魔法使いのミラルダさんから、ドラゴンスレイヤーだと証言を頂き、討伐の証である鱗等も確認いたしましたので登録は問題御座いません。何か質問は御座いますか?」
そう言って再び眼鏡を持ち上げたクニエダに、健太郎は渡された紙に質問を書いて提示する。
そういえば、えらいすんなり登録出来たけど、俺みたいなゴーレムって他にもいるの?
「いえ、ゴーレムという例は私の知る限り初めてで御座います。ですが転生者の方は祖父の例もある様に珍しく御座いませんので。それに伯爵様からも上手く取り計らって欲しいと要請が御座いましたので」
「コホーッ」
なるほどな、どっちかっていうと角刈りおじさんの口添えがかなり効いたんだろうな。夢世界でも権力者の一言は効果抜群って訳だ。
「他には何か?」
クニエダの言葉に健太郎は首を横に振り、質問はもう無いと伝える。
「そうですか、ではこちらを」
すっと机の上に差し出されたのはミラルダの物と同じ、米軍の付ける認識票に似た鎖のついた金属片だった。
「こちらにミシマさんの指名、所属、連絡先等が記載されています。身分証としても使える他、モンスターとの戦いで命を落されても、他の冒険者によってこれが発見されればご家族に連絡が行くようになっております。紛失した際はお早めに最寄りのギルドまでお知らせください」
「コホーッ」
似てるとは思ってたけどホントに認識票だった……多分死ぬ事は無いだろうけど、無くさない様に気を付けるか。
認識票を受け取り手を振ってギルドの受け付けを去ろうとした健太郎に、クニエダがあの……と眼鏡を光らせながら声を掛ける。
「コホーッ?」
何かな?
「あのですね……また、動く漫画……アニメのお話をお聞きしたいのですが……時間がある時で結構ですので、お願い出来ないでしょうか?」
「コホーッ!!」
勿論さッ、俺も夢世界にどんな漫画や小説があるか知りたいしねッ!!
親指を立てた健太郎にクニエダはフフッと笑うと、健太郎を真似てグッと親指を立てた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる

