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一章
隙間2
しおりを挟む会議は無事終えることが出来た。会計の誤解も解き、どうにか空き教室を使う許可が取れた。
風紀委員会からはまた何か言われそうな苦渋の顔していたが、役員から許可は取れたので一安心である。
その空き教室の使用理由は、勉強が追いつけない、クラスに帰ることが出来ない人の為の臨時勉強室というていで許可が降りた。
実際、浅木は暇潰しで集まる友人達に勉強を少し教えていたらしいので、友人達の点数は伸びていたらしい。
そのお陰もあって、許可がスムーズに取れた。娯楽と趣味に埋め尽くされている事はだいぶはぐらかしたが。
もう一つ、会議の成果と言えば。
「では、虚偽のニュースを流したと、言う事ですね。新聞部」
「いや、それは。生徒から聞いた話で」
「ではろくに確認もせず、検証せず、嘘か本当かもわからない物を流した。知らないとか、責任がないと、言わせませんよ」
風紀委員副長さんに問い詰められた新聞部は身を削がれて意気消沈していた。
最終的な処分として、新聞部は虚偽のニュースを流し、人を貶めたこともあり一カ月活動禁止と部費を減らされた。
今後、安易な発信はできないだろうという判断だったが、あの顔の分厚い部長が大人しくいるのだろか疑問である。
とりあえず、全てが丸く収まったのだ。
生徒会人気とか、前の生徒会の問題とか、課題はまだまだあるが、休むくらいはしていいだろう。
もう誰もいない会議室。桃谷は机に張り付くように突っ伏していた。
会議が終われば誰も入って来ないと知っているからの体たらく恰好。生徒会会長はそこにいなかった。
目を閉じれば夢の世界に、桃谷の疲れは限界が来ていた。
「お疲れ様」
低くて優しい声、誰かが俺の頭に手を置く。大きな掌、長くて太い指先が俺の髪の毛をとく。
綺麗に整えてたというのに、一つ一つ解かれていく感覚。
あったかくて気持ちいい。
「だれですか」
すると、くくっと押し笑う。
笑うなんて酷いなと思いながら本当に誰だったか。知っているようで知らない人、顔をあげて確認したいけれど、そんな気力もない。
でも、嫌いじゃない人だ。
「無理するなよ」
最後の微かな記憶。夢の中から起きた時にはその人物はいなかった。
けれど、頭の上から落ちてきたのは包みに入った飴玉だった。水崎さんにあげた飴に似ている。
もしかして水崎さんと思ったが、そんな訳ないかと俺は口の中に飴玉放り込んだ。
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