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12話 新入生歓迎会
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『新入生歓迎会』と文字を見るたびに俺、桃谷が思うことはどうしようである。
例年通り学校の紹介、部活の勧誘などをする訳だが、その後のイベントを何事もなく開催できるかが一番のネックだ。
イベントとは、生徒会が企画する遊び大会みたいなものだ。
そして、去年は鬼ごっこだった。
その間、生徒達は広い校内を散策するも良し、サボっても問題なしと、かなりの自由時間だった事もあり、散々なものだったらしい。
器物破壊に、暴力に、強制わいせつなど、いい加減にしろと風紀委員達が白目を向くほどの暴れようだった。
数々の起きた事件をなぜ当時の俺は知らなかったのか、単純に外部圧力というやつだ。起きた事件はなかったかのように、進められていたわけだ。
そんな問題しか見えなくて、本音はイベント事を無くしてしまいたい。
静 さんにも、無くす方向で調節した方がいいのではないかと一応相談してみた。
『確かに、去年のこともありますから無くす方が安全かと思います。しかし、新規を獲得したい生徒会としては見過ごせないところですね』
リスクはある。去年と同じ繰り返せば継続も危いと分かっているけど、生徒会人気の継続のために率先してやりたいのも事実。
そんな風にフラフラと悩んでいるから、風紀委員長に今責められているのだ。
「去年を踏まえて、生徒会のイベントは無しという方向で提案したい」
正当性を考えればそう思いますと手を上げたいところだが、ここはグッと堪えて風紀委員長の方を見据える。
「はぁ?何を言ってる。例年通りやるに決まってるだろ」
「いいか、もう一度言ってやる。例年があるからやめるべきだと言っているが」
「去年は去年だろ。今年は俺が開催するんだ。この完璧な俺様がな。人の事に首突っ込んでる暇でもあるのか風紀」
風紀委員長、水崎さんの鋭い視線が突き刺さる。顔を背けたくなるが俺、生徒会長は目を合わせて鼻で笑って挑発してみせる。
部屋が一気に冷えていく、会議に参加する生徒達はこぞって口を固く閉め始めた。
側から見ればバチバチと火花が飛ぶような生徒会長と風紀委員長の争い。
けれど、俺の心の中は恐怖で震え上がっていた。あの水崎さんに睨まれては身を動きができない。
今すぐにも『たったすけてー、シズさーん』と隣に座る副会長に泣きつきたいぐらいである。
案の定、それが伝わったのか副会長が助け舟を出してくれる。
「では、ここにいるもので多数決をしては。やるべきではないと結果でしたら潔く諦めます。ですが、やるべきだとなるならば、今ここで飲み込んでもらいます。それでよろしいですか、皆さん」
「……」
水崎さんは顎を引くと考えるように押し黙る。公平を期すにはそれがいいかもと生徒達は頷く。
「多数決って、貴様また根回しをしてるだろ。今回はそうは行かないぞ」
静に向かって吠えるように言ったのは風紀委副長の相良。
「残念ながら、今回はなにもしていません。不安であるなら、今から一人一人に副会長と会いましたかとアンケートをとってみては」
「貴様っ」
『待て』
と何かを言いかけた相良を止めたのは水崎だった。
「いいだろ。その条件でいこう。諦める時は潔くしてくれよ」
「お互い様です」
多数決を行う事になった。嫌な決め方となった、どっちに転がろうと生徒会は地獄なのだから。
「あのーすいません。生徒会に質問よろしいですか」
イベントやらない方に投票入らないかなと静に怒られそうな邪な感情を桃谷は抱いていると、一人の生徒が恐る恐る手を上げた。
「何でしょうか」
「えっと、例年通りということは景品とかあるのでしょうか」
「ええ、勿論。ゲームによりますが、例年通り部活動なら部費を上げたり、個人では有名店のデザートチケットなど考えています。他にも要望があれば取り入れていく次第です」
静さんが隣で噛まずにスラスラと答えていく。俺は必要ないなと天井のシミでも数えてこうと上を見上げる。
「じゃあ、例年通りなら、生徒会の……ありますよね。生徒会長はどう思われますか」
その発言により、一気に皆の視線が生徒会長に集まった。
なっなに!
話を聞いていなかった桃谷は視線を揺らす。もう一度、聞き返そうにも皆は次の言葉に期待の眼差しを向ける。
生徒会長として威厳を保つには桃谷はもう一回とは言えず、例年通りなら変なことではない筈。大丈夫だよな。
「……嗚呼、それでいいが」
会議の場が騒ついた。いいんだという驚き声や不安、その中でも生徒会に入れようかなと意見を変える声も上がり始めた。
俺は何にyesといったのか分からず、静さんの方を片眼で確認すると何と言えない複雑な表情をしていた。
俺はとんでもない間違えを起こしたなと、確信した。
ダンッと突然机を叩く音。
「駄目だ」
机を叩き、今日一番低い声出したのは水崎だった。
これほどの感情を露わにしたのは珍しく、騒ついていた声はまた静まり返った。
「そうするならば多数決は無しだ。この話は一旦保留にさせてもらう」
言い始める始末に俺は慌てて止める。この勢いで決めてもらわないと、次に公平さをあったものではない。
次で決めるとなれば確実に生徒会が負ける。
「待てよ、自分で言ったことを曲げる気か。お互い潔くって言っただろう」
「そういう問題の話をしていない」
「じゃあどういう意味だよ。お前の都合っていうなら、話が違うと思うけどな」
「っ……」
そうだと言わんばかりに水崎は口を詰まらせた。
『あれ、そうなの』と桃谷は相手の意外な反応に戸惑い、同じように黙ってしまう。
「桃谷さん」
こっそりと静さんに腕を突かれ、正気に戻った俺は過大に咳払いする。
「もう決まったことだ。多数決取るぞ」
風紀を押し切り、公平な投票が行われた。
結果はほぼ横ばいの投票数だったが、数票の差で生徒会はイベントをやる事になった。
決まったことに許せなかったのか水崎さんは、その会議が終わるまでずっと険悪ムーブだった。
そのせいか、風紀委員会と何回か衝突する羽目になった。
何故だろうと思いながらも、改めて去年の企画資料に生徒会とデートいう文字がチラリと見えた事を見なかった事にしたい。
いや、絶対この事じゃないよなと、心の中で苦しく笑う。
例年通り学校の紹介、部活の勧誘などをする訳だが、その後のイベントを何事もなく開催できるかが一番のネックだ。
イベントとは、生徒会が企画する遊び大会みたいなものだ。
そして、去年は鬼ごっこだった。
その間、生徒達は広い校内を散策するも良し、サボっても問題なしと、かなりの自由時間だった事もあり、散々なものだったらしい。
器物破壊に、暴力に、強制わいせつなど、いい加減にしろと風紀委員達が白目を向くほどの暴れようだった。
数々の起きた事件をなぜ当時の俺は知らなかったのか、単純に外部圧力というやつだ。起きた事件はなかったかのように、進められていたわけだ。
そんな問題しか見えなくて、本音はイベント事を無くしてしまいたい。
静 さんにも、無くす方向で調節した方がいいのではないかと一応相談してみた。
『確かに、去年のこともありますから無くす方が安全かと思います。しかし、新規を獲得したい生徒会としては見過ごせないところですね』
リスクはある。去年と同じ繰り返せば継続も危いと分かっているけど、生徒会人気の継続のために率先してやりたいのも事実。
そんな風にフラフラと悩んでいるから、風紀委員長に今責められているのだ。
「去年を踏まえて、生徒会のイベントは無しという方向で提案したい」
正当性を考えればそう思いますと手を上げたいところだが、ここはグッと堪えて風紀委員長の方を見据える。
「はぁ?何を言ってる。例年通りやるに決まってるだろ」
「いいか、もう一度言ってやる。例年があるからやめるべきだと言っているが」
「去年は去年だろ。今年は俺が開催するんだ。この完璧な俺様がな。人の事に首突っ込んでる暇でもあるのか風紀」
風紀委員長、水崎さんの鋭い視線が突き刺さる。顔を背けたくなるが俺、生徒会長は目を合わせて鼻で笑って挑発してみせる。
部屋が一気に冷えていく、会議に参加する生徒達はこぞって口を固く閉め始めた。
側から見ればバチバチと火花が飛ぶような生徒会長と風紀委員長の争い。
けれど、俺の心の中は恐怖で震え上がっていた。あの水崎さんに睨まれては身を動きができない。
今すぐにも『たったすけてー、シズさーん』と隣に座る副会長に泣きつきたいぐらいである。
案の定、それが伝わったのか副会長が助け舟を出してくれる。
「では、ここにいるもので多数決をしては。やるべきではないと結果でしたら潔く諦めます。ですが、やるべきだとなるならば、今ここで飲み込んでもらいます。それでよろしいですか、皆さん」
「……」
水崎さんは顎を引くと考えるように押し黙る。公平を期すにはそれがいいかもと生徒達は頷く。
「多数決って、貴様また根回しをしてるだろ。今回はそうは行かないぞ」
静に向かって吠えるように言ったのは風紀委副長の相良。
「残念ながら、今回はなにもしていません。不安であるなら、今から一人一人に副会長と会いましたかとアンケートをとってみては」
「貴様っ」
『待て』
と何かを言いかけた相良を止めたのは水崎だった。
「いいだろ。その条件でいこう。諦める時は潔くしてくれよ」
「お互い様です」
多数決を行う事になった。嫌な決め方となった、どっちに転がろうと生徒会は地獄なのだから。
「あのーすいません。生徒会に質問よろしいですか」
イベントやらない方に投票入らないかなと静に怒られそうな邪な感情を桃谷は抱いていると、一人の生徒が恐る恐る手を上げた。
「何でしょうか」
「えっと、例年通りということは景品とかあるのでしょうか」
「ええ、勿論。ゲームによりますが、例年通り部活動なら部費を上げたり、個人では有名店のデザートチケットなど考えています。他にも要望があれば取り入れていく次第です」
静さんが隣で噛まずにスラスラと答えていく。俺は必要ないなと天井のシミでも数えてこうと上を見上げる。
「じゃあ、例年通りなら、生徒会の……ありますよね。生徒会長はどう思われますか」
その発言により、一気に皆の視線が生徒会長に集まった。
なっなに!
話を聞いていなかった桃谷は視線を揺らす。もう一度、聞き返そうにも皆は次の言葉に期待の眼差しを向ける。
生徒会長として威厳を保つには桃谷はもう一回とは言えず、例年通りなら変なことではない筈。大丈夫だよな。
「……嗚呼、それでいいが」
会議の場が騒ついた。いいんだという驚き声や不安、その中でも生徒会に入れようかなと意見を変える声も上がり始めた。
俺は何にyesといったのか分からず、静さんの方を片眼で確認すると何と言えない複雑な表情をしていた。
俺はとんでもない間違えを起こしたなと、確信した。
ダンッと突然机を叩く音。
「駄目だ」
机を叩き、今日一番低い声出したのは水崎だった。
これほどの感情を露わにしたのは珍しく、騒ついていた声はまた静まり返った。
「そうするならば多数決は無しだ。この話は一旦保留にさせてもらう」
言い始める始末に俺は慌てて止める。この勢いで決めてもらわないと、次に公平さをあったものではない。
次で決めるとなれば確実に生徒会が負ける。
「待てよ、自分で言ったことを曲げる気か。お互い潔くって言っただろう」
「そういう問題の話をしていない」
「じゃあどういう意味だよ。お前の都合っていうなら、話が違うと思うけどな」
「っ……」
そうだと言わんばかりに水崎は口を詰まらせた。
『あれ、そうなの』と桃谷は相手の意外な反応に戸惑い、同じように黙ってしまう。
「桃谷さん」
こっそりと静さんに腕を突かれ、正気に戻った俺は過大に咳払いする。
「もう決まったことだ。多数決取るぞ」
風紀を押し切り、公平な投票が行われた。
結果はほぼ横ばいの投票数だったが、数票の差で生徒会はイベントをやる事になった。
決まったことに許せなかったのか水崎さんは、その会議が終わるまでずっと険悪ムーブだった。
そのせいか、風紀委員会と何回か衝突する羽目になった。
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