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ミノリ ―疑惑―

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 ――理解出来なかった。

 痛いほど、ハルカの優しさは判る。でもそれは、オレを困惑させるだけでしかない。そこまで優しくされる理由がなかったから。どういう意図で優しくしてくれるのかが判らない。
 ……よくよく考えてみれば、思い当たる節はあったけれど。
 一度だけ、子供の時に泣きついたことがある。痣だらけの手で、抱きついた。その手は見られてはいないけれど、多分、バレている。それしか思い付かない。
 ハルカは、気付いている――。



 
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