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食いしん坊のだいちゃん
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ある所にとっても食べる男の子がいました。
名前はだいちゃん。
毎日お腹いっぱい食べて
すくすく成長していきます。
ある日、だいちゃんはあまりにも
食べる事が好きすぎて、こう考えました。
「そうだ!とっても美味しい料理を、自分で作ればいいんだ!」
それからというもの、だいちゃんは
お母さんの見よう見まねで料理を
はじめました。
まずはお母さんがよく見てる
料理の本を読もうとします。
でも難しい漢字が多くて
だいちゃんにはまだ読めません。
仕方がないので適当に作りました。
「う~ん、やっぱり美味しくないや。」
でも諦めきれないだいちゃん。
お母さんに聞きながら、コツコツ料理の勉強をします。
だいちゃんは思いました。
「美味しいものを作るのは難しいんだなぁ。お母さんってすごいなぁ。」
そしてだいちゃんはお母さんに聞きました。
「お母さん、美味しい料理を作るコツってなぁに?」
お母さんは答えます。
「いっぱい勉強して、いっぱい練習する事よ。」
「お母さんもいっぱい練習したの?」
「いっぱい練習して、いっぱい失敗したの。だからだいちゃんもいっぱい失敗すると思う。でもね、諦めちゃダメよ。」
「うん、わかった。」
だいちゃんは毎日毎日キッチンに立ちました。
キッチンに立つだいちゃんは
いつも笑顔です。
楽しみで楽しみで仕方ないのです。
「1日でも早く美味しい料理を作れたらどんなに良いだろう。お腹いっぱい美味しい料理を食べる。楽しみだなぁ。」
こうしてすっかり料理好きになった
だいちゃん。
一つ一つ自分好みの料理が増える
楽しさも覚えました。
一通りの料理が作れるようになった頃
だいちゃんは大人になっていました。
大人のだいちゃんはこう考えました。
「これだけ美味しい料理を作れるようになったんだから、いっそお店をだそう。そうしたらいっぱいお客さんが来てくれるぞ。」
だいちゃんは自信満々で料理店をつくりました。
そして一番最初のお客さんが入ってきました。
ドキドキワクワクの料理タイム。
だいちゃんは心の中で鼻歌を歌いながら作ります。
そしてスプーンを手に取り、一口味見します。
「よし!味もバッチリ。お客さんもきっと美味いって言うぞ。」
だいちゃんはお客さんに料理を出しました。
「ごゆっくりどうぞ。」
そう言ってだいちゃんはキッチンに戻り、チラチラお客さんの顔をうかがいます。
「美味いって言え。それとも思いっきり笑顔になるか?」
心の中でそう思っていました。
けれどお客さんは何も言わず、
笑顔にもならず、
ただ静かに食べていました。
だいちゃんは急に不安になってきました。
「美味しく…ない?それともたまたまこのお客さんの口に合わないだけ?」
けれど二番目のお客さんも、
三番目のお客さんも同じです。
「美味い!」とも言わなければ、
美味しさのあまりに笑顔になる事も
ありません。
だいちゃんは思い切ってお客さんに
聞いてみました。
「あの…、美味しくなかったですか?」
お客さんは答えます。
「美味しい、というかなんというか…、
普通かな?」
だいちゃんはすっかり自信をなくしてしまいました。
今までずっと美味しい料理の為に勉強して、
何度も失敗して、繰り返し作って、やっと美味しい料理を作れるようになったのに「普通」?
自分では美味しいつもりの料理なのかな?
僕の舌がおかしいのかな?
だいちゃんは頭をかかえます。
美味しい料理って何?美味しいって何?
そんな時、だいちゃんは思い出しました。
「お母さん、美味しい料理を作るコツってなぁに?」
「いっぱい勉強して、いっぱい練習する事よ。」
「お母さんもいっぱい練習したの?」
「いっぱい練習して、いっぱい失敗したの。だからだいちゃんもいっぱい失敗すると思う。でもね、諦めちゃダメよ。」
だいちゃんはつぶやきました。
「そうだ…。勉強しなきゃ。」
だいちゃんは自分のお店をほったらかしにして、他の人のお店に入りました。
他の人の料理の何がどう美味しいのか、調べて比べて、自分の料理に生かそうと考えたのです。
食べて調べてメモして、
食べて調べてメモして、
そうしているうちに、だんだんお金がなくなってきました。
だいちゃんはいよいよ頭をかかえました。だいちゃんも生活の為にお店を開けないといけませんでした。
でも仕方ありません。
普通の料理を作る普通の料理人。
僕はその程度の器なんだ。
そう諦めて、だいちゃんは作った料理に願いをかけました。
「せめて!せめてお客さんの為に美味しくなれと祈らせてくれ!」
するとどうでしょう。だいちゃんの料理がパッと輝いて見えました。
だいちゃんは恐る恐るお客さんに料理を出しました。
「美味しい!」
お客さんが一口食べてそう言いました。だいちゃんの願いが届いたのです。
だいちゃんは気づきました。
「そうか!僕はずっと自分の為だけを考えて料理を作ってきた。お客さんの為、という思いが欠けていたんだ。」
それからだいちゃんはずっと
「お客さんの為に美味しくなってくれ。」
と願いながら料理を作り続けました。
食いしん坊だいちゃんは食いしん坊だったから料理人になり、自分の為だけじゃなく、お客さんの為の料理を作る事を覚えたのです。
だいちゃんはお店に神棚を作り、毎日手を合わせて願います。
「神様、今日もお客さんの為に美味しい料理が作れますように。」
~完~
名前はだいちゃん。
毎日お腹いっぱい食べて
すくすく成長していきます。
ある日、だいちゃんはあまりにも
食べる事が好きすぎて、こう考えました。
「そうだ!とっても美味しい料理を、自分で作ればいいんだ!」
それからというもの、だいちゃんは
お母さんの見よう見まねで料理を
はじめました。
まずはお母さんがよく見てる
料理の本を読もうとします。
でも難しい漢字が多くて
だいちゃんにはまだ読めません。
仕方がないので適当に作りました。
「う~ん、やっぱり美味しくないや。」
でも諦めきれないだいちゃん。
お母さんに聞きながら、コツコツ料理の勉強をします。
だいちゃんは思いました。
「美味しいものを作るのは難しいんだなぁ。お母さんってすごいなぁ。」
そしてだいちゃんはお母さんに聞きました。
「お母さん、美味しい料理を作るコツってなぁに?」
お母さんは答えます。
「いっぱい勉強して、いっぱい練習する事よ。」
「お母さんもいっぱい練習したの?」
「いっぱい練習して、いっぱい失敗したの。だからだいちゃんもいっぱい失敗すると思う。でもね、諦めちゃダメよ。」
「うん、わかった。」
だいちゃんは毎日毎日キッチンに立ちました。
キッチンに立つだいちゃんは
いつも笑顔です。
楽しみで楽しみで仕方ないのです。
「1日でも早く美味しい料理を作れたらどんなに良いだろう。お腹いっぱい美味しい料理を食べる。楽しみだなぁ。」
こうしてすっかり料理好きになった
だいちゃん。
一つ一つ自分好みの料理が増える
楽しさも覚えました。
一通りの料理が作れるようになった頃
だいちゃんは大人になっていました。
大人のだいちゃんはこう考えました。
「これだけ美味しい料理を作れるようになったんだから、いっそお店をだそう。そうしたらいっぱいお客さんが来てくれるぞ。」
だいちゃんは自信満々で料理店をつくりました。
そして一番最初のお客さんが入ってきました。
ドキドキワクワクの料理タイム。
だいちゃんは心の中で鼻歌を歌いながら作ります。
そしてスプーンを手に取り、一口味見します。
「よし!味もバッチリ。お客さんもきっと美味いって言うぞ。」
だいちゃんはお客さんに料理を出しました。
「ごゆっくりどうぞ。」
そう言ってだいちゃんはキッチンに戻り、チラチラお客さんの顔をうかがいます。
「美味いって言え。それとも思いっきり笑顔になるか?」
心の中でそう思っていました。
けれどお客さんは何も言わず、
笑顔にもならず、
ただ静かに食べていました。
だいちゃんは急に不安になってきました。
「美味しく…ない?それともたまたまこのお客さんの口に合わないだけ?」
けれど二番目のお客さんも、
三番目のお客さんも同じです。
「美味い!」とも言わなければ、
美味しさのあまりに笑顔になる事も
ありません。
だいちゃんは思い切ってお客さんに
聞いてみました。
「あの…、美味しくなかったですか?」
お客さんは答えます。
「美味しい、というかなんというか…、
普通かな?」
だいちゃんはすっかり自信をなくしてしまいました。
今までずっと美味しい料理の為に勉強して、
何度も失敗して、繰り返し作って、やっと美味しい料理を作れるようになったのに「普通」?
自分では美味しいつもりの料理なのかな?
僕の舌がおかしいのかな?
だいちゃんは頭をかかえます。
美味しい料理って何?美味しいって何?
そんな時、だいちゃんは思い出しました。
「お母さん、美味しい料理を作るコツってなぁに?」
「いっぱい勉強して、いっぱい練習する事よ。」
「お母さんもいっぱい練習したの?」
「いっぱい練習して、いっぱい失敗したの。だからだいちゃんもいっぱい失敗すると思う。でもね、諦めちゃダメよ。」
だいちゃんはつぶやきました。
「そうだ…。勉強しなきゃ。」
だいちゃんは自分のお店をほったらかしにして、他の人のお店に入りました。
他の人の料理の何がどう美味しいのか、調べて比べて、自分の料理に生かそうと考えたのです。
食べて調べてメモして、
食べて調べてメモして、
そうしているうちに、だんだんお金がなくなってきました。
だいちゃんはいよいよ頭をかかえました。だいちゃんも生活の為にお店を開けないといけませんでした。
でも仕方ありません。
普通の料理を作る普通の料理人。
僕はその程度の器なんだ。
そう諦めて、だいちゃんは作った料理に願いをかけました。
「せめて!せめてお客さんの為に美味しくなれと祈らせてくれ!」
するとどうでしょう。だいちゃんの料理がパッと輝いて見えました。
だいちゃんは恐る恐るお客さんに料理を出しました。
「美味しい!」
お客さんが一口食べてそう言いました。だいちゃんの願いが届いたのです。
だいちゃんは気づきました。
「そうか!僕はずっと自分の為だけを考えて料理を作ってきた。お客さんの為、という思いが欠けていたんだ。」
それからだいちゃんはずっと
「お客さんの為に美味しくなってくれ。」
と願いながら料理を作り続けました。
食いしん坊だいちゃんは食いしん坊だったから料理人になり、自分の為だけじゃなく、お客さんの為の料理を作る事を覚えたのです。
だいちゃんはお店に神棚を作り、毎日手を合わせて願います。
「神様、今日もお客さんの為に美味しい料理が作れますように。」
~完~
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