23 / 26
ヒデオ6
しおりを挟む
どうもどうも私だ! ヒデオだ!
さっそくだがヒデオピンチだ!
何故ならクラスメイトのナントカ君が、マサコさんに惚れたとカミングアウト。
今までマサコさん以外眼中になかったがよくよく見るとナントカ君……モテていらっしゃる!
いわゆる男前というものだ! ヒデオと比べたら月とフナムシだ!
さらにさらに私はマサコさんとケンカ中という不利な状況! これはいち早く仲直りをしないと!
「おーい、学級委員ー。お前今日ヒマー?」
おや? あほ教師が何か言ってますな。どうせまた面倒な事を頼まれるに違いない。
「いえ、忙しいです」
「そっかー。んじゃ、誰かヒマな奴ー。欠席者にプリント届けてくれないかー?」
「是非行きましょう」
やったーーーー! マサコさんのお家へのチケットを手に入れたぞ! 何とか仲直りするぞ!
担任から住所を聞き意気揚々とマサコさん宅へと向かった。
おや? 誰かいるぞ。
「よお、また会ったな」
私を呼び止めたのは不良らしき人物三名。
「この間のオトシマエつけに来たぜ」
しかし私はこの人物達に見覚えはなかった。どうやら人違いのようだ。そんな事よりも一秒でも早くマサコさんに会って謝りたかった。私は軽く会釈をして通り過ぎた。
「待てや! シカトしてんじゃねえぞ!」
もーう! うやむやにして通り過ぎたかったのに!
そんなに強く肩つかむなよ! ギュイーンて! ヒデオ、ギュイーンってすごい勢いで振り向いたよ!
遠心力でプリントひゅいーんって飛んでったよ!
覚えてますよ入学式の時の不良ABCでしょ? 覚えてるから無視しようとしたの!
「おい、オトシマエつけに来たっつってんだろ?」
何よオトシマエって! ヒデオの脳内で漢字に変換できない言葉は使わないでよ!
「てめぇ、あの時はよくもやってくれたな」
ヒデオ何もやってないし。
「ちょ、僕急いでるんですが……」
「関係ねえよ!」
関係ないなら解放して欲しい。
「ぼ、僕に何の用ですか?」
「だからっ!」
うわあ、すっごいイライラしてらっしゃる。しかし、これはチャンス。イライラさせて隙を見て逃げちゃおう作戦!
「俺らはあの時の借りを返しに来たんだよ!」
「何かお貸ししてましたっけ?」
「てめぇ、ふざけんなよ!」
よし、今だ!
「何逃げようとしてんだよ!」
ちょ、ちょ、ちょ、首ねっこ掴まないで。ヒデオ浮いてるヒデオ浮いてる。宙を駆けてる。
「ぐわぁ!」
え? 何事?
不良Aが急に吹っ飛び、道に投げ出されるヒデオ。そして、不良B、Cともに叫びながら倒れていく。
恐る恐る振り返った私の視界に映ったのは……。
「テメーら、死ぬ覚悟は出来てんだろうな?」
救いの女神ならぬ鬼神の如く現れたマサコさんの姿が。
ていうか何気にヒデオヒロインポジションだね。
「マサコしゃん」
どうもどうも私だ。出だしから盛大に噛んだヒデオら。
いやあ、もう不良達が目の前で、メッタメタのギッタギタにされていてね。ヒデオ、震えが止まりません。
おっと、勘違いしないでくれたまえ。武者震いだ、もしくはアル中だ。アルゼンチン中毒ね。ヤバい、ビビりすぎてボケが雑だ。
「大丈夫か? ヒデオ」
「ひゃい」
マサコさんの手をとって格好良くふらつきながら立ち上がる私。
「こいつら、あの時私がシメた奴らだな」
「え?」
「悪かったな、巻き込んじまって」
マサコさんカッケエ!
「あ、謝らないで下さい! マサコさんは悪くないでしゅ!」
「ヒデオ?」
「謝らなきゃいけないのはボキュの方ですよ!」
「……え?」
「昨日は、ごめんなさい! 話を、聞いてなかった訳やないんでふ!」
何回噛むのよ私ぃ! 回れ! ヒデオのろれつ勢い良く回れっ!
「マサコさんが、せっかく自分の事を話してくれたのに……僕は相槌を打つ事さえ忘れてしまってたんです。なぜなら、寂しげなあなたの姿が……美ししゅぎたから……」
残念すぎるよ、ヒデオ!
「ぷっ……何回噛むんだよ」
とうとう笑われた。
「あたしの方こそ、ひっぱたいたりしてごめんな」
そう言ってマサコさんが私の頭を優しく撫でる。立場が逆すぎるよマサコさん。何かヒデオ格好悪いし。よし、私もマサコさんの頭を撫でるぞ。
「…………?」
そして、お互い頭を掴みあっているという奇妙な構図が出来上がった。
「と、とりあえず」
「とりあえずじゃねえよ、何だよ今の。挑戦か?」
「ちち、違いますよ!」
そんな自殺行為ヒデオがするはずないじゃない。鶴よりも亀よりも長生きしたいヒデオなのに。
「つーか、お前んち通り過ぎてるだろ? 何やってたんだ?」
「ああ、そうそう! プリントを届けに来たんです!」
「別にいいのに、そんなの」
「そうですか! なら良かった。今の騒ぎでどっか飛んで行っちゃいました!」
マサコさん大爆笑。ヒデオ渾身の小林の小咄は真顔だったのに。
しかし、こんな風に無邪気に笑うマサコさんは天使のようだ。返り血浴びまくってるけど。いや、愛というフィルターを通せばそれも薔薇の花びらのように見えるね。
「…………」
はっ! マサコさんがこちらをじっと見ていらっしゃる!
まずい、また思考がお散歩していた!
「あ、あの、マサコさん」
「見とれてんじゃねーよ、バーカ」
そう言ってマサコさんはその細い指でヒデオのおでこをコツーンって……。
何なのそのかわいい仕草何そのかわいい行動! ヒデオ鼻血出そうになったよ! 小突かれた額は爪が刺さって血が出てるけどね!
さっそくだがヒデオピンチだ!
何故ならクラスメイトのナントカ君が、マサコさんに惚れたとカミングアウト。
今までマサコさん以外眼中になかったがよくよく見るとナントカ君……モテていらっしゃる!
いわゆる男前というものだ! ヒデオと比べたら月とフナムシだ!
さらにさらに私はマサコさんとケンカ中という不利な状況! これはいち早く仲直りをしないと!
「おーい、学級委員ー。お前今日ヒマー?」
おや? あほ教師が何か言ってますな。どうせまた面倒な事を頼まれるに違いない。
「いえ、忙しいです」
「そっかー。んじゃ、誰かヒマな奴ー。欠席者にプリント届けてくれないかー?」
「是非行きましょう」
やったーーーー! マサコさんのお家へのチケットを手に入れたぞ! 何とか仲直りするぞ!
担任から住所を聞き意気揚々とマサコさん宅へと向かった。
おや? 誰かいるぞ。
「よお、また会ったな」
私を呼び止めたのは不良らしき人物三名。
「この間のオトシマエつけに来たぜ」
しかし私はこの人物達に見覚えはなかった。どうやら人違いのようだ。そんな事よりも一秒でも早くマサコさんに会って謝りたかった。私は軽く会釈をして通り過ぎた。
「待てや! シカトしてんじゃねえぞ!」
もーう! うやむやにして通り過ぎたかったのに!
そんなに強く肩つかむなよ! ギュイーンて! ヒデオ、ギュイーンってすごい勢いで振り向いたよ!
遠心力でプリントひゅいーんって飛んでったよ!
覚えてますよ入学式の時の不良ABCでしょ? 覚えてるから無視しようとしたの!
「おい、オトシマエつけに来たっつってんだろ?」
何よオトシマエって! ヒデオの脳内で漢字に変換できない言葉は使わないでよ!
「てめぇ、あの時はよくもやってくれたな」
ヒデオ何もやってないし。
「ちょ、僕急いでるんですが……」
「関係ねえよ!」
関係ないなら解放して欲しい。
「ぼ、僕に何の用ですか?」
「だからっ!」
うわあ、すっごいイライラしてらっしゃる。しかし、これはチャンス。イライラさせて隙を見て逃げちゃおう作戦!
「俺らはあの時の借りを返しに来たんだよ!」
「何かお貸ししてましたっけ?」
「てめぇ、ふざけんなよ!」
よし、今だ!
「何逃げようとしてんだよ!」
ちょ、ちょ、ちょ、首ねっこ掴まないで。ヒデオ浮いてるヒデオ浮いてる。宙を駆けてる。
「ぐわぁ!」
え? 何事?
不良Aが急に吹っ飛び、道に投げ出されるヒデオ。そして、不良B、Cともに叫びながら倒れていく。
恐る恐る振り返った私の視界に映ったのは……。
「テメーら、死ぬ覚悟は出来てんだろうな?」
救いの女神ならぬ鬼神の如く現れたマサコさんの姿が。
ていうか何気にヒデオヒロインポジションだね。
「マサコしゃん」
どうもどうも私だ。出だしから盛大に噛んだヒデオら。
いやあ、もう不良達が目の前で、メッタメタのギッタギタにされていてね。ヒデオ、震えが止まりません。
おっと、勘違いしないでくれたまえ。武者震いだ、もしくはアル中だ。アルゼンチン中毒ね。ヤバい、ビビりすぎてボケが雑だ。
「大丈夫か? ヒデオ」
「ひゃい」
マサコさんの手をとって格好良くふらつきながら立ち上がる私。
「こいつら、あの時私がシメた奴らだな」
「え?」
「悪かったな、巻き込んじまって」
マサコさんカッケエ!
「あ、謝らないで下さい! マサコさんは悪くないでしゅ!」
「ヒデオ?」
「謝らなきゃいけないのはボキュの方ですよ!」
「……え?」
「昨日は、ごめんなさい! 話を、聞いてなかった訳やないんでふ!」
何回噛むのよ私ぃ! 回れ! ヒデオのろれつ勢い良く回れっ!
「マサコさんが、せっかく自分の事を話してくれたのに……僕は相槌を打つ事さえ忘れてしまってたんです。なぜなら、寂しげなあなたの姿が……美ししゅぎたから……」
残念すぎるよ、ヒデオ!
「ぷっ……何回噛むんだよ」
とうとう笑われた。
「あたしの方こそ、ひっぱたいたりしてごめんな」
そう言ってマサコさんが私の頭を優しく撫でる。立場が逆すぎるよマサコさん。何かヒデオ格好悪いし。よし、私もマサコさんの頭を撫でるぞ。
「…………?」
そして、お互い頭を掴みあっているという奇妙な構図が出来上がった。
「と、とりあえず」
「とりあえずじゃねえよ、何だよ今の。挑戦か?」
「ちち、違いますよ!」
そんな自殺行為ヒデオがするはずないじゃない。鶴よりも亀よりも長生きしたいヒデオなのに。
「つーか、お前んち通り過ぎてるだろ? 何やってたんだ?」
「ああ、そうそう! プリントを届けに来たんです!」
「別にいいのに、そんなの」
「そうですか! なら良かった。今の騒ぎでどっか飛んで行っちゃいました!」
マサコさん大爆笑。ヒデオ渾身の小林の小咄は真顔だったのに。
しかし、こんな風に無邪気に笑うマサコさんは天使のようだ。返り血浴びまくってるけど。いや、愛というフィルターを通せばそれも薔薇の花びらのように見えるね。
「…………」
はっ! マサコさんがこちらをじっと見ていらっしゃる!
まずい、また思考がお散歩していた!
「あ、あの、マサコさん」
「見とれてんじゃねーよ、バーカ」
そう言ってマサコさんはその細い指でヒデオのおでこをコツーンって……。
何なのそのかわいい仕草何そのかわいい行動! ヒデオ鼻血出そうになったよ! 小突かれた額は爪が刺さって血が出てるけどね!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる