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年の瀬の約束
クリスマスデートが終わりそのまま冬休みに突入したオレは、玲さんと連絡を取ったりデートしたりしつつ、参考書や資料片手に勉強に取り組んでいた。
オレの首には、玲さんからのクリスマスプレゼントで貰った2連リングのネックレスが揺れてて、それがチラリとでも視界に入るたびにやにやしてしまう。
ちなみに、オレが贈ったネクタイは次の日にさっそく着けてくれて、写真まで撮って教えてくれた。あとから、会社の人にネクタイの事を褒められて恋人に貰ったって自慢したと聞いて度肝を抜いたけど。
でもそれだけ喜んでくれたんだと思うと嬉しい。
そろそろ夕飯の時間だしとテーブルの上を片付け、床から立ち上がった時スマホが通知音を鳴らした。
玲さんかなと思って開くと母親からで、年末年始はどうするのかって連絡だった。
(忘れてた⋯)
いつもなら帰るか帰らないかの連絡はするんだけど、いろいろあって頭にもなかった。
どうしよう⋯一応、玲さんの予定を聞いてから返事した方がいいのかな。
一旦母親とのトーク画面を閉じ、玲さんの名前をタップしてオレは考えながら文字を打ち始める。
まだ帰ってきた連絡はないから、会社にいるかもしれないけど。
『玲さんは、年末年始はどうしてますか?』
返信はゆっくり待とうとキッチンに行き、野菜や肉を出して玲さんから教えて貰ったレシピを開く。
最初こそ指を切ったり火傷したり生焼けだったりと散々だったけど、何度か作った事があるものなら味付けも完璧に出来るようになった。新しいレシピは必ず失敗するんだけど。
「玲さんの手料理、食べてみたいなぁ⋯」
相変わらず料理の写真をくれるけど、盛り付けも綺麗で本当にお店で出てくるようなのばっかりなんだよな。空腹時に見たらもうヤバい。
いつかは食べさせてくれたりするだろうか。
野菜を不揃いにカットし、肉と一緒に炒めて合わせ調味料で味付ける。
いつの間にか軽量スプーンとか軽量カップとか増えてて、調味料も玲さんに聞いて揃えた。おかげでキッチンが充実してて、料理を楽しいと思い始めてる。
「あ」
スマホでレシピを見ていたらSNSの通知が来て、それをタップして表示させたオレは気の抜けた笑みを浮かべる。
『天音くんと過ごせるなら嬉しいけど、友達に誘われてたり実家に帰ったりするかもだから、天音くんの予定を優先させてね』
「また言ってる」
どんな時でもオレの予定を気にしてくれるのは嬉しいけど、たまにはぐいぐいきてくれてもいいのにな。
『実家に帰ろうかどうか迷ってます』
『顔を見せてあげると喜ぶよ』
『でもオレ、玲さんとも過ごしたいんです』
だから迷ってるっていうのもあるけど。
そう送ったら、少ししてからメッセージじゃなく電話が鳴って、オレは目を瞬きつつ通話ボタンを押した。
『ズルいよ、天音くん』
「へ?」
もしもしって言う前にそんな言葉が聞こえて、何がズルいのか分からず間抜けな声を出したら玲さんが電話越しに溜め息をく。
オレ、何か変な文送ったっけ。
『俺とも過ごしたいって⋯あんな事言われたら、実家に帰せなくなるよ』
「え、でも本心ですし⋯」
『ほんとにズルい』
そんなズルいズルい言わなくても。
どう返せばいいか分からなくて悩んでると、玲さんが静かな声で話し出す。
『帰るか帰らないかは天音くんが決めるといいよ。でも、少しでもご両親に会いたい気持ちがあるなら帰った方がいい。俺とはそのあとだって一緒にいられるから』
「はい⋯」
『でも、実家に帰る前に少しでも会えたら嬉しいかな』
そんな優しい声でそんな事を言う方がズルい気がする。
オレはカレンダーを見て今年最後のバイト日を確認すると、数字を軽く叩いて1人頷いた。
「じゃあ、30日は空いてますか?」
『仕事が終わってからになるけど、それでもいいなら』
「会えるなら何時でも。玲さん側の駅行きます」
『駄目。迎えに行くから、マンションで待ってて』
仕事ならオレが玲さんに合わせた方がいいって思っての提案だったんだけど、即座に却下されてしまいオレは苦笑する。
オレに何かあるかもって考えてるのは玲さんだけだ。
まぁクリスマスは我儘聞いて貰ったし心配させたい訳じゃないから、それで玲さんが安心するならいっか。
「はい、じゃあ待ってますね」
『たぶん19時までには行けると思う』
「分かりました」
『ちなみに食べたいものある?』
そう聞かれた瞬間、頭に浮かんだのは玲さんの料理だった。
でも言っていいのか分からなくて「うーん」って唸ってたら、玲さんが『良かったらなんだけど』って切り出す。
『うちで食べる?』
「え⋯いいんですか?」
『年末はどこも混むし、うちなら天音くんが食べたいもの作ってあげられるから』
「うわぁ、嬉しいです」
食べたいものを玲さんの手作りで食べられるなんて、そんな贅沢な事ない。
テンションも上がり、自分でも分かるくらい明るい声で答えれば玲さんはホッとしたように息を吐いた。
今度聞いてみようって思ってた事がこんなにすぐ叶うなんて。
『当日は会社を出る時に連絡するから』
「はい、楽しみにしてます」
『俺も楽しみだよ。じゃあまたあとで』
「はい!」
あとでっていうのはいつもの寝る前にするやり取りの事で、挨拶して通話を終えたオレは次に母親へ大晦日に帰る旨を連絡してまたレシピを表示させた。
そうだ、お邪魔するなら手土産あった方がいいよな。
お酒とか持って行ったら、玲さんも飲んでくれたりするんだろうか。
オレの首には、玲さんからのクリスマスプレゼントで貰った2連リングのネックレスが揺れてて、それがチラリとでも視界に入るたびにやにやしてしまう。
ちなみに、オレが贈ったネクタイは次の日にさっそく着けてくれて、写真まで撮って教えてくれた。あとから、会社の人にネクタイの事を褒められて恋人に貰ったって自慢したと聞いて度肝を抜いたけど。
でもそれだけ喜んでくれたんだと思うと嬉しい。
そろそろ夕飯の時間だしとテーブルの上を片付け、床から立ち上がった時スマホが通知音を鳴らした。
玲さんかなと思って開くと母親からで、年末年始はどうするのかって連絡だった。
(忘れてた⋯)
いつもなら帰るか帰らないかの連絡はするんだけど、いろいろあって頭にもなかった。
どうしよう⋯一応、玲さんの予定を聞いてから返事した方がいいのかな。
一旦母親とのトーク画面を閉じ、玲さんの名前をタップしてオレは考えながら文字を打ち始める。
まだ帰ってきた連絡はないから、会社にいるかもしれないけど。
『玲さんは、年末年始はどうしてますか?』
返信はゆっくり待とうとキッチンに行き、野菜や肉を出して玲さんから教えて貰ったレシピを開く。
最初こそ指を切ったり火傷したり生焼けだったりと散々だったけど、何度か作った事があるものなら味付けも完璧に出来るようになった。新しいレシピは必ず失敗するんだけど。
「玲さんの手料理、食べてみたいなぁ⋯」
相変わらず料理の写真をくれるけど、盛り付けも綺麗で本当にお店で出てくるようなのばっかりなんだよな。空腹時に見たらもうヤバい。
いつかは食べさせてくれたりするだろうか。
野菜を不揃いにカットし、肉と一緒に炒めて合わせ調味料で味付ける。
いつの間にか軽量スプーンとか軽量カップとか増えてて、調味料も玲さんに聞いて揃えた。おかげでキッチンが充実してて、料理を楽しいと思い始めてる。
「あ」
スマホでレシピを見ていたらSNSの通知が来て、それをタップして表示させたオレは気の抜けた笑みを浮かべる。
『天音くんと過ごせるなら嬉しいけど、友達に誘われてたり実家に帰ったりするかもだから、天音くんの予定を優先させてね』
「また言ってる」
どんな時でもオレの予定を気にしてくれるのは嬉しいけど、たまにはぐいぐいきてくれてもいいのにな。
『実家に帰ろうかどうか迷ってます』
『顔を見せてあげると喜ぶよ』
『でもオレ、玲さんとも過ごしたいんです』
だから迷ってるっていうのもあるけど。
そう送ったら、少ししてからメッセージじゃなく電話が鳴って、オレは目を瞬きつつ通話ボタンを押した。
『ズルいよ、天音くん』
「へ?」
もしもしって言う前にそんな言葉が聞こえて、何がズルいのか分からず間抜けな声を出したら玲さんが電話越しに溜め息をく。
オレ、何か変な文送ったっけ。
『俺とも過ごしたいって⋯あんな事言われたら、実家に帰せなくなるよ』
「え、でも本心ですし⋯」
『ほんとにズルい』
そんなズルいズルい言わなくても。
どう返せばいいか分からなくて悩んでると、玲さんが静かな声で話し出す。
『帰るか帰らないかは天音くんが決めるといいよ。でも、少しでもご両親に会いたい気持ちがあるなら帰った方がいい。俺とはそのあとだって一緒にいられるから』
「はい⋯」
『でも、実家に帰る前に少しでも会えたら嬉しいかな』
そんな優しい声でそんな事を言う方がズルい気がする。
オレはカレンダーを見て今年最後のバイト日を確認すると、数字を軽く叩いて1人頷いた。
「じゃあ、30日は空いてますか?」
『仕事が終わってからになるけど、それでもいいなら』
「会えるなら何時でも。玲さん側の駅行きます」
『駄目。迎えに行くから、マンションで待ってて』
仕事ならオレが玲さんに合わせた方がいいって思っての提案だったんだけど、即座に却下されてしまいオレは苦笑する。
オレに何かあるかもって考えてるのは玲さんだけだ。
まぁクリスマスは我儘聞いて貰ったし心配させたい訳じゃないから、それで玲さんが安心するならいっか。
「はい、じゃあ待ってますね」
『たぶん19時までには行けると思う』
「分かりました」
『ちなみに食べたいものある?』
そう聞かれた瞬間、頭に浮かんだのは玲さんの料理だった。
でも言っていいのか分からなくて「うーん」って唸ってたら、玲さんが『良かったらなんだけど』って切り出す。
『うちで食べる?』
「え⋯いいんですか?」
『年末はどこも混むし、うちなら天音くんが食べたいもの作ってあげられるから』
「うわぁ、嬉しいです」
食べたいものを玲さんの手作りで食べられるなんて、そんな贅沢な事ない。
テンションも上がり、自分でも分かるくらい明るい声で答えれば玲さんはホッとしたように息を吐いた。
今度聞いてみようって思ってた事がこんなにすぐ叶うなんて。
『当日は会社を出る時に連絡するから』
「はい、楽しみにしてます」
『俺も楽しみだよ。じゃあまたあとで』
「はい!」
あとでっていうのはいつもの寝る前にするやり取りの事で、挨拶して通話を終えたオレは次に母親へ大晦日に帰る旨を連絡してまたレシピを表示させた。
そうだ、お邪魔するなら手土産あった方がいいよな。
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