モテモテ王子の秘密をうっかり知ったら溺愛されるようになりました

ミヅハ

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『誕生日、どこか行きたいとこあるか?』

 夏休み前に櫂くんからそう聞かれた俺はギリギリまでネット検索しながら考えてたんだけど、どこかに行けば必ずと言っていいほど櫂くんがナンパされるからそれなら二人でのんびり過ごしたいなって結論に至った。
 でも櫂くんは出掛けたかったかもと思いつつそう伝えると、目を瞬いたあと笑って頷いてくれたから大丈夫みたい。
 どんな風にのんびりしようかを一緒に考えて、まだシリーズ物で見れていない映画を観れるだけ観ようって決めて、お菓子とかジュースを買い込んだ。
 ご馳走とケーキはまた用意してくれるそうだからお言葉に甘えて、櫂くんと二人だけの時間を過ごす。
 ちなみにウィルさんと直美さんは仕事で、夕方にならないと帰って来ないんだって。
 という訳で、現在シリーズ四作品目を見てるんだけど⋯おかしいな。櫂くんの隣にいたはずなのにいつの間にか膝の間に移動してる。

「っつかさ、好きならさっさと告ればいいのにな」
「恥ずかしくてなかなか言えないんじゃないかな」
「そんなん言ってる間に、別のヤツに掻っ攫われたらどうすんだか」
「でも主人公も満更でもなさそうだよ?」

 今見てるのは洋画なんだけど、王道ファンタジーでありながら恋愛要素が強い。主人公と騎士はどう見ても両思いなのに、色んな邪魔が入っては擦れ違ったり拗れたりしてる。
 四作目にしてまだくっついてないのは確かにもどかしいけど、二人の距離は一作目よりも格段に近付いてるから時間の問題じゃないかな。ほら、今だって手を繋いでるし。
 櫂くんの手が俺の頭に乗せられて撫でてくる。

「早くくっつきゃ、煩わしいもんもなくなんのに。大体、何で二人きりでいい雰囲気になっても伝えねぇんだよ。こいつホントに男か?」

 煩わしいものが何かは分からないけど、結構辛辣な事を言う櫂くんを見上げたらふっと笑って目蓋にキスされる。
 反射的に目を閉じて首を竦めると今度は猫にするみたいに顎を擽ってきたから、それから逃げるように上を向いたら待ってたかのように唇が塞がれた。数回啄まれたあと離れ、強めに抱き締められる。
 顔中に雨みたいにキスが降ってきてちょっと恥ずかしい。

「か、櫂くん、映画⋯」
「見てる見てる」
「み、見てない⋯っ」

 ずっと唇が触れてるんだから、目を瞑ってる俺だってそれが嘘なのは分かる。
 ただキスされてるだけなのにムズムズしてきて、小刻みに身体を震わせてたら裾から大きな手が入ってきた。
 脇腹を撫で上げられ肌が粟立つ。

「ん⋯」
「⋯も〝のんびり〟に入ると思うか?」
「入る⋯のかな⋯」
「じゃ、入るって事にするか」

 映画はまだ中盤で、ほのぼのとした日常シーンが流れてる。
 それなのに俺たちは今から不健全な事をしようとしていて、櫂くんの手は俺の胸元まできて尖りを指の腹で押し潰した。

「ンッ⋯」

 優しく円を描くように撫でられお腹の下が疼き始める。するたびにここを弄られるから今ではすっかり敏感になってて、服越しでも櫂くんに触られるとぷくっとしてしまう。
 たまにシャツが擦れてジンジンする事もあるけど。

「奏斗の乳首、ちっちゃくて可愛いな」
「⋯っ⋯ゃ、ん⋯」
「誕生日だから、して欲しい事全部してやるよ。何して欲しい?」
「⋯⋯キス⋯」

 顔のどこかしらに口付けられてても唇にはまだなくて、恥ずかしさを感じながらも蚊の鳴くような声で言えば優しく笑ったあとキスをしてくれる。
 舌が入ってきて、自分からちょんちょんってつつくと掬われて裏側を舐められた。
 絡め合ったり、吸い合ったり、上顎を舌先でなぞられたり。頭がふわふわして気持ち良くて、俺はもっともっとってねだってた。

「⋯奏斗、キス好きだよな」
「ん⋯櫂くんとのキス、気持ちい⋯」
「そっか」

 誰かとキスをした事なんてないけど、櫂くんだからこんなに気持ちよくて幸せな気持ちになるんだろうな。
 櫂くんの唇を食んでると、少しだけ腰が浮かされ下着ごとズボンがずらされる。止める間もなくすっかり大きくなった自身が露わになって、慌ててシャツの裾を引っ張って隠したんだけど代わりにかお尻が撫でられて変な声が出た。

「ほら、手ぇどけてみ?」
「⋯や、やだ⋯」
「何で」
「恥ずかし⋯から⋯」
「もっと恥ずかしい事してんのに」

 ムニムニとお尻を揉みながら櫂くんが楽しそうに突っ込んでくる。
 それは分かってるけど、本当に恥ずかしい時はもう何も考えられなくなってるから今と比べるのはちょっと違う気が⋯。
 それにしたって、櫂くんは余裕そうでズルい。
 俺はシャツから手を離して櫂くんの首に抱き着き肩口へと顔を埋める。

「櫂くん⋯」
「ん?」
「⋯好きって、言って⋯」

 想われてるのは充分分かってるんだけど、たまには言葉で聞きたくてそうねだれば吐息で笑った櫂くんが頭にキスしてきた。

「好きだよ。⋯愛してる」
「あ、愛⋯?」
「それでも足りねぇくらいだけどな」
「⋯⋯⋯」

 もしかしなくても、櫂くんの気持ちって俺が思うよりもうんと大きかったりするのかな。
 ねだっておいて照れ臭くなった俺は、それでも同じ気持ちを返したいと思って顔を上げると目を瞬いている櫂くんの唇へと自分の唇を押し当てた。

「お、俺も⋯⋯愛してる⋯っ」

 櫂くんを好きって自覚した時よりも気持ちは膨らみまくっていて、もし可視化出来てたらみんながびっくりするくらい大きくなってると思う。
 でも慣れない言葉を口にするのは恥ずかしいから言ってすぐに顔を逸らしたら、顎が捉えられて噛み付くように唇が塞がれた。さっきとは違う荒々しさにすぐに息が上がり、くたっとした俺を抱いて立ち上がった櫂くんがベッドへと乗り上げる。
 ふと見えた顔からは余裕が消えていて、熱のこもった目で見つめられて後ろがきゅんとした。どうしよう⋯もう櫂くんが欲しくて堪らない。
 腕を伸ばし櫂くんの頬に触れた俺は、少しだけ汗ばんでいる頬へと口付けた。
 早く、何も考えられないくらいドロドロにして欲しい。
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