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一緒に頑張る
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今年の櫂くんの誕生日は、小さめのショートケーキを作ってプレゼントの財布と一緒に渡した。何で財布にしたのかって言うと、二週間くらい前にそろそろ買い替え時かなって呟いてたのを聞いたから。
贈る時に新しいの買ってたらどうしようって思ったけど、独り言のつもりだったらしい櫂くんが何で分かったんだ? って顔してたからサプライズは無事大成功を迎えた。
ホッと胸を撫で下ろしたのは、櫂くんには内緒。
共通テストを終え二次試験を目前に控えた俺と櫂くんは、揃ってお父さんに一緒に暮らす話をした。
出来れば卒業後には引っ越したかったんだけど、初期費用や家具家電とかは俺と櫂くんの貯金ではとても賄えそうになくて、しばらくはお互いバイトをして貯める事になりそう。
それも社会勉強だよねって櫂くんと話して納得はしたけど、正直ちょっとガッカリだ。
お父さんは、二人共が合格したらそれでいいよって言ってくれたからあとは俺の頑張り次第。実質Cっていう可もなく不可もなくな成績だし、もう少し頑張れば何とかなりそうだ。櫂くん様様です。
そんな櫂くんはもちろんA判定で、最難関でさえ合格間違いなしって太鼓判を押されてる。先生たち興奮してたなぁ。
ちなみにウィルさんと直美さんには話すまでもなく、当然のように「一緒に暮らすでしょ?」って言われたから何も言わずに終わってしまった。
どっちの親からも大きく反対されないのは嬉しかったな。
それから三年生が自由登校になり、いろいろ忙しくなって櫂くんと会う時間が減りつつも連絡だけは毎日取るようにして数日、俺も櫂くんもいよいよ二次試験当日を迎えた。
前日から、口から心臓が飛び出そうなほど緊張して震えまくってた俺だけど、どうにかやりきる事が出来たから一安心ではある。あとはもう祈るしかない。
櫂くんも頑張ってるかななんて思いながら帰宅した俺は、玄関前に立ってる人を見て目を瞬いた。
「櫂くん⋯?」
「お疲れ」
驚きつつも駆け寄るなり腕が掴まれて抱き締められる。この腕に包まれるのも四日振りで、じんわりと温かいものが胸に広がっていった。
背中に腕を回し肩に頬を寄せると額に唇が触れる。
「手応えは?」
「まあまあ、かな。櫂くんはバッチリ?」
「当然。解答欄ズレてねぇ限りは大丈夫だろ」
「自信満々だ、カッコいい」
クスクスと笑いながら見上げてそう言うと、器用に片眉を跳ね上げた櫂くんに頭を撫でられる。
このまま外にいるのは寒いし家に入って貰いたくて促そうとしたら、更に腕の力が強くなって髪に頬擦りされた。
「⋯このままうちに攫っていい?」
「え?」
「奏斗不足」
今日まで会える日はあっても家にお邪魔したり泊まったりはなくて、俺も確かにもうちょっとイチャイチャしたいなって思ってた。満たされていてもどこか隙間があるような⋯それが不足してるって事なのかな。
だとしたら、俺も櫂くんが足りてない。
さっきよりも身体を密着させ、櫂くんの手を取り頬へと押し当てて微笑む。
「うん、攫って欲しい」
「一日離してやれねぇかもだけど⋯」
「いいよ」
一緒にいられるなら何だっていい。傍にいて、たくさん触れて欲しい。
櫂くんにされて嫌な事なんてないから一も二もなく頷いた俺に目を細めた櫂くんは、俺の頬を撫でると柔らかく微笑んだ。
なんか、この笑顔も久し振りな気がする。
ガタガタと音を立てながら櫂くんの部屋に入るなり唇を塞がれた俺は、あまりの激しさに膝が震えて扉に寄り掛かったままずるずると座り込んだ。それでもキスは続いて、何度も角度を変え舌を吸われ頭がぼんやりしてくる。
息苦しくなって目の前の服を掴んだら糸を引きながら離れたけど、俺が立てないでいると扉に手をついた櫂くんが首筋に口付けてきた。
「ん⋯っ」
ウィルさんも直美さんも仕事でいないとはいえ、直美さんに至ってはいつ帰って来るか分からないから扉近くにいるままはマズい。
でも動けない俺は櫂くんの唇が触れるたび身体を戦慄かせる事しか出来なくて、櫂くんも余裕がないのかいつもより息が荒い気がする。
「奏斗⋯」
「⋯っ、ぁ⋯待って⋯」
「無理」
「櫂く⋯」
まだ上着も脱いでないのに、その下の更に制服の下に手が入り込んでくる。
直に脇腹が撫でられ、少しずつ上がっていく手に寒くないのに肌が粟立ってふるりと身体を震わせ、心臓の音が聞こえてしまわないか心配してたら指先が尖りに触れ首が竦んだ。
「ンッ」
親指で優しく転がされゾクゾクしてお腹の下が疼き始める。声が出そうで両手で押さえたら、眉を顰めた櫂くんに中指が甘噛みされた。
痛くはないけどその刺激にさえ甘さを感じて、もっと強く噛んで欲しいって変態じみた事を考えてしまう。櫂くんはしないだろうけど。
「⋯ふ⋯⋯櫂⋯くん⋯」
「⋯⋯抱き上げるな」
「ぅん⋯」
勝手に膝が擦り合わされ小刻みに息を吐いてたら、櫂くんが低い声でそう言って背中と腰に腕を回して抱き上げてくれた。そのままベッドに腰を下ろし、キスをしながら上着や制服のジャケットが脱がされていく。
俺が身軽になったあとに櫂くんもワイシャツ姿になり、緩めた襟元から覗く鎖骨に唇を寄せると強めに吸い付いてきた。このチクリとした痛みにもだいぶ慣れた気がする。
再び顔が近付いて、今度は軽く啄まれながら残りのボタンが外されて肩からシャツがストンと落ちた。
「⋯⋯奏斗」
「何?」
「早く同棲出来るように、一緒に頑張ろうな」
例え合格出来てもしなきゃいけない事はたくさんある。
きっと今以上に忙しくなるだろうし、会う時間の確保も難しくなりそうだけど、二人の願いを実現する為に出来る事は何だってしたい。
剥き出しの肌に櫂くんの唇が触れて少しだけ擽ったさを感じつつ、〝一緒に〟の言葉に嬉しくなった俺は満面の笑みで大きく頷いた。
櫂くんがいてくれるからこそ、俺は頑張れるんだから。
贈る時に新しいの買ってたらどうしようって思ったけど、独り言のつもりだったらしい櫂くんが何で分かったんだ? って顔してたからサプライズは無事大成功を迎えた。
ホッと胸を撫で下ろしたのは、櫂くんには内緒。
共通テストを終え二次試験を目前に控えた俺と櫂くんは、揃ってお父さんに一緒に暮らす話をした。
出来れば卒業後には引っ越したかったんだけど、初期費用や家具家電とかは俺と櫂くんの貯金ではとても賄えそうになくて、しばらくはお互いバイトをして貯める事になりそう。
それも社会勉強だよねって櫂くんと話して納得はしたけど、正直ちょっとガッカリだ。
お父さんは、二人共が合格したらそれでいいよって言ってくれたからあとは俺の頑張り次第。実質Cっていう可もなく不可もなくな成績だし、もう少し頑張れば何とかなりそうだ。櫂くん様様です。
そんな櫂くんはもちろんA判定で、最難関でさえ合格間違いなしって太鼓判を押されてる。先生たち興奮してたなぁ。
ちなみにウィルさんと直美さんには話すまでもなく、当然のように「一緒に暮らすでしょ?」って言われたから何も言わずに終わってしまった。
どっちの親からも大きく反対されないのは嬉しかったな。
それから三年生が自由登校になり、いろいろ忙しくなって櫂くんと会う時間が減りつつも連絡だけは毎日取るようにして数日、俺も櫂くんもいよいよ二次試験当日を迎えた。
前日から、口から心臓が飛び出そうなほど緊張して震えまくってた俺だけど、どうにかやりきる事が出来たから一安心ではある。あとはもう祈るしかない。
櫂くんも頑張ってるかななんて思いながら帰宅した俺は、玄関前に立ってる人を見て目を瞬いた。
「櫂くん⋯?」
「お疲れ」
驚きつつも駆け寄るなり腕が掴まれて抱き締められる。この腕に包まれるのも四日振りで、じんわりと温かいものが胸に広がっていった。
背中に腕を回し肩に頬を寄せると額に唇が触れる。
「手応えは?」
「まあまあ、かな。櫂くんはバッチリ?」
「当然。解答欄ズレてねぇ限りは大丈夫だろ」
「自信満々だ、カッコいい」
クスクスと笑いながら見上げてそう言うと、器用に片眉を跳ね上げた櫂くんに頭を撫でられる。
このまま外にいるのは寒いし家に入って貰いたくて促そうとしたら、更に腕の力が強くなって髪に頬擦りされた。
「⋯このままうちに攫っていい?」
「え?」
「奏斗不足」
今日まで会える日はあっても家にお邪魔したり泊まったりはなくて、俺も確かにもうちょっとイチャイチャしたいなって思ってた。満たされていてもどこか隙間があるような⋯それが不足してるって事なのかな。
だとしたら、俺も櫂くんが足りてない。
さっきよりも身体を密着させ、櫂くんの手を取り頬へと押し当てて微笑む。
「うん、攫って欲しい」
「一日離してやれねぇかもだけど⋯」
「いいよ」
一緒にいられるなら何だっていい。傍にいて、たくさん触れて欲しい。
櫂くんにされて嫌な事なんてないから一も二もなく頷いた俺に目を細めた櫂くんは、俺の頬を撫でると柔らかく微笑んだ。
なんか、この笑顔も久し振りな気がする。
ガタガタと音を立てながら櫂くんの部屋に入るなり唇を塞がれた俺は、あまりの激しさに膝が震えて扉に寄り掛かったままずるずると座り込んだ。それでもキスは続いて、何度も角度を変え舌を吸われ頭がぼんやりしてくる。
息苦しくなって目の前の服を掴んだら糸を引きながら離れたけど、俺が立てないでいると扉に手をついた櫂くんが首筋に口付けてきた。
「ん⋯っ」
ウィルさんも直美さんも仕事でいないとはいえ、直美さんに至ってはいつ帰って来るか分からないから扉近くにいるままはマズい。
でも動けない俺は櫂くんの唇が触れるたび身体を戦慄かせる事しか出来なくて、櫂くんも余裕がないのかいつもより息が荒い気がする。
「奏斗⋯」
「⋯っ、ぁ⋯待って⋯」
「無理」
「櫂く⋯」
まだ上着も脱いでないのに、その下の更に制服の下に手が入り込んでくる。
直に脇腹が撫でられ、少しずつ上がっていく手に寒くないのに肌が粟立ってふるりと身体を震わせ、心臓の音が聞こえてしまわないか心配してたら指先が尖りに触れ首が竦んだ。
「ンッ」
親指で優しく転がされゾクゾクしてお腹の下が疼き始める。声が出そうで両手で押さえたら、眉を顰めた櫂くんに中指が甘噛みされた。
痛くはないけどその刺激にさえ甘さを感じて、もっと強く噛んで欲しいって変態じみた事を考えてしまう。櫂くんはしないだろうけど。
「⋯ふ⋯⋯櫂⋯くん⋯」
「⋯⋯抱き上げるな」
「ぅん⋯」
勝手に膝が擦り合わされ小刻みに息を吐いてたら、櫂くんが低い声でそう言って背中と腰に腕を回して抱き上げてくれた。そのままベッドに腰を下ろし、キスをしながら上着や制服のジャケットが脱がされていく。
俺が身軽になったあとに櫂くんもワイシャツ姿になり、緩めた襟元から覗く鎖骨に唇を寄せると強めに吸い付いてきた。このチクリとした痛みにもだいぶ慣れた気がする。
再び顔が近付いて、今度は軽く啄まれながら残りのボタンが外されて肩からシャツがストンと落ちた。
「⋯⋯奏斗」
「何?」
「早く同棲出来るように、一緒に頑張ろうな」
例え合格出来てもしなきゃいけない事はたくさんある。
きっと今以上に忙しくなるだろうし、会う時間の確保も難しくなりそうだけど、二人の願いを実現する為に出来る事は何だってしたい。
剥き出しの肌に櫂くんの唇が触れて少しだけ擽ったさを感じつつ、〝一緒に〟の言葉に嬉しくなった俺は満面の笑みで大きく頷いた。
櫂くんがいてくれるからこそ、俺は頑張れるんだから。
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