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優しい友人
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翌朝、欠伸をしながら莉央、優里といつも待ち合わせてる場所に向かって歩いてたら後ろから声をかけられた。振り向くと笑顔の戸守がいて、俺はあからさまに顔を引き攣らせる。
「おはようございます、宮脇先輩!」
「⋯⋯おはよう」
「朝から先輩に会えて嬉しいです」
「⋯そっか」
なうでやさぐれてる俺には目を開けられないくらい眩しすぎる笑顔を向けてくれるけど、本当はその内側は黒いんじゃないかと疑ってる俺からしたら胡散臭く見える。今の俺が信用してるのはあの2人だけだし。
これ以上絡まれるのも面倒だし、さっさと合流して学校に行ってしまおう。
「柊也ー」
「何してんのー、行くよー」
少し離れた場所で女の子が2人、戸守に手を振って呼び掛けてる。
へぇ⋯両手に花とかやるな、コイツ。
「あ、ごめん。先に⋯」
「俺も友達と行くし、お前もそうしな」
「え、で、でも⋯」
「じゃあな」
コイツ、あの子たちに先に行ってって言おうとしたな。
そんな事はさせるかと被せて言えば慌てたように俺を見るたけど、一緒に行く気はないからさっさと背中を向けたらそれ以上は追っては来なかった。
視線は感じるけど無視だ無視。
「垂れ下がった耳と尻尾が見える」
「あいつ、大型犬タイプか」
「莉央、優里」
自分でも分かるくらい険しい顔をしていたらもう少し先で待ってるはずの2人がいて、俺を通り越して後ろの方を見ながらそう言うから誰の事か分かってしまった。
振り向いたら負けだと思ってる俺はそのまま歩き出す。
「いいから、行くぞ」
「話すくらいはしてあげたら?」
「話して好きになったらどうすんだ」
「柚琉は惚れっぽいからな」
ぶっちゃけて言えば戸守は俺の好みではある。
思ったよりも高い背だとか、案外しっかりしてそうな体格とか、耳に心地良い声とか。もちろんあの強強顔面もタイプだ。
でもここでうっかり惚れて、もしアイツが今までの比じゃないくらいとんでもない奴だったら今度こそ俺は爆発するだろうし、もう二度と恋愛したくなくなるかもしれないからそれなら最初から関わらない方がいいんだよ。
そもそも何でアイツは俺が好きなんだ? 転校してきたばっかなんだろ?
「俺、アイツとは初対面のはずなんだけどな」
「一目惚れじゃね?」
「柚琉、綺麗な顔してるもんね」
「莉央に言われるのは複雑だわ」
女の子より可愛い顔してる莉央はそれはもう男にモテる。でも優里との仲は学校内でも公認だし、少しでも手を出そうものなら優里の怒りを買うから遠巻きに熱烈な好意を寄せられていた。
そういう優里も男女問わずモテてるけど、莉央にしか興味ないのと近寄り難い雰囲気からひっそりと人気を博してる。
モテモテなのにお互いしか見えてないラブラブっぷりは、クソみたいな恋人しかいなかった俺にとっては憧れでもあった。
最近までの奴は今度こそって思えたんだけどなぁ。
「それに何回も言うけど、俺は普通だからな」
「すーぐそういう事言うんだから」
肩を竦めて言えば莉央がぶすくれながら腕に抱き着いてくる。
独占欲と嫉妬心の強い優里だけど、莉央が俺にくっつくのはある低度許容していて莉央もそれが分かってるから俺以外にはしない。でも莉央のファンからしたら腹立たしいらしく、周りがおいそれと近付けないのに俺が2人と友達なのも気に食わないって良くヒソヒソされてた。
今だって突き刺すような視線を嫌でも感じるし。
嫌がらせされないだけまだマシだけど、学校が近くなると毎回これだから嫌になるよ。
ま、かといって友達は辞めないけどな。
「あ、そうだ。ねぇ柚琉。遊びに行こうって話だけど、土曜日はどう?」
「でも土曜日から優里のとこ泊まるんだろ?」
「うん、だから遊んでから行こうかなって」
俺の恋愛遍歴を知ってる2人は本当に優しくて、今だって俺が落ち込んでるんじゃないかって気遣ってくれてる。
確かに落ち込んでるし自分の見る目のなさには呆れてるけど、週末を大事にしてるコイツらには2人だけの時間を過ごして欲しいから俺は笑顔で首を振った。
「ありがとう。でも大丈夫。甘い物でも食べて過ごすよ」
「柚琉⋯」
「土曜日、10時に駅前な」
「へ?」
「遅刻したり来なかったりしたら昼飯奢り」
有無を言わさない言葉にポカンとする俺を見てニヤリと笑った優里は、乱暴に俺の頭を撫でると莉央の肩を抱いて先に門へと入って行った。途端に生徒が色めき立ち端に避ける。
あれが優里なりの優しさで、莉央の気持ちも思いやった行動だって分かってる俺はその背中を見て思わず苦笑した。こういうとこ、ホント狡いよな。
俺の言葉を聞いて素直に引いてくれる莉央と違って優里はこうと決めたら絶対に引かないから、土曜日は10時までに行かないと本当に奢らされるだろう。1分でも遅れたらアウトだ。
せっかく誘ってくれたんだからと行く事にした俺は2人を追い掛け、広さの違う背中にタッチした。
俺の友達は2人ともあったかいな。
「おはようございます、宮脇先輩!」
「⋯⋯おはよう」
「朝から先輩に会えて嬉しいです」
「⋯そっか」
なうでやさぐれてる俺には目を開けられないくらい眩しすぎる笑顔を向けてくれるけど、本当はその内側は黒いんじゃないかと疑ってる俺からしたら胡散臭く見える。今の俺が信用してるのはあの2人だけだし。
これ以上絡まれるのも面倒だし、さっさと合流して学校に行ってしまおう。
「柊也ー」
「何してんのー、行くよー」
少し離れた場所で女の子が2人、戸守に手を振って呼び掛けてる。
へぇ⋯両手に花とかやるな、コイツ。
「あ、ごめん。先に⋯」
「俺も友達と行くし、お前もそうしな」
「え、で、でも⋯」
「じゃあな」
コイツ、あの子たちに先に行ってって言おうとしたな。
そんな事はさせるかと被せて言えば慌てたように俺を見るたけど、一緒に行く気はないからさっさと背中を向けたらそれ以上は追っては来なかった。
視線は感じるけど無視だ無視。
「垂れ下がった耳と尻尾が見える」
「あいつ、大型犬タイプか」
「莉央、優里」
自分でも分かるくらい険しい顔をしていたらもう少し先で待ってるはずの2人がいて、俺を通り越して後ろの方を見ながらそう言うから誰の事か分かってしまった。
振り向いたら負けだと思ってる俺はそのまま歩き出す。
「いいから、行くぞ」
「話すくらいはしてあげたら?」
「話して好きになったらどうすんだ」
「柚琉は惚れっぽいからな」
ぶっちゃけて言えば戸守は俺の好みではある。
思ったよりも高い背だとか、案外しっかりしてそうな体格とか、耳に心地良い声とか。もちろんあの強強顔面もタイプだ。
でもここでうっかり惚れて、もしアイツが今までの比じゃないくらいとんでもない奴だったら今度こそ俺は爆発するだろうし、もう二度と恋愛したくなくなるかもしれないからそれなら最初から関わらない方がいいんだよ。
そもそも何でアイツは俺が好きなんだ? 転校してきたばっかなんだろ?
「俺、アイツとは初対面のはずなんだけどな」
「一目惚れじゃね?」
「柚琉、綺麗な顔してるもんね」
「莉央に言われるのは複雑だわ」
女の子より可愛い顔してる莉央はそれはもう男にモテる。でも優里との仲は学校内でも公認だし、少しでも手を出そうものなら優里の怒りを買うから遠巻きに熱烈な好意を寄せられていた。
そういう優里も男女問わずモテてるけど、莉央にしか興味ないのと近寄り難い雰囲気からひっそりと人気を博してる。
モテモテなのにお互いしか見えてないラブラブっぷりは、クソみたいな恋人しかいなかった俺にとっては憧れでもあった。
最近までの奴は今度こそって思えたんだけどなぁ。
「それに何回も言うけど、俺は普通だからな」
「すーぐそういう事言うんだから」
肩を竦めて言えば莉央がぶすくれながら腕に抱き着いてくる。
独占欲と嫉妬心の強い優里だけど、莉央が俺にくっつくのはある低度許容していて莉央もそれが分かってるから俺以外にはしない。でも莉央のファンからしたら腹立たしいらしく、周りがおいそれと近付けないのに俺が2人と友達なのも気に食わないって良くヒソヒソされてた。
今だって突き刺すような視線を嫌でも感じるし。
嫌がらせされないだけまだマシだけど、学校が近くなると毎回これだから嫌になるよ。
ま、かといって友達は辞めないけどな。
「あ、そうだ。ねぇ柚琉。遊びに行こうって話だけど、土曜日はどう?」
「でも土曜日から優里のとこ泊まるんだろ?」
「うん、だから遊んでから行こうかなって」
俺の恋愛遍歴を知ってる2人は本当に優しくて、今だって俺が落ち込んでるんじゃないかって気遣ってくれてる。
確かに落ち込んでるし自分の見る目のなさには呆れてるけど、週末を大事にしてるコイツらには2人だけの時間を過ごして欲しいから俺は笑顔で首を振った。
「ありがとう。でも大丈夫。甘い物でも食べて過ごすよ」
「柚琉⋯」
「土曜日、10時に駅前な」
「へ?」
「遅刻したり来なかったりしたら昼飯奢り」
有無を言わさない言葉にポカンとする俺を見てニヤリと笑った優里は、乱暴に俺の頭を撫でると莉央の肩を抱いて先に門へと入って行った。途端に生徒が色めき立ち端に避ける。
あれが優里なりの優しさで、莉央の気持ちも思いやった行動だって分かってる俺はその背中を見て思わず苦笑した。こういうとこ、ホント狡いよな。
俺の言葉を聞いて素直に引いてくれる莉央と違って優里はこうと決めたら絶対に引かないから、土曜日は10時までに行かないと本当に奢らされるだろう。1分でも遅れたらアウトだ。
せっかく誘ってくれたんだからと行く事にした俺は2人を追い掛け、広さの違う背中にタッチした。
俺の友達は2人ともあったかいな。
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