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離れていても想いは一つ(柊也視点)
柚琉さんが県外へと引っ越して1ヶ月が経った。
駅で別れてから1週間くらいは本当に返事がまちまちで、やっと電話が出来ても疲れた柚琉さんが寝落ちてすぐ終了なんて事もあったけど、生活に慣れてきた今は毎日やり取りが出来るようになってる。
でももうすぐバイトも始まるそうだから、また減るんだろうなと思うと寂しい。
だけどそれよりも、この1ヶ月の間に柚琉さんに言い寄ってる人がいないか気になって夜も眠れない。あの人、本当に自分の容姿に自覚ないからなぁ。
「しゅーうーや」
「今日暇? 遊ぼー」
3年になり、同じクラスになった女子が明るい声で話しかけてくる。
この2人、いつも一緒に行動してるけど1人には3回告白されて振ってるんだよな。でも普通にこうして誘ってくるから、本気じゃなかったのか気にしてないのか強がりなのか⋯女の子は良く分からない。
俺はスマホを操作して柚琉さんにメッセージを送ってから2人を見る。
「バイトあるし、遊ばない」
「えー、昨日も一昨日もバイトだったじゃん」
「そんなに毎日シフト入れてるの?」
「未来の為に投資してるからね」
「未来?」
すぐ会える距離に柚琉さんがいない現状は俺にとっては何の楽しみのない日々で、その寂しさ紛らわせたいのと、来年、再来年には柚琉さんと暮らせるように資金を集めたくてバイトに明け暮れていた。
友達がいない訳じゃないけど、それよりも柚琉さんとの未来を考える方が楽しいし。
「未来より今じゃない? あと1年しかないんだよ?」
「遊べる時に遊んどかないと。受験生なんだし」
「遊びたい人たちで遊べばいいんじゃない?」
「柊也と遊びたいのに」
そんな事言われても俺は遊びたくないんだけど。
机に頬杖をついてどうしようか考えていると、スマホが震えて俺は急いで通知をタップする。
通知主はもちろん柚琉さんで、俺の『ゴールデンウィーク、遊びに行きたいです』に対する返事だった。
『別にいいけど、バイトあるからそんな構ってやれないぞ?』
『柚琉さんの家で大人しく待てしてます』
『よく出来たワンコだな(笑)』
『休みに入る前日に行きますね』
『分かった。もしかしたら家にいないかもだけど、好きに寛いでていいからな』
『はい』
駅で見送った日から3日後には合鍵が入った手紙は受け取ってて、住所とストリートビューで場所は把握済みだ。だから柚琉さんの迎えがなくても辿り着けるし、家にいなくても入れる特別感が凄く嬉しい。
これから講義だという柚琉さんとのやり取りを終えてスマホをポケットにしまったら、まだいたのか2人が難しそうな顔をして俺を見てきた。
「⋯ねぇ、もしかして今のってあの先輩?」
「そうだけど」
「付き合ってるって本当なの?」
「うん」
隠す事でもないし素直に頷けばますます怪訝そうな顔をされる。
彼女たちがどうしてそんな表情をするのか、理由が分かる俺は息を吐いて席を立つとカバンを肩に下げた。
「あ、ちょっと⋯柊也」
「今考えてる事、口に出したら怒るから」
「⋯⋯」
「じゃあね」
同性同士の付き合いが万人に受け入れられるとは思ってない。
でも好きの形は人それぞれだし、好きになった人がたまたま自分と同じ性別だったってだけで、付き合うとかキスするとかは一緒なのにな。
男女であるべきって固定観念みたいなものがあるんだろうけど、今は多様性の時代だしもう少し友人として祝福してくれてもいいと思う。
ま、これも俺の我儘になるんだろうけどね。
「柚琉さんに会いたいなぁ⋯」
あの人の笑顔を間近で見たいし、温もりを感じたい。
俺の腕にすっぽりと収まる小さな身体を抱き締めたい。そういえば、ちゃんと聞いた事ないけど柚琉さんって身長何センチなんだろ。
俺が184だから、160後半くらい?
年上で、しっかりしてて男らしいのに可愛いんだよなぁ。あとエロい。
(⋯⋯やば)
俺に組み敷かれて甘く啼く柚琉さんの姿を思い出し勃ちそうになる。
ホント、今までの彼氏はあの人の何を見てたんだろうな。優しくてお人好しなとこは中学の時から変わってないのに。
「柊くん、今帰り?」
「黒峰先輩、白河先輩」
違う柚琉さんの姿を思い浮かべながらマンションまで向かってたら名前を呼ばれる。振り向くと柚琉さんの親友である黒峰先輩がこっちに来てて、その後ろにいた白河先輩が無表情のまま片手を上げてくれた。
柚琉さんが唯一の親友って言ってて、先輩たちも本当に柚琉さんを大切にしてるから俺も尊敬してるし信頼してる。しかも俺の事も可愛がってくれて、見掛けるとこうして声をかけてくれるのだ。
「はい、帰りです」
「⋯お前、ダチいねぇの?」
「いますけど⋯何か、1人の方が楽なんですよね」
「柊くん、柚琉にべったりだったもんねぇ」
高校生男子ならワイワイ帰る人がほとんどなのかもしれないけど、正直女の子の話ばっかりだからつまんないんだよな。しかも、恋人がいるって知ってるくせに俺にまでタイプを聞いてくるから煩わしくて。
俺の好みは柚琉さん一択だ。
「お2人はデートですか?」
「うん」
「俺も柚琉さんとデートしたいです」
「柚琉、忙しそうだよね」
「でも毎日連絡は取り合ってます」
「ラブラブだねぇ」
クスクスと笑う黒峰先輩は年上とは思えないほど可愛らしい。一見するとヤンチャしてるっぽい白河先輩とほわほわした黒峰先輩って真逆なのに、一緒にいるのが当たり前のように思える。
俺と柚琉さんも、そんな風に見て貰えたらいいんだけど。
他愛ない会話をしながら歩いてたらいつの間にか俺が住むマンションまで辿り着いてた。足を止めて2人を見ると、白河先輩の手が伸びて頭をポンっと叩かれる。
「じゃあな」
「またね、柊くん」
「あ、はい。また」
白河先輩、男の俺から見てもかっこいいな。
2人が角を曲がるまで見送った俺は、ふう、と息を吐いてマンションへと入る。
ゴールデンウィークの準備、ちょっと早いけど始めようかな。
駅で別れてから1週間くらいは本当に返事がまちまちで、やっと電話が出来ても疲れた柚琉さんが寝落ちてすぐ終了なんて事もあったけど、生活に慣れてきた今は毎日やり取りが出来るようになってる。
でももうすぐバイトも始まるそうだから、また減るんだろうなと思うと寂しい。
だけどそれよりも、この1ヶ月の間に柚琉さんに言い寄ってる人がいないか気になって夜も眠れない。あの人、本当に自分の容姿に自覚ないからなぁ。
「しゅーうーや」
「今日暇? 遊ぼー」
3年になり、同じクラスになった女子が明るい声で話しかけてくる。
この2人、いつも一緒に行動してるけど1人には3回告白されて振ってるんだよな。でも普通にこうして誘ってくるから、本気じゃなかったのか気にしてないのか強がりなのか⋯女の子は良く分からない。
俺はスマホを操作して柚琉さんにメッセージを送ってから2人を見る。
「バイトあるし、遊ばない」
「えー、昨日も一昨日もバイトだったじゃん」
「そんなに毎日シフト入れてるの?」
「未来の為に投資してるからね」
「未来?」
すぐ会える距離に柚琉さんがいない現状は俺にとっては何の楽しみのない日々で、その寂しさ紛らわせたいのと、来年、再来年には柚琉さんと暮らせるように資金を集めたくてバイトに明け暮れていた。
友達がいない訳じゃないけど、それよりも柚琉さんとの未来を考える方が楽しいし。
「未来より今じゃない? あと1年しかないんだよ?」
「遊べる時に遊んどかないと。受験生なんだし」
「遊びたい人たちで遊べばいいんじゃない?」
「柊也と遊びたいのに」
そんな事言われても俺は遊びたくないんだけど。
机に頬杖をついてどうしようか考えていると、スマホが震えて俺は急いで通知をタップする。
通知主はもちろん柚琉さんで、俺の『ゴールデンウィーク、遊びに行きたいです』に対する返事だった。
『別にいいけど、バイトあるからそんな構ってやれないぞ?』
『柚琉さんの家で大人しく待てしてます』
『よく出来たワンコだな(笑)』
『休みに入る前日に行きますね』
『分かった。もしかしたら家にいないかもだけど、好きに寛いでていいからな』
『はい』
駅で見送った日から3日後には合鍵が入った手紙は受け取ってて、住所とストリートビューで場所は把握済みだ。だから柚琉さんの迎えがなくても辿り着けるし、家にいなくても入れる特別感が凄く嬉しい。
これから講義だという柚琉さんとのやり取りを終えてスマホをポケットにしまったら、まだいたのか2人が難しそうな顔をして俺を見てきた。
「⋯ねぇ、もしかして今のってあの先輩?」
「そうだけど」
「付き合ってるって本当なの?」
「うん」
隠す事でもないし素直に頷けばますます怪訝そうな顔をされる。
彼女たちがどうしてそんな表情をするのか、理由が分かる俺は息を吐いて席を立つとカバンを肩に下げた。
「あ、ちょっと⋯柊也」
「今考えてる事、口に出したら怒るから」
「⋯⋯」
「じゃあね」
同性同士の付き合いが万人に受け入れられるとは思ってない。
でも好きの形は人それぞれだし、好きになった人がたまたま自分と同じ性別だったってだけで、付き合うとかキスするとかは一緒なのにな。
男女であるべきって固定観念みたいなものがあるんだろうけど、今は多様性の時代だしもう少し友人として祝福してくれてもいいと思う。
ま、これも俺の我儘になるんだろうけどね。
「柚琉さんに会いたいなぁ⋯」
あの人の笑顔を間近で見たいし、温もりを感じたい。
俺の腕にすっぽりと収まる小さな身体を抱き締めたい。そういえば、ちゃんと聞いた事ないけど柚琉さんって身長何センチなんだろ。
俺が184だから、160後半くらい?
年上で、しっかりしてて男らしいのに可愛いんだよなぁ。あとエロい。
(⋯⋯やば)
俺に組み敷かれて甘く啼く柚琉さんの姿を思い出し勃ちそうになる。
ホント、今までの彼氏はあの人の何を見てたんだろうな。優しくてお人好しなとこは中学の時から変わってないのに。
「柊くん、今帰り?」
「黒峰先輩、白河先輩」
違う柚琉さんの姿を思い浮かべながらマンションまで向かってたら名前を呼ばれる。振り向くと柚琉さんの親友である黒峰先輩がこっちに来てて、その後ろにいた白河先輩が無表情のまま片手を上げてくれた。
柚琉さんが唯一の親友って言ってて、先輩たちも本当に柚琉さんを大切にしてるから俺も尊敬してるし信頼してる。しかも俺の事も可愛がってくれて、見掛けるとこうして声をかけてくれるのだ。
「はい、帰りです」
「⋯お前、ダチいねぇの?」
「いますけど⋯何か、1人の方が楽なんですよね」
「柊くん、柚琉にべったりだったもんねぇ」
高校生男子ならワイワイ帰る人がほとんどなのかもしれないけど、正直女の子の話ばっかりだからつまんないんだよな。しかも、恋人がいるって知ってるくせに俺にまでタイプを聞いてくるから煩わしくて。
俺の好みは柚琉さん一択だ。
「お2人はデートですか?」
「うん」
「俺も柚琉さんとデートしたいです」
「柚琉、忙しそうだよね」
「でも毎日連絡は取り合ってます」
「ラブラブだねぇ」
クスクスと笑う黒峰先輩は年上とは思えないほど可愛らしい。一見するとヤンチャしてるっぽい白河先輩とほわほわした黒峰先輩って真逆なのに、一緒にいるのが当たり前のように思える。
俺と柚琉さんも、そんな風に見て貰えたらいいんだけど。
他愛ない会話をしながら歩いてたらいつの間にか俺が住むマンションまで辿り着いてた。足を止めて2人を見ると、白河先輩の手が伸びて頭をポンっと叩かれる。
「じゃあな」
「またね、柊くん」
「あ、はい。また」
白河先輩、男の俺から見てもかっこいいな。
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ゴールデンウィークの準備、ちょっと早いけど始めようかな。
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