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呼び方
社会人である柊也には花火大会当日であっても関係なく、仕事がある上に残業だそうだ。残念ではあるけど仕方ないし、来年行けたら行こうなって慰めて見送ったけど⋯正直、一緒には行きたかったな。
手を繋いで露店回って、花火見て「たーまやー」って言いたかったのに。
まぁでもこればっかりは柊也が悪い訳じゃないし、気を利かせてくれた瑠璃ちゃんが焼きそばを買ってきてくれるらしいからそれを楽しみに待ってよう。
この家に越してきてから初めて1人で夕飯を食べ、風呂も済ませてソファに転び、見るともなしにテレビを見てたら柊也が帰ってきた。
出迎えるとすぐに抱き締められる。
「おかえり」
「ただいまー⋯疲れた⋯」
「お疲れ。ご飯の準備しとくから、先に風呂入っちゃいな」
「ん⋯その前に」
カバンを受け取り浴室へと促したけど、足を出す前に肩を抱かれて唇が重なる。小さなリップ音とともに離れ、ふっと微笑んだ柊也が俺の頭を撫でてから浴室へと消え残された俺は思わず苦笑を漏らした。
相変わらず鮮やかに人の唇を奪う奴だ。
それから柊也が夕飯を食べてる間に瑠璃ちゃんも帰って来て、花火の写真や友達と楽しそうに笑ってる動画を見せてくれたりして、一気に賑やかになったリビングに自然と笑みが零れる。
こうやって楽しい事を共有してくれるのってやっぱり嬉しいな。
「瑠璃ちゃんはうちのムードメーカーだな」
「いきなりだね」
「何か今日、改めて思った。俺たちって賑やかな方じゃないだろ? でも瑠璃ちゃんは明るい声で笑うし良く喋るから、余計にそう思った」
シーンとしてるよりもやっぱり話し声が聞こえてる方が楽しいし、何よりも瑠璃ちゃんは表情豊かだから見ているだけでこっちまでテンションが上がるんだよな。
サイドランプを点けメインの電気を消した俺は、ベッドに仰向けに寝そべる柊也の上にうつ伏せで乗り上げる。重いだろうなと思いつつも降りろって言われないからたまにこうして寛いでた。
柔らかく笑った柊也の手が頬に触れ親指が目の下を撫でる。
「柚琉さんはすっかり瑠璃と仲良しになってて、俺は複雑だよ」
「何でだよ。険悪よりいいだろ」
「それはそうなんだけど⋯早く俺だけの柚琉さんになればいいのに」
強く抱き締められてそんな事を言われるけど、俺がこうやって甘えるのも柊也だけだし、えっちな事も柊也としかしないのに心外だ。
俺は手を伸ばして柊也の頬を摘むと眉を顰めて引っ張った。
「瑠璃ちゃんとどんだけ仲良くても、俺はお前だけの柚琉だよ」
「柚琉さん⋯」
「っつー訳で、そろそろ〝さん〟付けやめようか」
「え?」
身体を起こし腹より下で座ったら柊也がピクリと反応したけど、無視してにこっと笑いながら手を引くと柊也も起き上がってくれる。首に腕を回せば腰の後ろで手が組まれた。
「つまり、呼び捨てにしろって事?」
「そう。敬語も取れたんだしもういけるだろ?」
「でもそう簡単には⋯」
「1歳差は誤差だって言ったのはお前だぞ。それに、俺は柊也に呼び捨てにされたい」
「柚琉さ⋯」
「呼んでよ」
戸惑う柊也にズルいとは思いつつ甘えるように言えば、ぐっと言葉を飲み込んだ柊也は難しい顔をしたあとあっちこっちに視線を動かし始めた。顔が赤いから照れてるだけなのは分かるけど、そうでなければ呼びたくないのかと思ってしまうくらい渋ってる。
でもここで更に迫ると覚悟さえなくなってしまうから大人しく待ってたら、しばらくして俺の方へと視線を向け口を開いた。
「ゆ⋯柚琉⋯⋯さん⋯」
「⋯⋯ふはっ」
「すぐには無理だよ⋯」
結果はアレだったけど、物凄く頑張ってくれたのが分かり俺は笑いながら「いいよいいよ」と頷き柊也の髪を撫でる。
敬語がわりとあっさりだったのは普段でもたまに取れる事があったからだろうけど、これは2年は呼び続けてるし急に言われても難しいよな。
眉尻を下げる柊也はそれでも悔しいのか、腰の後ろで組んでた手で俺を抱き寄せると額を合わせてきた。
「近いうちに絶対呼べるようになるから」
「ん。楽しみにしてるな」
「柚琉さん」
「ん?」
「勃った」
「⋯⋯⋯」
尻の下に違和感は覚えてたし何となくそんな気はしてたけど、コイツ、欲望に忠実過ぎないか? というか何にそこまで刺激されたのやら。
「口でしてやる」
「じゃあ俺も、柚琉さんの口でするね」
「何でだ」
俺は反応してないんだけどと苦笑しながら柊也の膝から降り、まずは人差し指でズボンを押し上げてるところをつついてみる。それからなぞるように動かしたらピクっと震えた。
ズボンと下着の履き口に手を掛けてずり下げ、取り出す頃には完全に屹立していて、血管が浮き出て見えるくらい立派に勃ち上がってる。
「⋯あのさ、いつも思うんだけど、お前は何に興奮してる訳?」
何気ない会話をしててもいつの間にか勃ててるし、日常生活に支障が出てるんじゃないかと心配になって問い掛けると、柊也は「え?」って顔をして俺の髪に触れてきた。
「俺が興奮するのは柚琉さんだけだよ」
「別に誘ったりしてないのに?」
「そこに柚琉さんがいて、くっついていればムラムラする」
「そういう雰囲気じゃなくても?」
「うん。特に柚琉さんの笑顔を見るとヤバい」
ヤバいのはコイツの下半身じゃないのか。
俺もくっついてるの好きだから家でも外でも出来る時はそうしてたけど、ちょっと考え直した方がいいのかもしれない。
今は瑠璃ちゃんがいるから基本最後まではしないものの、いざ2人暮らしになったら毎日のように抱かれそうだし。嫌ではないけど、俺の身が持たない。
「あんま笑わないようにしよ」
「何で!?」
笑顔にまで興奮されるのは予想外だ。
ショックを受ける柊也に見えないよう笑った俺は、今の会話でも少しも衰えていない柊也の熱を大きく口を開けて咥えた。
それから柊也が俺を呼び捨てに出来るまで実に三ヶ月もかかり、呆れを通り越して愛しさを抱いたのは内緒だ。
手を繋いで露店回って、花火見て「たーまやー」って言いたかったのに。
まぁでもこればっかりは柊也が悪い訳じゃないし、気を利かせてくれた瑠璃ちゃんが焼きそばを買ってきてくれるらしいからそれを楽しみに待ってよう。
この家に越してきてから初めて1人で夕飯を食べ、風呂も済ませてソファに転び、見るともなしにテレビを見てたら柊也が帰ってきた。
出迎えるとすぐに抱き締められる。
「おかえり」
「ただいまー⋯疲れた⋯」
「お疲れ。ご飯の準備しとくから、先に風呂入っちゃいな」
「ん⋯その前に」
カバンを受け取り浴室へと促したけど、足を出す前に肩を抱かれて唇が重なる。小さなリップ音とともに離れ、ふっと微笑んだ柊也が俺の頭を撫でてから浴室へと消え残された俺は思わず苦笑を漏らした。
相変わらず鮮やかに人の唇を奪う奴だ。
それから柊也が夕飯を食べてる間に瑠璃ちゃんも帰って来て、花火の写真や友達と楽しそうに笑ってる動画を見せてくれたりして、一気に賑やかになったリビングに自然と笑みが零れる。
こうやって楽しい事を共有してくれるのってやっぱり嬉しいな。
「瑠璃ちゃんはうちのムードメーカーだな」
「いきなりだね」
「何か今日、改めて思った。俺たちって賑やかな方じゃないだろ? でも瑠璃ちゃんは明るい声で笑うし良く喋るから、余計にそう思った」
シーンとしてるよりもやっぱり話し声が聞こえてる方が楽しいし、何よりも瑠璃ちゃんは表情豊かだから見ているだけでこっちまでテンションが上がるんだよな。
サイドランプを点けメインの電気を消した俺は、ベッドに仰向けに寝そべる柊也の上にうつ伏せで乗り上げる。重いだろうなと思いつつも降りろって言われないからたまにこうして寛いでた。
柔らかく笑った柊也の手が頬に触れ親指が目の下を撫でる。
「柚琉さんはすっかり瑠璃と仲良しになってて、俺は複雑だよ」
「何でだよ。険悪よりいいだろ」
「それはそうなんだけど⋯早く俺だけの柚琉さんになればいいのに」
強く抱き締められてそんな事を言われるけど、俺がこうやって甘えるのも柊也だけだし、えっちな事も柊也としかしないのに心外だ。
俺は手を伸ばして柊也の頬を摘むと眉を顰めて引っ張った。
「瑠璃ちゃんとどんだけ仲良くても、俺はお前だけの柚琉だよ」
「柚琉さん⋯」
「っつー訳で、そろそろ〝さん〟付けやめようか」
「え?」
身体を起こし腹より下で座ったら柊也がピクリと反応したけど、無視してにこっと笑いながら手を引くと柊也も起き上がってくれる。首に腕を回せば腰の後ろで手が組まれた。
「つまり、呼び捨てにしろって事?」
「そう。敬語も取れたんだしもういけるだろ?」
「でもそう簡単には⋯」
「1歳差は誤差だって言ったのはお前だぞ。それに、俺は柊也に呼び捨てにされたい」
「柚琉さ⋯」
「呼んでよ」
戸惑う柊也にズルいとは思いつつ甘えるように言えば、ぐっと言葉を飲み込んだ柊也は難しい顔をしたあとあっちこっちに視線を動かし始めた。顔が赤いから照れてるだけなのは分かるけど、そうでなければ呼びたくないのかと思ってしまうくらい渋ってる。
でもここで更に迫ると覚悟さえなくなってしまうから大人しく待ってたら、しばらくして俺の方へと視線を向け口を開いた。
「ゆ⋯柚琉⋯⋯さん⋯」
「⋯⋯ふはっ」
「すぐには無理だよ⋯」
結果はアレだったけど、物凄く頑張ってくれたのが分かり俺は笑いながら「いいよいいよ」と頷き柊也の髪を撫でる。
敬語がわりとあっさりだったのは普段でもたまに取れる事があったからだろうけど、これは2年は呼び続けてるし急に言われても難しいよな。
眉尻を下げる柊也はそれでも悔しいのか、腰の後ろで組んでた手で俺を抱き寄せると額を合わせてきた。
「近いうちに絶対呼べるようになるから」
「ん。楽しみにしてるな」
「柚琉さん」
「ん?」
「勃った」
「⋯⋯⋯」
尻の下に違和感は覚えてたし何となくそんな気はしてたけど、コイツ、欲望に忠実過ぎないか? というか何にそこまで刺激されたのやら。
「口でしてやる」
「じゃあ俺も、柚琉さんの口でするね」
「何でだ」
俺は反応してないんだけどと苦笑しながら柊也の膝から降り、まずは人差し指でズボンを押し上げてるところをつついてみる。それからなぞるように動かしたらピクっと震えた。
ズボンと下着の履き口に手を掛けてずり下げ、取り出す頃には完全に屹立していて、血管が浮き出て見えるくらい立派に勃ち上がってる。
「⋯あのさ、いつも思うんだけど、お前は何に興奮してる訳?」
何気ない会話をしててもいつの間にか勃ててるし、日常生活に支障が出てるんじゃないかと心配になって問い掛けると、柊也は「え?」って顔をして俺の髪に触れてきた。
「俺が興奮するのは柚琉さんだけだよ」
「別に誘ったりしてないのに?」
「そこに柚琉さんがいて、くっついていればムラムラする」
「そういう雰囲気じゃなくても?」
「うん。特に柚琉さんの笑顔を見るとヤバい」
ヤバいのはコイツの下半身じゃないのか。
俺もくっついてるの好きだから家でも外でも出来る時はそうしてたけど、ちょっと考え直した方がいいのかもしれない。
今は瑠璃ちゃんがいるから基本最後まではしないものの、いざ2人暮らしになったら毎日のように抱かれそうだし。嫌ではないけど、俺の身が持たない。
「あんま笑わないようにしよ」
「何で!?」
笑顔にまで興奮されるのは予想外だ。
ショックを受ける柊也に見えないよう笑った俺は、今の会話でも少しも衰えていない柊也の熱を大きく口を開けて咥えた。
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