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新しいベッド(柊也視点)
俺が愛してやまない恋人である柚琉は自分の魅力をまったくもって分かっていない。
少し吊り目がちで黙ってるとクールに見えるけど、笑うと眉尻も下がって可愛くなるし、鼻筋とかスっと通ってて唇だって柔らかくて思わず食べたくなるような薄いピンク色をしている。
同じ男なのに男くささがなくて、香水をつけてる訳でもないのにいい匂いがして、俺よりも小さくて細いのにそれなりに力があって⋯柚琉の全部が可愛くて仕方ない。
一目惚れしてから7年、あの頃からずっと、気持ちは膨らむばかりだ。
梅雨が過ぎて本格的に暑さが増す中、俺はクーラーの効いた部屋で1人考えていた。
男2人には狭いダブルベッドはどうせくっついて寝るからって選んだけど、最近軋みがひどくなってきたように思う。まぁ理由は自分でも分かってるんだけど、そろそろ買い替え時かもしれなくて、次はどんなベッドにしようかを悩んでいたのだ。
今度はもっとしっかりした奴を買うべきか。
「ベッドの真ん中で胡座掻いて何やってんだ?」
腕を組みうんうん唸りながら頭を働かせてたら、お風呂から戻った柚琉が不思議そうに聞いてきた。
腕組みを解き手を伸ばすと苦笑しながらも入ってきてくれる。
お風呂上がりで一段といい匂いのする柚琉を膝に座らせた俺は、柔らかな髪に鼻先を埋めて息を吸った。同じ洗髪料なのに、何で柚琉はこんなにいい匂いがするんだろうか。
「擽ったいって」
(あ、この顔可愛い)
クスクスと笑いながら首を竦める柚琉の気の抜けた表情はあまりお目にかかれないもので、俺は顔を離すとまだポカポカしている身体を抱き締める。
そうだ、ベッドの話しておかないと。
「柚琉、そろそろベッド買い替えようと思うんだけど」
「ベッド? ⋯あー⋯確かに最近ギシギシ言うな」
「今度はもうちょっと頑丈なのにしよう」
「お前が激しくしなければ済む話な気もするけど?」
「でも柚琉だって、激しい方が好きでしょ?」
「⋯⋯⋯」
ゆっくりより多少乱暴にされた方が反応がいいのは抱いてる俺が良く分かってる。
だからそう言って顔を覗き込めば、柚琉は仄かに目元を染めてそっぽを向いた。その反応は自覚してるって言ってるようなものなのに、気付いてないところが可愛い。
夏場は楽だからって俺のシャツをパジャマ代わりにしてる柚琉は短パンさえ履いてなくて、細い足が惜しげもなく俺の眼前に晒されてる。その太腿を撫でてうなじに吸い付けばピクリと反応した。
「そこ見える」
「薄いからすぐ消えるよ」
「そういう問題じゃ⋯」
「次の休み、デートしてベッド買いに行こ」
バイト先の人に見られる事を恥ずかしがっているのは分かってるから、それ以上言われない為に気を逸らそうとベッドの話に戻すと眉を顰める。
にこっと笑いかけ、背中を支えるようにして押し倒せば肩を押された。
「だったら、新しくするまでは大事にしてやった方が⋯」
「壊れるくらいの方が愛を感じない?」
「怖いって」
「大丈夫。柚琉の事は絶対壊さないから」
「当たり前だ」
シャツの裾から手を入れ首筋に唇を滑らせながら言えば、柚琉は俺の胸を軽く叩いてから首に腕を回してきた。
壊す気なんてサラサラない。柚琉にはいつだって笑っていて欲しいし、俺の手で幸せにしたいんだから。
「柊也」
「ん?」
顎に手が添えられて上げられた顔に柚琉の唇が触れる。
して欲しい事が分かって目を細めた俺は、頬を挟んでる手を握って薄く開いた唇へと口付けた。
数日後。俺と柚琉は家具屋に足を運び、ベッドコーナーで良さそうなベッドがないかを探していた。
「一番重要なのは頑丈さだな」
「マットレスとかも硬めにする?」
「柔らかい方がいい」
「あ、じゃあこれは?」
俺は柚琉と寝られるなら特に拘りはないから、マットレスを押して硬さを確かめてたらふわふわしているものを見付けて指を差す。傍にきた柚琉も軽く押して、少し考えたあと腰を下ろしたんだけど、その表情が明るくなって思わず笑いそうになってしまった。
声には出さなかったからバレなかったものの、ニヤつく口元を手で隠して隣に座る。
「これにする?」
「うん。めっちゃふかふか」
「あとはベッドフレームだけど⋯柚琉的にロータイプってどう?」
「あー⋯低いより高い方が好きかな」
基本的に柚琉は使えればいい、食べられればいい、みたいな無頓着気味な部分があるけど、ベッドに関しては意外にもハッキリした拘りを持ってる。
今家にあるものも柚琉が選んだ物で、その時は他にも買わなきゃいけない物があったから厳選する時間がなかったんだよね。
真剣な顔でベッドフレームを見る柚琉の横顔に笑みを零し、邪魔したくないからくっつきたいのを我慢しつつも背中にピッタリと寄り添う。襟足から見えるうなじ、いつ見てもえっちぃなぁ。
触りたいのを耐えながら足を進める柚琉の後ろをついて歩いてると、今目の前にあるフレームを数秒眺めたあと、また戻って気になっていたらしい物と見比べて俺を見上げてきた。
「これ、どう思う?」
「柚琉が気に入った物なら何でも」
「一緒に寝るベッドなのに?」
「一緒に寝るベッドだからこそ、柚琉に選んで欲しい」
「そう、か⋯。じゃあ、あとで文句あっても聞かないからな?」
「言わない言わない」
何せ俺は柚琉全肯定の男だ。
例えダサい服だとしても、柚琉が選んでくれた物なら躊躇いもなく着れる。
購入する為に声をかけた店員が男だったから俺が代わりに注文し、配達日と時間の指定をして支払いを済ませた。
店員だろうと、男は柚琉には近寄らせない。
その後届いたベッドは快適で、初日は危うく2人して寝坊するところだった。
寝心地がいいのもそれはそれで大変だ。
少し吊り目がちで黙ってるとクールに見えるけど、笑うと眉尻も下がって可愛くなるし、鼻筋とかスっと通ってて唇だって柔らかくて思わず食べたくなるような薄いピンク色をしている。
同じ男なのに男くささがなくて、香水をつけてる訳でもないのにいい匂いがして、俺よりも小さくて細いのにそれなりに力があって⋯柚琉の全部が可愛くて仕方ない。
一目惚れしてから7年、あの頃からずっと、気持ちは膨らむばかりだ。
梅雨が過ぎて本格的に暑さが増す中、俺はクーラーの効いた部屋で1人考えていた。
男2人には狭いダブルベッドはどうせくっついて寝るからって選んだけど、最近軋みがひどくなってきたように思う。まぁ理由は自分でも分かってるんだけど、そろそろ買い替え時かもしれなくて、次はどんなベッドにしようかを悩んでいたのだ。
今度はもっとしっかりした奴を買うべきか。
「ベッドの真ん中で胡座掻いて何やってんだ?」
腕を組みうんうん唸りながら頭を働かせてたら、お風呂から戻った柚琉が不思議そうに聞いてきた。
腕組みを解き手を伸ばすと苦笑しながらも入ってきてくれる。
お風呂上がりで一段といい匂いのする柚琉を膝に座らせた俺は、柔らかな髪に鼻先を埋めて息を吸った。同じ洗髪料なのに、何で柚琉はこんなにいい匂いがするんだろうか。
「擽ったいって」
(あ、この顔可愛い)
クスクスと笑いながら首を竦める柚琉の気の抜けた表情はあまりお目にかかれないもので、俺は顔を離すとまだポカポカしている身体を抱き締める。
そうだ、ベッドの話しておかないと。
「柚琉、そろそろベッド買い替えようと思うんだけど」
「ベッド? ⋯あー⋯確かに最近ギシギシ言うな」
「今度はもうちょっと頑丈なのにしよう」
「お前が激しくしなければ済む話な気もするけど?」
「でも柚琉だって、激しい方が好きでしょ?」
「⋯⋯⋯」
ゆっくりより多少乱暴にされた方が反応がいいのは抱いてる俺が良く分かってる。
だからそう言って顔を覗き込めば、柚琉は仄かに目元を染めてそっぽを向いた。その反応は自覚してるって言ってるようなものなのに、気付いてないところが可愛い。
夏場は楽だからって俺のシャツをパジャマ代わりにしてる柚琉は短パンさえ履いてなくて、細い足が惜しげもなく俺の眼前に晒されてる。その太腿を撫でてうなじに吸い付けばピクリと反応した。
「そこ見える」
「薄いからすぐ消えるよ」
「そういう問題じゃ⋯」
「次の休み、デートしてベッド買いに行こ」
バイト先の人に見られる事を恥ずかしがっているのは分かってるから、それ以上言われない為に気を逸らそうとベッドの話に戻すと眉を顰める。
にこっと笑いかけ、背中を支えるようにして押し倒せば肩を押された。
「だったら、新しくするまでは大事にしてやった方が⋯」
「壊れるくらいの方が愛を感じない?」
「怖いって」
「大丈夫。柚琉の事は絶対壊さないから」
「当たり前だ」
シャツの裾から手を入れ首筋に唇を滑らせながら言えば、柚琉は俺の胸を軽く叩いてから首に腕を回してきた。
壊す気なんてサラサラない。柚琉にはいつだって笑っていて欲しいし、俺の手で幸せにしたいんだから。
「柊也」
「ん?」
顎に手が添えられて上げられた顔に柚琉の唇が触れる。
して欲しい事が分かって目を細めた俺は、頬を挟んでる手を握って薄く開いた唇へと口付けた。
数日後。俺と柚琉は家具屋に足を運び、ベッドコーナーで良さそうなベッドがないかを探していた。
「一番重要なのは頑丈さだな」
「マットレスとかも硬めにする?」
「柔らかい方がいい」
「あ、じゃあこれは?」
俺は柚琉と寝られるなら特に拘りはないから、マットレスを押して硬さを確かめてたらふわふわしているものを見付けて指を差す。傍にきた柚琉も軽く押して、少し考えたあと腰を下ろしたんだけど、その表情が明るくなって思わず笑いそうになってしまった。
声には出さなかったからバレなかったものの、ニヤつく口元を手で隠して隣に座る。
「これにする?」
「うん。めっちゃふかふか」
「あとはベッドフレームだけど⋯柚琉的にロータイプってどう?」
「あー⋯低いより高い方が好きかな」
基本的に柚琉は使えればいい、食べられればいい、みたいな無頓着気味な部分があるけど、ベッドに関しては意外にもハッキリした拘りを持ってる。
今家にあるものも柚琉が選んだ物で、その時は他にも買わなきゃいけない物があったから厳選する時間がなかったんだよね。
真剣な顔でベッドフレームを見る柚琉の横顔に笑みを零し、邪魔したくないからくっつきたいのを我慢しつつも背中にピッタリと寄り添う。襟足から見えるうなじ、いつ見てもえっちぃなぁ。
触りたいのを耐えながら足を進める柚琉の後ろをついて歩いてると、今目の前にあるフレームを数秒眺めたあと、また戻って気になっていたらしい物と見比べて俺を見上げてきた。
「これ、どう思う?」
「柚琉が気に入った物なら何でも」
「一緒に寝るベッドなのに?」
「一緒に寝るベッドだからこそ、柚琉に選んで欲しい」
「そう、か⋯。じゃあ、あとで文句あっても聞かないからな?」
「言わない言わない」
何せ俺は柚琉全肯定の男だ。
例えダサい服だとしても、柚琉が選んでくれた物なら躊躇いもなく着れる。
購入する為に声をかけた店員が男だったから俺が代わりに注文し、配達日と時間の指定をして支払いを済ませた。
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