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この温もりさえあれば(柊也視点)
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新しい企画、会議、取引先各社への対応、情報や伝達ミスによるやり直しやらで忙しくなり、しまいには家にさえ帰れなくなってイライラが募る中、ようやく一段落ついた頃には20日も経っていた。
打ち上げの誘いは断り、電車に揺られて家に着く頃には深夜1時を回っていて、柚琉はもう寝ているだろうからと起こさないように開けた玄関のシューズボックスの上に見慣れない物を見付けて眼を瞬く。
ゆっくりと色が変わるガラスで出来たツリーの中ではラメが舞っていて、その足元には小さなトナカイが2頭いて、綿で雪が作られてた。
リビングにツリーが飾られてるのは毎年だから知ってるけど、これは最近買ったやつかな。柚琉はこういうの好きみたいだから、俺が最後に見た時はまだハロウィン仕様になってたし。
一生懸命考えながらこれを並べた柚琉の姿を思い浮かべて小さく笑い、リビングへと向かった俺は去年よりも装飾が派手になってる室内を見て驚いた。まるで誕生日会のクリスマス版みたいな。
クリスマスツリーもオーナメントが増えて豪華になってるし。
「⋯⋯ん?」
新しく仲間入りしたジンジャーマンクッキーを見てたらペラペラした何かがぶら下がっている事に気付く。まるで隠すように枝に吊り下げられたそれは長方形の紙で、軽く引いて表を見た俺は目を見瞠った。
『クリスマスは柊也と過ごせますように』
七夕じゃないよ、とか、書くなら欲しい物だよ、とか、言いたい事はあるけどそんなのどうでもいい。こんな願いを書かせるほど寂しい思いをさせていたんだって胸が痛くなった。
幸いな事に仕事自体は落ち着いたからクリスマスは一緒にいられるけど、しばらくは定時で上がれないんだよな。休日返上して働いてたから明日は休みになったとはいえ、柚琉は大学あるだろうし1日くっついてるのは無理か。
「お風呂入ろうかな」
さっさとシャワーでも浴びて柚琉が寝てるベッドに入ろう。そう決めた俺は紙から手を離してコートを脱ぐと、少し迷ってからソファに掛け洗面所へと向かった。
久し振りに家で入る風呂はやっぱりいいなと思いつつ髪を乾かして寝室に行くと、ベッドの上に柚琉の頭が見えなくて代わりに布団がこんもりしていた。
目を瞬きながら近付きそっと捲ると背中を丸めて枕を抱き締めて眠っている柚琉がいて、その格好を見て今度は表情が緩む。
(俺の服着てる)
こんな可愛い事をするんだから堪らない。
ホント、柚琉は見た目と中身が合わないよね。これがギャップ萌えか。なんて思いつつ、いつも俺が寝ている側にゆっくりと入り丸まっていた身体を抱き寄せ髪に鼻先を埋める。
柚琉の匂いを思いっきり吸えば、やっと帰って来れたって実感出来た。
「⋯寂しい思いさせてごめんね」
SNSでのやり取りだけをしている間、柚琉は寂しいとは一言も言わなかった。それは仕事だからって分かってるからだろうけど、強がる傾向にあるから言えなかったのあるかもしれない。俺を困らせるかもって考えたりもするし。
俺は柚琉の我儘なら、叶えられるかどうかは別として何でも聞きたいのに。
「おやすみ」
無意識か、擦り寄ってくる柚琉の額に口付けて目を閉じた俺は、久し振りに感じる温もりのおかげで一瞬にして深い眠りに落ちる事が出来た。
柚琉がいれば、疲れだって一瞬で吹き飛ぶ。
翌朝、アラームを切り忘れていたせいで6時に鳴ってしまい慌てて停めたんだけど、柚琉の頭がむくりと起き上がって「しまった」と額を押さえた。
後ろ姿だけど寝惚けているのかきょろきょろしているのが分かり、起き上がって抱き締めるとビクリと肩が跳ねる。勢い良く振り向いた柚琉が俺と目が合うなり固まって、少しして泣きそうな顔になったからドキッとした。
「柊也⋯っ」
振り向いて飛び付き俺の背中に腕を回した柚琉が胸元に頬を擦り寄せてくる。隙間さえも許さないとばかりに膝に乗り上げる柚琉の髪を撫でると今度は首に抱き着いてきて、ぎゅーっと力を込めてきた。
珍しく積極的に甘えてくる柚琉にドキドキしながらしたいようにさせてたら、顔が上げられて唇が塞がれる。啄まれ、軽く唇を開けると待ってましたとばかりに舌が入ってきた。
「ん⋯」
舌先が触れ合い擽るように舌の裏側をなぞると身体を震わせる柚琉が可愛い。結構キスの回数もこなしてると思うんだけど、柚琉からしてくれるキスはどこかぎこちないものの一生懸命だからつい意地悪したくなる。
ちょっとだけ気になって柚琉のお腹の下に手を滑らせたら勢い良く離れた。
「勃ってるね」
「い、言うな⋯っ」
裾で隠れてたけど、手に触れたからそう言えば柚琉は真っ赤になって俺の口を押さえる。恥ずかしがらなくてもいいのにと思いつつ手を外して口付ければ、寄っていた眉根が緩んで頬を摘まれた。
「いいの? 大学は?」
「1日くらい休んだっていいだろ」
「悪い大人だなー」
笑いながら言えばふんっと鼻を鳴らして俺の肩を押して倒してきた。腰のところに跨り、俺も反応している事に気付いてお尻を揺らしてくる。
「⋯っ⋯」
「何だ、お前もじゃん」
そりゃここ20日間、柚琉を抱く事はおろか抜く暇さえなかったんだから仕方がない。というか、溜まりに溜まってるんだけど、本当にこのまましてもいいんだろうか。
「ねぇ、柚琉」
「ん?」
「俺、忙しい間1回も抜いてないんだけど⋯」
「? うん」
「本当にいいの?」
「何が⋯」
「このままなら抱き潰すよ?」
何なら先に1回でも抜いた方が柚琉の身体的にはいいと思ってそう問い掛けたら、目を瞬いたあと意味を理解して固まったけど、少しして目を伏せ俺の手を握った柚琉は赤い顔で小さく頷いた。
⋯⋯頷いた?
「俺も⋯めちゃくちゃにして欲しい、から⋯いい」
まさか柚琉からそんな事を言われるなんて思わなくて、俺は驚くと同時にその艶めいた表情に生唾を飲み込んだ。
ヤバい。もしかしたら俺、自我をなくしてしまうかもしれない。
打ち上げの誘いは断り、電車に揺られて家に着く頃には深夜1時を回っていて、柚琉はもう寝ているだろうからと起こさないように開けた玄関のシューズボックスの上に見慣れない物を見付けて眼を瞬く。
ゆっくりと色が変わるガラスで出来たツリーの中ではラメが舞っていて、その足元には小さなトナカイが2頭いて、綿で雪が作られてた。
リビングにツリーが飾られてるのは毎年だから知ってるけど、これは最近買ったやつかな。柚琉はこういうの好きみたいだから、俺が最後に見た時はまだハロウィン仕様になってたし。
一生懸命考えながらこれを並べた柚琉の姿を思い浮かべて小さく笑い、リビングへと向かった俺は去年よりも装飾が派手になってる室内を見て驚いた。まるで誕生日会のクリスマス版みたいな。
クリスマスツリーもオーナメントが増えて豪華になってるし。
「⋯⋯ん?」
新しく仲間入りしたジンジャーマンクッキーを見てたらペラペラした何かがぶら下がっている事に気付く。まるで隠すように枝に吊り下げられたそれは長方形の紙で、軽く引いて表を見た俺は目を見瞠った。
『クリスマスは柊也と過ごせますように』
七夕じゃないよ、とか、書くなら欲しい物だよ、とか、言いたい事はあるけどそんなのどうでもいい。こんな願いを書かせるほど寂しい思いをさせていたんだって胸が痛くなった。
幸いな事に仕事自体は落ち着いたからクリスマスは一緒にいられるけど、しばらくは定時で上がれないんだよな。休日返上して働いてたから明日は休みになったとはいえ、柚琉は大学あるだろうし1日くっついてるのは無理か。
「お風呂入ろうかな」
さっさとシャワーでも浴びて柚琉が寝てるベッドに入ろう。そう決めた俺は紙から手を離してコートを脱ぐと、少し迷ってからソファに掛け洗面所へと向かった。
久し振りに家で入る風呂はやっぱりいいなと思いつつ髪を乾かして寝室に行くと、ベッドの上に柚琉の頭が見えなくて代わりに布団がこんもりしていた。
目を瞬きながら近付きそっと捲ると背中を丸めて枕を抱き締めて眠っている柚琉がいて、その格好を見て今度は表情が緩む。
(俺の服着てる)
こんな可愛い事をするんだから堪らない。
ホント、柚琉は見た目と中身が合わないよね。これがギャップ萌えか。なんて思いつつ、いつも俺が寝ている側にゆっくりと入り丸まっていた身体を抱き寄せ髪に鼻先を埋める。
柚琉の匂いを思いっきり吸えば、やっと帰って来れたって実感出来た。
「⋯寂しい思いさせてごめんね」
SNSでのやり取りだけをしている間、柚琉は寂しいとは一言も言わなかった。それは仕事だからって分かってるからだろうけど、強がる傾向にあるから言えなかったのあるかもしれない。俺を困らせるかもって考えたりもするし。
俺は柚琉の我儘なら、叶えられるかどうかは別として何でも聞きたいのに。
「おやすみ」
無意識か、擦り寄ってくる柚琉の額に口付けて目を閉じた俺は、久し振りに感じる温もりのおかげで一瞬にして深い眠りに落ちる事が出来た。
柚琉がいれば、疲れだって一瞬で吹き飛ぶ。
翌朝、アラームを切り忘れていたせいで6時に鳴ってしまい慌てて停めたんだけど、柚琉の頭がむくりと起き上がって「しまった」と額を押さえた。
後ろ姿だけど寝惚けているのかきょろきょろしているのが分かり、起き上がって抱き締めるとビクリと肩が跳ねる。勢い良く振り向いた柚琉が俺と目が合うなり固まって、少しして泣きそうな顔になったからドキッとした。
「柊也⋯っ」
振り向いて飛び付き俺の背中に腕を回した柚琉が胸元に頬を擦り寄せてくる。隙間さえも許さないとばかりに膝に乗り上げる柚琉の髪を撫でると今度は首に抱き着いてきて、ぎゅーっと力を込めてきた。
珍しく積極的に甘えてくる柚琉にドキドキしながらしたいようにさせてたら、顔が上げられて唇が塞がれる。啄まれ、軽く唇を開けると待ってましたとばかりに舌が入ってきた。
「ん⋯」
舌先が触れ合い擽るように舌の裏側をなぞると身体を震わせる柚琉が可愛い。結構キスの回数もこなしてると思うんだけど、柚琉からしてくれるキスはどこかぎこちないものの一生懸命だからつい意地悪したくなる。
ちょっとだけ気になって柚琉のお腹の下に手を滑らせたら勢い良く離れた。
「勃ってるね」
「い、言うな⋯っ」
裾で隠れてたけど、手に触れたからそう言えば柚琉は真っ赤になって俺の口を押さえる。恥ずかしがらなくてもいいのにと思いつつ手を外して口付ければ、寄っていた眉根が緩んで頬を摘まれた。
「いいの? 大学は?」
「1日くらい休んだっていいだろ」
「悪い大人だなー」
笑いながら言えばふんっと鼻を鳴らして俺の肩を押して倒してきた。腰のところに跨り、俺も反応している事に気付いてお尻を揺らしてくる。
「⋯っ⋯」
「何だ、お前もじゃん」
そりゃここ20日間、柚琉を抱く事はおろか抜く暇さえなかったんだから仕方がない。というか、溜まりに溜まってるんだけど、本当にこのまましてもいいんだろうか。
「ねぇ、柚琉」
「ん?」
「俺、忙しい間1回も抜いてないんだけど⋯」
「? うん」
「本当にいいの?」
「何が⋯」
「このままなら抱き潰すよ?」
何なら先に1回でも抜いた方が柚琉の身体的にはいいと思ってそう問い掛けたら、目を瞬いたあと意味を理解して固まったけど、少しして目を伏せ俺の手を握った柚琉は赤い顔で小さく頷いた。
⋯⋯頷いた?
「俺も⋯めちゃくちゃにして欲しい、から⋯いい」
まさか柚琉からそんな事を言われるなんて思わなくて、俺は驚くと同時にその艶めいた表情に生唾を飲み込んだ。
ヤバい。もしかしたら俺、自我をなくしてしまうかもしれない。
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