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【最終話】年下ワンコは今日も愛が重い
「別嬪さん、俺たちとお茶せぇへん?」
「君になら奢ったげるよ」
休みだけど、少しだけ会社に用があるという柊也と一緒に昼食を摂る約束をして待ち合わせてたら、いかにも遊んでますって感じの兄ちゃん2人にそう声をかけられた。
返事をしなければ怪訝そうな顔をして去って行くのは経験済みだから敢えて反応せずにいると、金髪の方が隣に移動してきて肩に回された腕で抱き寄せられる。顔まで覗き込まれたから文句を言おうとしたら、金髪の顔が誰かの手で押さえられて無理やり引き剥がされた。
代わりに嗅ぎ馴れた香りと腕に包まれホッとする。
「⋯いったいな! 何すんねん!」
「俺の恋人に気安く触らないでくれる?」
「は⋯?」
「うわ、えらいイケメンや」
「その腕、切り落とすよ?」
「イケメンやけど怖! 何この人!」
「⋯⋯⋯アホらし⋯行くで」
ライトブラウンの髪の方が大きなリアクションをする中、金髪は眉根を寄せるとふいっと踵を返して歩き出す。それを慌ててライトブラウンが追いかけ、ナンパ野郎は嵐のように去って行った。
それを見送って息を吐き、今だ俺を抱き締めてる手を叩くと眉尻を下げて頬擦りしてくる。
「俺が来るまでどこか入っててって言ったのに」
「そんな待ってなかったし、入る方が面倒だろ」
「でもナンパされた」
「無視してたって」
「触られた」
ああ言えばこう言いやがる。
ヤキモチなのか独占欲なのかは分からないけど、友達だろうと俺がちょっとでも触られるの嫌がるんだよな。自分の親とでさえ、仲良く話してると割って入ってくるし。
ムスッとしている柊也に仕方ないなと溜め息をついた俺は、最終手段を使う事にした。
柊也の腰に腕を回し、しなだれかかって見上げるとビクッとする。
「ありがとな。柊也が来てくれたからホッとした」
「⋯⋯」
「カッコ良かった」
「⋯⋯⋯もう!」
懐っこくて明るい柊也は可愛いよりカッコ良いって言われる方が嬉しいから、俺が笑いながらでもそう言えば途端に機嫌が良くなる。
悔しそうに俺を抱き締める柊也にチョロいなと思いつつ、時間を確認し軽く胸元を押した時、俺のスマホが軽快な音を鳴らした。着信だったから出ようとしたけど、発信者名を見て眉を顰める。
「あー⋯」
「どうしたの?」
「前にさ、会社の先輩が何回断っても食事に誘って来るって言っただろ? その人からの電話」
「俺が出ようか?」
「いいよ。放っておけば諦めるだろ」
恋人いるって言ってるし、指輪もしてるし、絶対なびく事はないんだからいつまでも俺に構い続ける事はないはずだ。そもそもあの人だって既婚者だし。
最初から分かってる分、元彼よりはマシだけど。
「ほら、飯食いに行くぞ。腹減った」
「高邑におすすめの和食屋さん教えて貰ったからそこ行こ」
「ん」
また掛かって来てもアレだし、サイレントモードにしてスマホをしまった俺は、差し出された柊也の手を握って歩き出した。
社会人の人付き合いってほんと、難儀だな。
高邑さんがおすすめしてくれた和食屋は本当に美味しかった。ついついデザートまで食べたから腹がパンパンだけど、物凄く満足してる。
「柚琉、ご機嫌だね」
「美味しいもん食べてめっちゃ満たされてるからな」
「可愛い」
「どこがだ」
ご機嫌でにこにこして可愛いのはお前だろうに。
後ろから抱き着いてくる柊也をそのままに足を進め、通りに並ぶ店を覗いてはショーウィンドウに飾られた商品を指差して話す。そんな他愛ない時間が当たり前なのが嬉しい。
「あ、ごめん柚琉。会社から電話掛かってきたから出てくる」
「おー」
申し訳なさそうにスマホを見せて離れた場所で応答する柊也を見て、人の邪魔にならないよう端に寄る。近くの店にある犬の置物を見付けて眺めてたら、後ろから「宮脇」と声をかけられた。振り向くと件の先輩がいて思わず頬を引き攣らせる。
「こんなところで会えるなんて思わなかったな」
「⋯どうも」
「何してるんだ?」
「デートです」
「あー⋯そうなんだ。でも今は1人なんだな」
「仕事の電話してるんで」
よりにもよって先輩と鉢合わせするとは⋯さっき電話を無視したからちょっとだけ気まずい。
先輩はチラリと柊也を見ると、少しズレて俺の視界から柊也を遮った。
「デート中に仕事の電話ってどうかと思うな」
「俺は別に何とも思わないですけど⋯」
「優しいんだ。でも、俺なら宮脇とのデートで余所見ないんてしないけど」
「そうですか」
別に柊也だって余所見をしてる訳じゃないし、もしあれが重要な電話だったらどうするんだ。勤務年数や実績もあるから、柊也を頼る電話が来るのも俺は知ってるし。
柊也の行動を他人の物差しや価値観で決め付けないで欲しい。
早く立ち去ってくれないかなと思ってたら、不意に先輩の手が俺の頬へと伸びてきた。触られると思ったらその手が弾かれて勢い良く頭を抱き締められ目を瞬く。
「この人に触るな」
「おっと⋯ずいぶんと乱暴な彼氏だな」
「先輩が触ろうとするからですよ」
「柚琉、このナンパ野郎と知り合い?」
「ナンパ野郎⋯」
怒りを滲ませた柊也の声と行動に先輩が呆れたように言うけど、柊也はそれを無視して眉を吊り上げ俺に聞いてくる。
「例の先輩」
「この人が⋯」
一応、先輩の話は逐一してるからか、柊也は思いっきり先輩に敵意を抱いている。
いつもは穏やかな柊也が睨むように先輩を見ながら、更に俺を抱く腕の力を強めた。
「あんた、結婚してるくせに恋人持ちを口説くとかどういう神経してんの?」
「本当にね。妻と出会うより早く会えていれば、宮脇と付き合えていたかもしれないのに」
「そんな訳ないでしょ。この人は最初から俺のなんだから」
俺の頭上で俺の意思とは関係なく話が進んでいく。
まぁ先輩とは会社で会ったし、その時にはもうプロポーズまでされてたから柊也の言う通りではあるんだよな。
黙って成り行きを見てたら、柊也の手が俺の髪に触れ頬を滑り首筋を撫でた。
「柚琉の頭の天辺から爪先まで全部俺のものだから。唾液も、汗も、涙も、血の1滴だってあんたにはやらない」
「凄い独占欲だな」
「何とでも言えばいいよ。とにかく、これ以上柚琉に言い寄るのはやめてくれる?」
「それは嫌だなぁ」
「柚琉、セクハラで訴えよう」
聞きようによってはドン引かれるほど熱烈な言葉だけど、少なからずときめくあたり俺も相当だな。
まさに一触即発な2人に息を吐き、柊也の腕を解いて自分の腕を絡めた俺は先輩を見上げて首を傾げる。
「ご覧の通り、俺の恋人は嫉妬深くて独占欲の塊なので、諦めて下さい」
「宮脇はそれでいいんだ?」
「はい。めちゃくちゃ愛を感じません?」
「なるほど、お似合いって訳か。まぁ引くかどうかは俺が決めるけど」
「あの人、喧嘩売ってるのかなぁ」
「どーどー」
柊也がここまで苛立ってるのは初めてだけど、俺としてはこれ以上邪魔をされたくない訳で。どのみち話は平行線になりそうだしと、柊也の腕を引いて1歩足を出す。
「先輩はコイツには勝てませんよ。なので、ちゃんと奥さんを大事にして下さい」
「ハッキリ言うよな、ホント」
「それじゃあ先輩、また会社で」
「ああ、またな」
絶対なびかない宣言は元々してるし、俺は先輩に頭を下げると威嚇する柊也を宥めつつ帰路につく。今日は柊也の機嫌的にももうさっさと帰ってしまった方がいいだろう。
まぁ、あそこまで言ってなおも口説いてくるなら本当にセクハラで訴えるのもありかもしれない。
帰宅する頃にはオヤツの時間は過ぎてて、早いけど風呂に入ろうという柊也に同意した俺は今は2人で浴槽に浸かってた。
「柚琉はモテ過ぎ」
「いや、お前が言うな。昨日もカバンにラブレター入ってたぞ」
「こっそり入れるの、ホント勘弁して欲しい⋯」
「アドレス書いたメモとか、同じ子からのもあるしな」
一途だなぁとは思うけど、残念ながら俺は自惚れてる上に性格が捻くれてるから、書くだけ無駄だぞと思いつつ一応本人に渡してる。受け取りもせずに捨ててって言われるけど。
柊也の腕が腹に回され項垂れた柊也の頬と自分の頬が触れ合う。
「柚琉のカバンからラブレター出てきたら、俺、すぐに破り捨てるかも」
「いいよ、別に読む気ないし」
「破り捨てて、もう誰も柚琉を見れないように閉じ込める」
「うわぁ⋯」
まさかの監禁宣言。
柊也なら本気でやりかねないかもって心配にはなるけど、もし本当に不安になったらそれくらいは許してやってもいいかもな。
ただ、不安な気持ちにはさせないようにしたい。
腹を撫でる手に自分の手を重ね、柊也の頬へと口付ける。
「俺はお前しか見てないから」
「柚琉⋯」
「キスも、セックスも、他にもいろいろ、俺がしたいって思うのは柊也だけだ。お前以上の存在はこの世にいないよ」
俺がここまで幸せになれたのは柊也のおかげで、俺の男運のなさをことごとく覆してくれたのも柊也だ。コイツがいなかったら、俺はきっと今だにバカな男に引っかかってただろうし。
顔を上げ俺を真っ直ぐに見る柊也に微笑んで言えばピクリと反応し、頬に手が添えられて唇が重ねられた。
これだけで全身が満たされるんだから、今更誰が出てきたって敵わないんだよ。もう俺の心も身体も柊也に染められてるんだし。
「愛してるよ、柚琉」
甘やかな囁きが唇から染み込み、じんわりと広がる。
狭い浴槽の中身体を反転させ柊也と向き合った俺は、柊也の首に腕を回して額を合わせた。。
「俺も愛してる」
例え何が起きたってこの気持ちは変わらない。
柊也さえいれば、未来永劫俺は笑っていられるんだから。
俺たちは互いに微笑み合うと、数え切れないほど重ねてきた唇を触れ合わせた。
FIN.
⟡.· ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ ⟡.·
『愛が重めの年下ワンコに懐かれました』、これにて完結となります!
短編が中編くらいの長さになってしまいました💦
ワンコ攻め、難しいです。
ちゃんとワンコだったか疑問だし、えち中の柊也がどんどんSみを増していくのであれー? って感じでした😅
果たしてこれはワンコ攻めなのか⋯🤔
柚琉はクールでしたね⋯年を取るにつれクールじゃなく淡白になりました。
最初とキャラ違う? って感じたら、大人になったと思って下さい(笑)
番外編については考え中です。
こんな話を書きたいって思ったら突発的に公開するかも⋯?
ひとまずは完結という事になりますね。
明日からは、同級生×同級生のお話を公開致します☺️
周りから王子と呼ばれている攻めと大人しく控えめな受けの高校生カップルです!
一話だけでも読んで頂けると幸いです🙇♀️
それでは、ここまで読んで下さりありがとうございました✨
「君になら奢ったげるよ」
休みだけど、少しだけ会社に用があるという柊也と一緒に昼食を摂る約束をして待ち合わせてたら、いかにも遊んでますって感じの兄ちゃん2人にそう声をかけられた。
返事をしなければ怪訝そうな顔をして去って行くのは経験済みだから敢えて反応せずにいると、金髪の方が隣に移動してきて肩に回された腕で抱き寄せられる。顔まで覗き込まれたから文句を言おうとしたら、金髪の顔が誰かの手で押さえられて無理やり引き剥がされた。
代わりに嗅ぎ馴れた香りと腕に包まれホッとする。
「⋯いったいな! 何すんねん!」
「俺の恋人に気安く触らないでくれる?」
「は⋯?」
「うわ、えらいイケメンや」
「その腕、切り落とすよ?」
「イケメンやけど怖! 何この人!」
「⋯⋯⋯アホらし⋯行くで」
ライトブラウンの髪の方が大きなリアクションをする中、金髪は眉根を寄せるとふいっと踵を返して歩き出す。それを慌ててライトブラウンが追いかけ、ナンパ野郎は嵐のように去って行った。
それを見送って息を吐き、今だ俺を抱き締めてる手を叩くと眉尻を下げて頬擦りしてくる。
「俺が来るまでどこか入っててって言ったのに」
「そんな待ってなかったし、入る方が面倒だろ」
「でもナンパされた」
「無視してたって」
「触られた」
ああ言えばこう言いやがる。
ヤキモチなのか独占欲なのかは分からないけど、友達だろうと俺がちょっとでも触られるの嫌がるんだよな。自分の親とでさえ、仲良く話してると割って入ってくるし。
ムスッとしている柊也に仕方ないなと溜め息をついた俺は、最終手段を使う事にした。
柊也の腰に腕を回し、しなだれかかって見上げるとビクッとする。
「ありがとな。柊也が来てくれたからホッとした」
「⋯⋯」
「カッコ良かった」
「⋯⋯⋯もう!」
懐っこくて明るい柊也は可愛いよりカッコ良いって言われる方が嬉しいから、俺が笑いながらでもそう言えば途端に機嫌が良くなる。
悔しそうに俺を抱き締める柊也にチョロいなと思いつつ、時間を確認し軽く胸元を押した時、俺のスマホが軽快な音を鳴らした。着信だったから出ようとしたけど、発信者名を見て眉を顰める。
「あー⋯」
「どうしたの?」
「前にさ、会社の先輩が何回断っても食事に誘って来るって言っただろ? その人からの電話」
「俺が出ようか?」
「いいよ。放っておけば諦めるだろ」
恋人いるって言ってるし、指輪もしてるし、絶対なびく事はないんだからいつまでも俺に構い続ける事はないはずだ。そもそもあの人だって既婚者だし。
最初から分かってる分、元彼よりはマシだけど。
「ほら、飯食いに行くぞ。腹減った」
「高邑におすすめの和食屋さん教えて貰ったからそこ行こ」
「ん」
また掛かって来てもアレだし、サイレントモードにしてスマホをしまった俺は、差し出された柊也の手を握って歩き出した。
社会人の人付き合いってほんと、難儀だな。
高邑さんがおすすめしてくれた和食屋は本当に美味しかった。ついついデザートまで食べたから腹がパンパンだけど、物凄く満足してる。
「柚琉、ご機嫌だね」
「美味しいもん食べてめっちゃ満たされてるからな」
「可愛い」
「どこがだ」
ご機嫌でにこにこして可愛いのはお前だろうに。
後ろから抱き着いてくる柊也をそのままに足を進め、通りに並ぶ店を覗いてはショーウィンドウに飾られた商品を指差して話す。そんな他愛ない時間が当たり前なのが嬉しい。
「あ、ごめん柚琉。会社から電話掛かってきたから出てくる」
「おー」
申し訳なさそうにスマホを見せて離れた場所で応答する柊也を見て、人の邪魔にならないよう端に寄る。近くの店にある犬の置物を見付けて眺めてたら、後ろから「宮脇」と声をかけられた。振り向くと件の先輩がいて思わず頬を引き攣らせる。
「こんなところで会えるなんて思わなかったな」
「⋯どうも」
「何してるんだ?」
「デートです」
「あー⋯そうなんだ。でも今は1人なんだな」
「仕事の電話してるんで」
よりにもよって先輩と鉢合わせするとは⋯さっき電話を無視したからちょっとだけ気まずい。
先輩はチラリと柊也を見ると、少しズレて俺の視界から柊也を遮った。
「デート中に仕事の電話ってどうかと思うな」
「俺は別に何とも思わないですけど⋯」
「優しいんだ。でも、俺なら宮脇とのデートで余所見ないんてしないけど」
「そうですか」
別に柊也だって余所見をしてる訳じゃないし、もしあれが重要な電話だったらどうするんだ。勤務年数や実績もあるから、柊也を頼る電話が来るのも俺は知ってるし。
柊也の行動を他人の物差しや価値観で決め付けないで欲しい。
早く立ち去ってくれないかなと思ってたら、不意に先輩の手が俺の頬へと伸びてきた。触られると思ったらその手が弾かれて勢い良く頭を抱き締められ目を瞬く。
「この人に触るな」
「おっと⋯ずいぶんと乱暴な彼氏だな」
「先輩が触ろうとするからですよ」
「柚琉、このナンパ野郎と知り合い?」
「ナンパ野郎⋯」
怒りを滲ませた柊也の声と行動に先輩が呆れたように言うけど、柊也はそれを無視して眉を吊り上げ俺に聞いてくる。
「例の先輩」
「この人が⋯」
一応、先輩の話は逐一してるからか、柊也は思いっきり先輩に敵意を抱いている。
いつもは穏やかな柊也が睨むように先輩を見ながら、更に俺を抱く腕の力を強めた。
「あんた、結婚してるくせに恋人持ちを口説くとかどういう神経してんの?」
「本当にね。妻と出会うより早く会えていれば、宮脇と付き合えていたかもしれないのに」
「そんな訳ないでしょ。この人は最初から俺のなんだから」
俺の頭上で俺の意思とは関係なく話が進んでいく。
まぁ先輩とは会社で会ったし、その時にはもうプロポーズまでされてたから柊也の言う通りではあるんだよな。
黙って成り行きを見てたら、柊也の手が俺の髪に触れ頬を滑り首筋を撫でた。
「柚琉の頭の天辺から爪先まで全部俺のものだから。唾液も、汗も、涙も、血の1滴だってあんたにはやらない」
「凄い独占欲だな」
「何とでも言えばいいよ。とにかく、これ以上柚琉に言い寄るのはやめてくれる?」
「それは嫌だなぁ」
「柚琉、セクハラで訴えよう」
聞きようによってはドン引かれるほど熱烈な言葉だけど、少なからずときめくあたり俺も相当だな。
まさに一触即発な2人に息を吐き、柊也の腕を解いて自分の腕を絡めた俺は先輩を見上げて首を傾げる。
「ご覧の通り、俺の恋人は嫉妬深くて独占欲の塊なので、諦めて下さい」
「宮脇はそれでいいんだ?」
「はい。めちゃくちゃ愛を感じません?」
「なるほど、お似合いって訳か。まぁ引くかどうかは俺が決めるけど」
「あの人、喧嘩売ってるのかなぁ」
「どーどー」
柊也がここまで苛立ってるのは初めてだけど、俺としてはこれ以上邪魔をされたくない訳で。どのみち話は平行線になりそうだしと、柊也の腕を引いて1歩足を出す。
「先輩はコイツには勝てませんよ。なので、ちゃんと奥さんを大事にして下さい」
「ハッキリ言うよな、ホント」
「それじゃあ先輩、また会社で」
「ああ、またな」
絶対なびかない宣言は元々してるし、俺は先輩に頭を下げると威嚇する柊也を宥めつつ帰路につく。今日は柊也の機嫌的にももうさっさと帰ってしまった方がいいだろう。
まぁ、あそこまで言ってなおも口説いてくるなら本当にセクハラで訴えるのもありかもしれない。
帰宅する頃にはオヤツの時間は過ぎてて、早いけど風呂に入ろうという柊也に同意した俺は今は2人で浴槽に浸かってた。
「柚琉はモテ過ぎ」
「いや、お前が言うな。昨日もカバンにラブレター入ってたぞ」
「こっそり入れるの、ホント勘弁して欲しい⋯」
「アドレス書いたメモとか、同じ子からのもあるしな」
一途だなぁとは思うけど、残念ながら俺は自惚れてる上に性格が捻くれてるから、書くだけ無駄だぞと思いつつ一応本人に渡してる。受け取りもせずに捨ててって言われるけど。
柊也の腕が腹に回され項垂れた柊也の頬と自分の頬が触れ合う。
「柚琉のカバンからラブレター出てきたら、俺、すぐに破り捨てるかも」
「いいよ、別に読む気ないし」
「破り捨てて、もう誰も柚琉を見れないように閉じ込める」
「うわぁ⋯」
まさかの監禁宣言。
柊也なら本気でやりかねないかもって心配にはなるけど、もし本当に不安になったらそれくらいは許してやってもいいかもな。
ただ、不安な気持ちにはさせないようにしたい。
腹を撫でる手に自分の手を重ね、柊也の頬へと口付ける。
「俺はお前しか見てないから」
「柚琉⋯」
「キスも、セックスも、他にもいろいろ、俺がしたいって思うのは柊也だけだ。お前以上の存在はこの世にいないよ」
俺がここまで幸せになれたのは柊也のおかげで、俺の男運のなさをことごとく覆してくれたのも柊也だ。コイツがいなかったら、俺はきっと今だにバカな男に引っかかってただろうし。
顔を上げ俺を真っ直ぐに見る柊也に微笑んで言えばピクリと反応し、頬に手が添えられて唇が重ねられた。
これだけで全身が満たされるんだから、今更誰が出てきたって敵わないんだよ。もう俺の心も身体も柊也に染められてるんだし。
「愛してるよ、柚琉」
甘やかな囁きが唇から染み込み、じんわりと広がる。
狭い浴槽の中身体を反転させ柊也と向き合った俺は、柊也の首に腕を回して額を合わせた。。
「俺も愛してる」
例え何が起きたってこの気持ちは変わらない。
柊也さえいれば、未来永劫俺は笑っていられるんだから。
俺たちは互いに微笑み合うと、数え切れないほど重ねてきた唇を触れ合わせた。
FIN.
⟡.· ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ ⟡.·
『愛が重めの年下ワンコに懐かれました』、これにて完結となります!
短編が中編くらいの長さになってしまいました💦
ワンコ攻め、難しいです。
ちゃんとワンコだったか疑問だし、えち中の柊也がどんどんSみを増していくのであれー? って感じでした😅
果たしてこれはワンコ攻めなのか⋯🤔
柚琉はクールでしたね⋯年を取るにつれクールじゃなく淡白になりました。
最初とキャラ違う? って感じたら、大人になったと思って下さい(笑)
番外編については考え中です。
こんな話を書きたいって思ったら突発的に公開するかも⋯?
ひとまずは完結という事になりますね。
明日からは、同級生×同級生のお話を公開致します☺️
周りから王子と呼ばれている攻めと大人しく控えめな受けの高校生カップルです!
一話だけでも読んで頂けると幸いです🙇♀️
それでは、ここまで読んで下さりありがとうございました✨
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竜王陛下も孤独な青年も毎朝楽しみに読ませていただいていました!
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コメントありがとうございます🙇♀️
わー✨
前作、前々作も読んで頂けて嬉しいです☺️✨
柊也には、素直さと無邪気さを武器に頑張って欲しいですね😁
柚琉も柚琉で複雑ではありますが⋯😔
ワンコ攻めの難しさに四苦八苦していますが、皆様に少しでも楽しんで読んで頂けるようこれからも精進して参ります!🌼