異世界に勇者として勝手に呼んどいてギフトが弱いから追放します?~裏切りから始まる復讐劇 今さら謝られても止まれない~

明夜

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召喚編

3話 こんにちは異世界

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 目の前がまぶしく光ったと思ったら教室ではない別の場所にいる。そして目の前には映画とかで見る玉座とこれまた映画でみるような立派な髭と杖を持っている老人。理解できるはずがない。現に不良の森野は今すぐにでも騒ぎだしそうな様子だ。しかし森野が何か言う直前に王様が先ほどのセリフを喋ったことで話をする下地のようなものが出来上がっていた。


「すみません。我々は先ほどまで教室にいたはずなのですが。召喚と言いましか。説明していただけないでしょうか」


 誰よりも早く立ち直ったのはやはりというべきか報恩寺だった。その様子は少なくとも俺からは泰然自若としたいつもの報恩寺にしか見えない。同い年とはまるで思えない。


「もちろん説明しよう。先ほど言った通り我々は勇者殿たちを召喚した。復活する魔王打倒の助力を願うためだ」

「その魔王? というのは俺の知識だと魔物とかモンスターとか呼ばれてる存在の親玉で凄い強い奴って認識なんですがそれで大丈夫ですか?」


 報恩寺の次に復活したのは神宮司だ。普段クラスを仕切る2人が立ち直ったのを見てほかのクラスメイトたちも徐々に落ち着きを取り戻していく。


「おそらくそれほど齟齬はないだろう。数百年前に倒された魔王が復活すると占星術師の予言がなされた。故に以前と同様異世界の勇者殿たちの力を借りるため呼ばせていただいた」

「ちょ、ちょっと待ってください。数百年前の人たちは知らないですが少なくとも俺らには戦える力なんてないです。知識とかなら少しはお役に立てるかもしれませんが」


 思わず聞いてしまう。神宮司と王様の話に口を挟む形になるが仕方がない。そして同時にこれは王様の予想通りの展開なのではと勘ぐってしまう。その証拠に俺たちに戦える力がないと言っても王様は勿論周りのゴチャゴチャした服を着た人たちも驚いたりはしていない。最初から知っていたのだろう。


「安心されよ。勇者殿たちにはこちらの世界に呼ぶ際特別な能力、我々はギフトと呼んでいるがそれを神より授けられている。正確にはギフトを授かることが出来る才能豊かな者を召喚させてもらった。ギフトには様々な種類があるがどれも非常に強力なものだ」


 王様の発言にクラスが、特に普段俺が話さない集団が沸き立つ。あの神宮司と報恩寺ですら興奮によるものか頬が上気している。こいつら本気か? そりゃただで強力な能力、地球でいうところの瞬間記憶能力やら絶対音感やらが手に入るというのも、才能豊かなんて言われたのも嬉しいかもしれないが……。その対価は魔王とかモンスターとかと戦うことだぞ。そもそも俺らを無理やりここに召喚? したのもこの王様たちだ。


 クラスのみんなが程度の違いはあれは王様の話に喜んでいるのを確認し、どこか違和感を感じた俺がふと王様のほうを見ると隣の一際高そうな鎧を着ている男と何か話している最中だった。今ちらりと一瞬俺のほうを見た気がしたが……気のせいか? 俺に見られていることに気づいたからかそれともみんなが落ち着いてきたからか王様が再び口を開いた。


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