異世界に勇者として勝手に呼んどいてギフトが弱いから追放します?~裏切りから始まる復讐劇 今さら謝られても止まれない~

明夜

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召喚編

10話 氷室の評価

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「それにしても20人もの大人数を呼ぶのは今までの記録にもなかったが無事成功してよかったぞ」

 全員分のスキルと今後の予定について大部分を話し終わった4人はワイン片手に一息ついた。一度に召喚する勇者の人数はまちまちだが20人はかなり多いほうだ。これはギフトに目覚める可能性のものが少ないから……ではない。

 実際のところ異世界から召喚魔法で呼んだものは例外なくギフトを手に入れる。選ばれし者とは優越感をくすぐるためにパラディ―が作り出した嘘に過ぎない。では何故普段から大量に呼ばないのか。それは管理の難しさゆえだ。異世界から急に呼ばれて危険な戦いを乗り越え魔王を倒してくれと頼まれて2つ返事で頷く人間はほとんどいない。今回氷室達がパラディ―達の思惑どおり動いたのにはある仕掛けがあった。


「メルベルだったか元々の植物の名は。規制はしっかり行っているだろうな」

「勿論です。またこれ一つではただ気分が高揚するだけでそれほど強力な効果はありません。陛下の弁舌家のギフトあってこその成果です」

「その通りです。メルベルと陛下のギフトこれが揃わねば20人もの勇者の召喚はなしえなかったでしょう」

 
 パラディ―のギフト弁舌家の効果は簡単に言えば他者がその人物の話を聞きたくなる、耳を傾けるようになるというものだ。聞きたくなるだけで言うことを聞かせることができるわけではないが会話を交わすことに限定するならば非常に強力な力を持つギフトだ。メルベルのような精神を惑わす薬などと併用すると特に。


「弁舌家と言えばヒムロの扇動家の効果はやはりわからぬか」

「はい。大急ぎですべての記録を洗わせましたが載っておりません。少なくともわが国では初めてのギフトかと」

「経験則で言うならば家がついているギフトは性能が尖っている分効果が高いことが多い。わしの弁舌家もそうだ。ゲイツよそなたの観察眼でなにかわからなかったか」

「それが1つ気になることがありまして。ヒムロ殿はどうもほかの勇者殿と比べて薬の効きが悪かった様子です。薬だけではほとんどかかっておらず陛下のギフト使用により初めて効果を示していました。そして最終的なかかり具合もほかの方に比べると浅かったです。しかし今後繰り返し薬と陛下のギフトを使用することで解決する問題か」

「他者を扇動するものは扇動されない、といったところか? しかしわしのギフトと併用で効果を示したならばそこまで気にすることもないか。無論油断することは許されないが。宴の食事にもメルベルは混ぜてあるのであろう?」

「はい。陛下のお言葉もあり少なくとも数日中は効果があるかと」

「いずれにしろホウオンジ共々要注意人物だな」


 ゲイツのギフト観察眼は使用者によって効果が大きく異なるギフトだ。碌に修行をしていないものが使っても少し目敏くなる程度だがゲイツはその人物の精神状態までたやすく見抜く。勿論これは戦闘でも大いに有効でゲイツを王国軍最強足らしめている理由の一つだ。


「今夜はここまでにしておこう。2人も明日から頼んだぞ」

「「承知いたしました」」

 
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