異世界に勇者として勝手に呼んどいてギフトが弱いから追放します?~裏切りから始まる復讐劇 今さら謝られても止まれない~

明夜

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召喚編

12話 戦闘訓練開始

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「では勇者殿たちもわが国には慣れてきたようなので明日から戦闘訓練を開始したいと思う」

「やった!! ようやくだね!」

 
 王様の話を聞いて誰もが緊張して食事の手を止める中1人だけあからさまに喜んでいるやつがいる。鎧吟子だ。家が合気道道場で本人も合気道の達人だとか。最も本人の気質は合気道でよく聞く和の心とは程遠い。よくケンカ騒ぎを起こして職員室に呼び出されている。うちの学校では珍しい不良の森野も彼女の前では小さくなる。うちのクラスで鎧を抑えられるのは報恩寺か空手部の小島くらいだろう。神宮司は運動神経はいいが腕っぷしが強いとは聞かないしな。


「ヨロイ殿には我慢を強いてすまないな。普通の兵士ならば基礎訓練として素振りなどをしてもらうのだが勇者殿たちには強力なギフトがある。そちらを知り、伸ばす方向のほうがよいだろう」


 それを聞いて何名かほっとしたのか食事を再開し始める。青木や矢野などの戦闘向きではないギフト持ちか運動が嫌いなやつらだ。しかし俺は王様の言葉を聞いて逆に不安になった。今のところ俺はギフトを発動出来ていない。と言っても扇動家を意識しながら集中するだけだが。しかしほかの奴らはこれで使えるらしく先ほどの鎧などはコップを浮かせて遊んだりしている。戦闘訓練が始まり俺がギフトを使いこなせていないことがわかればどうなるか。すぐに城から追い出されるなんてことにはならないだろうがそれより心配なのはクラスメイトの視線だった。


「同じギフトでも努力次第で差が出るんですか?」

「勿論。エコダ殿の上級魔術で言えば同じ魔術でも威力、範囲、発動までの時間すべてに差が出る。またマユズミ殿たちの共有者はお互いの絆が深ければより遠くでも話すことが出来る。長い者は町3つを挟んでも使えるぞ」

  
 黛美智留と黛玲は双子の姉弟だ。普段から2人一緒におりあまり他のクラスメイトとは話さない。しかし2人とも容姿端麗なのでそれぞれにファンがいるらしい。恋人の影がお互いにないのもいいのだろう。口がさない者はあの双子がいつも一緒にいるのはそういう関係だからだなどと言うが常識的に考えてありえないだろう。

 因みに以前この話を聞いた結城が大声で触れ回ったことがあり教師に大目玉を食らっていた。そしてその結城のギフトが鑑定だというのだから笑えない。最も鑑定が具体的にどんなことを出来るのかは知らないが。あの水晶と同じならば他人のギフトの確認は出来るのだろう。しかしまだ本人もなにが出来るかはわかっいない。それを知るための訓練が明日から始まるのだし。とにかく未だギフトを使えていない俺にとっては憂鬱な日々が始まりそうだ。

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