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召喚編
20話 コボルトとの戦い
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コボルトは犬を二足歩行にしたような魔物だ。最も俺らが知っている愛玩用の犬ではなくもっと汚い野犬のような見た目だ。こいつをかわいいと感じるには結構な努力が必要だろう。また手は猿のように器用で道具を使うのは勿論自分たちで作りもする。犬、という種族がらか自分より強いものに仕えることが多い。オーガが小間使いにコボルトを扱うことも多い。以上フェルト先生の魔物講座より。
「エッチなお姉さんだよー」
背後から矢野の気の抜けるセリフが聞こえる。恐らく後ろでは声と一緒に胸なりお尻なりを強調するポーズを取っているだろう。これは誘惑に必須というわけではないがセックスアピールで相手の注意を引くことで成功率が上がるらしい。正直後ろを振り返りたいが俺が引っかかっては意味がないので我慢である。
「くぅーん」
「「バウッ!!」」
1匹が誘惑に引っかかり残りの2匹は逆に毛を逆立て威嚇してきた。異性には効果抜群の誘惑だが同性に対してはむしろ怒りを買うというデメリットがある。事前の計画通り1匹は誘惑で無力化出来たので俺と小島が1匹ずつ相手をする。俺は使い慣れた剣を持っているが小島はゴツイガントレットを付けているだけで素手だ。いくら空手部とはいえそんなので大丈夫かと不安になるが一本も小島からとれたことがない俺が心配する必要はないだろう。ギフトもあの報恩寺でさえ勝てたことのないゲイツさんと同じ観察眼だしな。
「ヴウゥ」
俺の相手は棍棒を持ったコボルトだ。身長が俺の腰ほどまでしかないから棍棒もそれに合わせて小さい。しかしそれでも腹などに当たれば今の俺なら痛みで怯むしそこを突かれたあっさりやられてしまうだろう。落ち着いて武器と腕のリーチを活かして遠間から突きを使って攻める。
「ふぅふぅ」
数分、どころか数十秒動いただけで息が切れてきた。初めての魔物との戦いという緊張から呼吸が乱れる。呼吸が乱れると筋肉に血が行きわたらず筋肉の動きが鈍れば攻撃を食らう。一度距離を話したほうがいいのかもしれないがそうすると後衛にこいつを近づけてしまう。それがいいことなのか悪いことなのか俺には判断が出来ず動けない。
「ヴォン!!」
遠くからチクチクしてくる俺に嫌気がさしたのか俺が剣を引いた瞬間コボルトが突っ込んでくる。
「それは予習済みだ」
コボルトの動きに合わせて上から剣を振り下ろす。ただし全力ではなく軽めに。つまりフェイントだ。しかしそれを知らないコボルトは慌てて棍棒で防ごうとする。
「おらっ!」
「ぎゃう!」
上に注意が向き大きく空いた腹めがけて思いっきり蹴りを放つ。体重が軽いコボルトはゴロゴロと転がっていき起き上がる前に後ろから矢が飛んできてとどめを刺した。振り向くと矢野がピースをしていた。感謝の意を手を上げる。以前森野にやられたことが活きたな。悔しいがあいつとの組み手も無駄ではないと考えよう。
小島のほうを見るとそちらも丁度終わるところだった。
「せいっ!!」
俺とは逆に小島がリーチ差をものともせずにコボルトの懐に入り拳打の嵐を浴びせている。なんとか後ろに下がろうとするコボルトだが小島はそれを逃がさず蹴りを首に叩き込んだ。音は聞こえなかったがコボルトは首をおかしな方向に曲げてその場に倒れこんだ。
「小島ーあんた手ぇ抜いてなかったー? もっと早く倒せたっしょー」
「無茶言うないでよ。魔物と近くで戦うのって怖いんだから」
口ではそういいつも小島の表情は笑顔だ。コボルトの返り血がついていて中々迫力のある顔になっていた。もしかしたらこいつのことだから俺に合わせて倒さずにいたのかもしれない。俺の立場少し不味いことにあるのも小島なら把握してるだろうし。
「見事な戦いぶりでしたコジマ殿ヒムロ殿。ヒムロ殿は攻めずらいと思ったら今のように後ろで仲間が弓を構えている場合は下がっても大丈夫です。ただ最後のフェイントからの蹴りは見事でした。コジマ殿も素晴らしい体術ですが対格差が大きい相手には拳よりも蹴りを主体にしたほうがいいでしょう。」
「「はい。ありがとうございます」
「ではそろそろ集合の時刻なので一旦陣まで戻りましょう」
ソーンさんは笛を吹いて再び合図を出すとその進行方向を陣のほうへと向けて進み始めた。俺はそれに付いていきながら1つの命を奪ったのにも関わらず特になにも感じないことに驚いていた。思った以上に自分はドライだったのか止めは矢野が弓で刺したから俺に殺した意識がないのか。どっちなんだろうな。
「エッチなお姉さんだよー」
背後から矢野の気の抜けるセリフが聞こえる。恐らく後ろでは声と一緒に胸なりお尻なりを強調するポーズを取っているだろう。これは誘惑に必須というわけではないがセックスアピールで相手の注意を引くことで成功率が上がるらしい。正直後ろを振り返りたいが俺が引っかかっては意味がないので我慢である。
「くぅーん」
「「バウッ!!」」
1匹が誘惑に引っかかり残りの2匹は逆に毛を逆立て威嚇してきた。異性には効果抜群の誘惑だが同性に対してはむしろ怒りを買うというデメリットがある。事前の計画通り1匹は誘惑で無力化出来たので俺と小島が1匹ずつ相手をする。俺は使い慣れた剣を持っているが小島はゴツイガントレットを付けているだけで素手だ。いくら空手部とはいえそんなので大丈夫かと不安になるが一本も小島からとれたことがない俺が心配する必要はないだろう。ギフトもあの報恩寺でさえ勝てたことのないゲイツさんと同じ観察眼だしな。
「ヴウゥ」
俺の相手は棍棒を持ったコボルトだ。身長が俺の腰ほどまでしかないから棍棒もそれに合わせて小さい。しかしそれでも腹などに当たれば今の俺なら痛みで怯むしそこを突かれたあっさりやられてしまうだろう。落ち着いて武器と腕のリーチを活かして遠間から突きを使って攻める。
「ふぅふぅ」
数分、どころか数十秒動いただけで息が切れてきた。初めての魔物との戦いという緊張から呼吸が乱れる。呼吸が乱れると筋肉に血が行きわたらず筋肉の動きが鈍れば攻撃を食らう。一度距離を話したほうがいいのかもしれないがそうすると後衛にこいつを近づけてしまう。それがいいことなのか悪いことなのか俺には判断が出来ず動けない。
「ヴォン!!」
遠くからチクチクしてくる俺に嫌気がさしたのか俺が剣を引いた瞬間コボルトが突っ込んでくる。
「それは予習済みだ」
コボルトの動きに合わせて上から剣を振り下ろす。ただし全力ではなく軽めに。つまりフェイントだ。しかしそれを知らないコボルトは慌てて棍棒で防ごうとする。
「おらっ!」
「ぎゃう!」
上に注意が向き大きく空いた腹めがけて思いっきり蹴りを放つ。体重が軽いコボルトはゴロゴロと転がっていき起き上がる前に後ろから矢が飛んできてとどめを刺した。振り向くと矢野がピースをしていた。感謝の意を手を上げる。以前森野にやられたことが活きたな。悔しいがあいつとの組み手も無駄ではないと考えよう。
小島のほうを見るとそちらも丁度終わるところだった。
「せいっ!!」
俺とは逆に小島がリーチ差をものともせずにコボルトの懐に入り拳打の嵐を浴びせている。なんとか後ろに下がろうとするコボルトだが小島はそれを逃がさず蹴りを首に叩き込んだ。音は聞こえなかったがコボルトは首をおかしな方向に曲げてその場に倒れこんだ。
「小島ーあんた手ぇ抜いてなかったー? もっと早く倒せたっしょー」
「無茶言うないでよ。魔物と近くで戦うのって怖いんだから」
口ではそういいつも小島の表情は笑顔だ。コボルトの返り血がついていて中々迫力のある顔になっていた。もしかしたらこいつのことだから俺に合わせて倒さずにいたのかもしれない。俺の立場少し不味いことにあるのも小島なら把握してるだろうし。
「見事な戦いぶりでしたコジマ殿ヒムロ殿。ヒムロ殿は攻めずらいと思ったら今のように後ろで仲間が弓を構えている場合は下がっても大丈夫です。ただ最後のフェイントからの蹴りは見事でした。コジマ殿も素晴らしい体術ですが対格差が大きい相手には拳よりも蹴りを主体にしたほうがいいでしょう。」
「「はい。ありがとうございます」
「ではそろそろ集合の時刻なので一旦陣まで戻りましょう」
ソーンさんは笛を吹いて再び合図を出すとその進行方向を陣のほうへと向けて進み始めた。俺はそれに付いていきながら1つの命を奪ったのにも関わらず特になにも感じないことに驚いていた。思った以上に自分はドライだったのか止めは矢野が弓で刺したから俺に殺した意識がないのか。どっちなんだろうな。
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