騎士爵とおてんば令嬢【完結済】

弓立歩

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本編

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今日はガーランド様と初めて一緒に帰りました。私の方が先に終わったようで校門で待つことになりましたが、なんだかデートの待ち合わせみたいでとっても緊張しました。というのもサーラが別れ際にそう言ったからだけど。

「ただいま戻りました~」

「おかえりなさいませ。ティアナ様、ガーランド様」

「この後はいつも通り執務に入るから、夕飯になったら呼んでくれ」

そういって、ガーランド様は執務室に入ってしまった。騎士爵といっても毎日ちゃんと帳簿をつけられているようで、ますますすてきな方だと思う。

「それで、ティアナ様。昨日言っておられたお菓子の件ですが…」

「うん!材料はもう用意してあるから、あとは作るだけね」

そういって厨房に入らせてもらう。奥にはロイさんがいて夕食の準備をしている様だ。

「ロイさんすみません。いつ頃空きますか?」

「ああ、ティアナ様お帰りになられたのですね。もうすぐですよ。今日は簡単にできるものにしてますから、遠慮せずお使いください」

「ご迷惑おかけします」

私はロイさんに場所を譲ってもらって、材料を並べ始める。最初はクッキーの材料から。こっちはカカオを入れたビタークッキーとシナモンクッキー。その後はシナモンを入れたパウンドケーキにも挑戦する予定だ。いくつも一緒にと思うけれど、材料は被るものもあるし、後日足すものがどれぐらいいるかも簡単にわかるので、いつもこうやって作っている。

「それでは私はこれで、何かご入用でしたらお呼びください」

「ありがとう」

「では、ティアナ様。今から二人っきりでクッキングですね!!」

「あ、はい…」

カレンさんってきれいな人なのに、時々変なテンションなんだよね。

「それじゃあそっちの材料を振るっていただけますか?」

「振る?」

「振るうですよ、こうやってやるんです」

私がササッと見本を見せる。やっぱり、普段から料理をするといってもお菓子となると経験がないようだ。そういえば、おばさんも店に来るのはほとんどが製菓店の店員か、趣味で作ってる一部の平民ぐらいだって言ってたわね。それ以外はたまに貴族の邸の人も来るって言ってたけど、貴族は自分の流通網を持っているところも多いからわざわざ来ないんだとか。

「へ~そうやるんですね。因みに何か意味が?」

「あ~確かに、見ただけじゃ意味わかんないかも。こうやると粉が固まらずなめらかになるんです」

「なるほど、勉強になります。さすがティアナ様です!」

そんなに褒められることでもないんだけどな。しかし、こうやって教えることなんてなかったから、今度からは本を片手にすることにしよう。復習にもなるしね。

「じゃあ、あとはお願いします。私はこっちでシナモンの方を作業しますから」

そう言ってシナモンに取り掛かる。あんまり使ったことないけど、今回は安く手に入れられたし、ちょっと多めに入れて、香りだけじゃなく味も出してみよう。


「もうすぐですかね?」

「もうちょっとかな?」

「それじゃあ、お茶を入れますね」

「あっ、じゃあせっかく何でシナモンティーにしましょう!」

「それはいいですね。」

そう言ってカレンさんは奥に下がって紅茶セットを持ってきてくれる。

「ん~、この香り癖になりそうですね~」

「そうなんですよ!でも、今回は安く買えましたけど割と高いんですよね…」

「どうしてですか?」

「産地が王都から遠いんで、輸送費がかかるんです。香りも重要なので湿気とかも注意しないといけませんし」

「大変なんですね」

「そろそろいいかな?」

軽くお茶を飲んだ後、もう一度焼き加減を確認する…いい感じだ。

「大丈夫みたいですね。じゃあ、出しましょうか」

「私がやります。ティアナ様が火傷でもしたら旦那様に叱られます」

「…それじゃあお願いします」

すごい目力で言われたので、お任せすることにする。それぐらいじゃあガーランド様は怒らないと思うけど。テーブルに広げられたお菓子を眺める。久しぶりに作ったにしては上々の焼き上がりだ。後はこの分をみんなに食べてもらってから、っと。

「そういえばティアナ様。かなりの量をお作りになられておりますが、どうされるので?」

そう、今回はレミリア様たちにもお配りする分なのだ。せっかく一杯材料が手に入ったので、他にも食べたい方がいればあげるつもりだ。一部はおばさんの店にレシピと一緒に渡す。おばさんは忙しいから時たまこうやって、店のもので作ったレシピと現物を置いて宣伝に使う。そして、私はその時の売り上げによってちょっと値引いて買えるという相互協力関係を構築している。

「学校の友人に渡すのと、一部はこれを買った製菓店に。後でお金になるかもしれないからね」

そう言ってカレンさんにもレシピを見せて、説明する。

「単純に気晴らしか何かでお作りに慣れているのかと思っておりましたが、素晴らしいです!」

「そこまでじゃないと思うけど…」

褒められて悪くはないけれど、出来が本当に良いかは食べてもらわないとね。


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