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本編
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今日は待ちに待った騎士団トーナメント戦。本当に楽しみにして前日はカレンに呆れられるほどでした。気を落ち着かせる薬をくれ、ようやく眠った私は朝食を終えるとレミリア様の訪問を受けました。
「レミリア様、ど、どうなさいましたの?」
「一緒に騎士団戦を見ようかと思って、ご迷惑ですの?」
「いいえ!すぐ支度してまいります」
訳も分からないまま馬車に乗り込むとそのまま会場へと向かう。しかし、さすがは侯爵家の馬車。美しい家紋、大きな馬車に揺れも少ない。改めて、侯爵令嬢なのだなあと思ってしまう。
「さあ、着きましたわ」
「ありがとうございます。しかし、なぜ迎えに来て下さったのですか?」
「お父様にお願いして良い席を取っていただきましたので一緒にと」
「よろしいのですか、私なんかが…」
「あなたの婚約者が出られるのでしょう?当然ですわ」
「ありがとうございます!」
私は後で合流したサーラたちと一緒に4人と護衛2人で観戦する。もう一人は、ルミナリア様だ。みんなでガーランド様を応援してくれるとのこと。本当に気のいい友人たちばかりです。
国王陛下の宣言後に本日戦われる騎士様たちが入場してきます。ガーランド様は…いた。思わず私は声を上げてしまいました。
「あらあら、ティアナは元気ね」
サーラたちにからかわれる。しかし、ガーランド様の方を見るとわずかに顔をこっちに向けてくれる。きっと気づいてくれたんだ。そう思うと胸がいっぱいになる。
「あら、ガーランド様たちが引いていきますわね」
「とうとう始まるみたいですね。組み合わせ表を見ましょう」
みんなで入場時に配られた組み合わせ表を見るとガーランド様は3回戦のようだ。そうこうしているうちにはじめという審判の合図とともに第1試合が開始される。とても大柄な人と、ガーランド様ぐらいの丈の人だ。遠目から見ても大柄の男性は威圧的で、隙も無い。間違いなくあの人が騎士団側だろう。
「どうやらあの方がガイザル様のようですわね」
「優勝回数2回でいつも決勝はギルバート騎士団長と戦われているみたいですわね」
「もう40を超えるというのに勇ましい方ですわね」
「…」
私は会話に参加することなくガイザル様を見る。彼が一振り剣を振り下ろしたと思うと、対戦相手の男性は飛んでいった。
「剛剣…」
そう呼ぶにふさわしい一撃だった。私などでは相手にもならない、ガーランド様はあんな方と戦うのだろうか?ふいにこれまでどれだけ自分が大きいことをお願いしていたかが分かる。あんな人とガーランド様が戦うなんて―――。
「ティアナ様大丈夫ですか?」
「え、ええ、騎士同士の試合は初めてだったので…」
カイラス様とは全く違う剣筋と体格。初戦の対戦相手はどんな方だろうか…私はこみ上げる不安が隠せずにいた。
「それまで!」
「剣を一振りでおしまいとはさすがは第2騎士団長ですわね」
「素晴らしい腕ですわ」
「続いて2回戦を行う、両者前へ」
「2回戦は先ほどの第2騎士団の副団長のようですわね」
「みたいですね。ガーランド様と同じかやや低いぐらいでしょうか。体つきは少しごついですけど」
「…そうですわね」
レミリア様がやや呆れた感じで答える。
「対戦相手を見る限りこちらも騎士団の方が勝つと思います。まるで隙が無いです」
「さすがはティアナ様ですわね。お分かりになるのですか?」
「私のわかる範囲でのみですけど。正直、先ほどの方は私ではとても…」
体格も剣の種類も違う。自分とかけ離れすぎて想像もつかない。ただ、戦場であったら確実に死ぬということぐらいだ。
「試合が始まりましたわ」
こちらの試合も一方的でさすが副団長というものだった。
「なんだか楽しみにしてきたのですけど、あまりにあっさりですわ」
「ルミナリア様、ここからですよ。毎年、騎士団のみになってからが本番なのです。遅れてくるといい席がなくなるから、最初から座らずに席だけ取って遅れてくる人が多いのですのよ」
レミリア様がそう説明してくれる。それで、この席の周りにも空席がちらほらあるのか…。
「次はいよいよガーランド様の番ですわよ」
「はい…」
「どうかされましたティアナ様?」
「私、この騎士団戦が始まるまではガーランド様なら、きっと勝って下さると思って無理にでも、と話をしてきました。ですが、いざ始まるととてもお強い方もいて、ガーランド様が傷付くと思うと怖くなってきたのです」
それが正直な感想だった。ただの手合わせとは違う、名誉をかけた試合でもある。簡単に手を抜けるわけではないだろう。もしかしたら、重傷を負うかもしれないのだ。
「ティアナ様、お優しいところは美徳ですが、あなたの婚約者様に花を持たせてあげましょう。だって、お強いのでしょう?あなたの婚約者は」
「レミリア様…そうですね。ガーランド様はきっと負けません。絶対勝つと思って応援します!」
「その意気よ!私たちも応援するからきっと勝てるわ」
「サーラもありがとう」
そして、ガーランド様と対戦相手の方が試合場に出てきた。
「始め!」
試合開始からガーランド様は一歩引いて出方を見ている。きっとあの腰の短剣を警戒していて、思うように動けないのだろう。何度も剣が交わされる中、ようやく事態が動き出す。対戦相手の人がやや大振りに振り下ろした。
「チャンスですわ!」
「いいえ!」
予想通り、相手の方は左手に短剣を持ちガーランド様を狙う。ガーランド様はそれをいなすと、仕切り直しとばかりに距離を取る。
「危なかったですわね…」
それからは剣と短剣を巧みに使い、防戦一方となっていた。
「このままだと負けてしまいますわね」
「そういえば制限時間が予選はありますものね」
「そんな!ガーランド様…」
私はあなたと出会ってまだ少しだけど、それでもずっと一緒にいたいと思えるようになってきました。お父様の無理やりな話からでも、受け入れて下さって、一緒に帰ってくれる時も稽古をつけてくれる時も、カイラス様と戦われているときも、全部の顔が素敵です。だから、これからも一緒に――。
「旦那様っ!頑張って…勝ってください!!」
そう思ったら私は大きく叫んでいた。
「ティアナ…あなた……」
「レミリア様、ど、どうなさいましたの?」
「一緒に騎士団戦を見ようかと思って、ご迷惑ですの?」
「いいえ!すぐ支度してまいります」
訳も分からないまま馬車に乗り込むとそのまま会場へと向かう。しかし、さすがは侯爵家の馬車。美しい家紋、大きな馬車に揺れも少ない。改めて、侯爵令嬢なのだなあと思ってしまう。
「さあ、着きましたわ」
「ありがとうございます。しかし、なぜ迎えに来て下さったのですか?」
「お父様にお願いして良い席を取っていただきましたので一緒にと」
「よろしいのですか、私なんかが…」
「あなたの婚約者が出られるのでしょう?当然ですわ」
「ありがとうございます!」
私は後で合流したサーラたちと一緒に4人と護衛2人で観戦する。もう一人は、ルミナリア様だ。みんなでガーランド様を応援してくれるとのこと。本当に気のいい友人たちばかりです。
国王陛下の宣言後に本日戦われる騎士様たちが入場してきます。ガーランド様は…いた。思わず私は声を上げてしまいました。
「あらあら、ティアナは元気ね」
サーラたちにからかわれる。しかし、ガーランド様の方を見るとわずかに顔をこっちに向けてくれる。きっと気づいてくれたんだ。そう思うと胸がいっぱいになる。
「あら、ガーランド様たちが引いていきますわね」
「とうとう始まるみたいですね。組み合わせ表を見ましょう」
みんなで入場時に配られた組み合わせ表を見るとガーランド様は3回戦のようだ。そうこうしているうちにはじめという審判の合図とともに第1試合が開始される。とても大柄な人と、ガーランド様ぐらいの丈の人だ。遠目から見ても大柄の男性は威圧的で、隙も無い。間違いなくあの人が騎士団側だろう。
「どうやらあの方がガイザル様のようですわね」
「優勝回数2回でいつも決勝はギルバート騎士団長と戦われているみたいですわね」
「もう40を超えるというのに勇ましい方ですわね」
「…」
私は会話に参加することなくガイザル様を見る。彼が一振り剣を振り下ろしたと思うと、対戦相手の男性は飛んでいった。
「剛剣…」
そう呼ぶにふさわしい一撃だった。私などでは相手にもならない、ガーランド様はあんな方と戦うのだろうか?ふいにこれまでどれだけ自分が大きいことをお願いしていたかが分かる。あんな人とガーランド様が戦うなんて―――。
「ティアナ様大丈夫ですか?」
「え、ええ、騎士同士の試合は初めてだったので…」
カイラス様とは全く違う剣筋と体格。初戦の対戦相手はどんな方だろうか…私はこみ上げる不安が隠せずにいた。
「それまで!」
「剣を一振りでおしまいとはさすがは第2騎士団長ですわね」
「素晴らしい腕ですわ」
「続いて2回戦を行う、両者前へ」
「2回戦は先ほどの第2騎士団の副団長のようですわね」
「みたいですね。ガーランド様と同じかやや低いぐらいでしょうか。体つきは少しごついですけど」
「…そうですわね」
レミリア様がやや呆れた感じで答える。
「対戦相手を見る限りこちらも騎士団の方が勝つと思います。まるで隙が無いです」
「さすがはティアナ様ですわね。お分かりになるのですか?」
「私のわかる範囲でのみですけど。正直、先ほどの方は私ではとても…」
体格も剣の種類も違う。自分とかけ離れすぎて想像もつかない。ただ、戦場であったら確実に死ぬということぐらいだ。
「試合が始まりましたわ」
こちらの試合も一方的でさすが副団長というものだった。
「なんだか楽しみにしてきたのですけど、あまりにあっさりですわ」
「ルミナリア様、ここからですよ。毎年、騎士団のみになってからが本番なのです。遅れてくるといい席がなくなるから、最初から座らずに席だけ取って遅れてくる人が多いのですのよ」
レミリア様がそう説明してくれる。それで、この席の周りにも空席がちらほらあるのか…。
「次はいよいよガーランド様の番ですわよ」
「はい…」
「どうかされましたティアナ様?」
「私、この騎士団戦が始まるまではガーランド様なら、きっと勝って下さると思って無理にでも、と話をしてきました。ですが、いざ始まるととてもお強い方もいて、ガーランド様が傷付くと思うと怖くなってきたのです」
それが正直な感想だった。ただの手合わせとは違う、名誉をかけた試合でもある。簡単に手を抜けるわけではないだろう。もしかしたら、重傷を負うかもしれないのだ。
「ティアナ様、お優しいところは美徳ですが、あなたの婚約者様に花を持たせてあげましょう。だって、お強いのでしょう?あなたの婚約者は」
「レミリア様…そうですね。ガーランド様はきっと負けません。絶対勝つと思って応援します!」
「その意気よ!私たちも応援するからきっと勝てるわ」
「サーラもありがとう」
そして、ガーランド様と対戦相手の方が試合場に出てきた。
「始め!」
試合開始からガーランド様は一歩引いて出方を見ている。きっとあの腰の短剣を警戒していて、思うように動けないのだろう。何度も剣が交わされる中、ようやく事態が動き出す。対戦相手の人がやや大振りに振り下ろした。
「チャンスですわ!」
「いいえ!」
予想通り、相手の方は左手に短剣を持ちガーランド様を狙う。ガーランド様はそれをいなすと、仕切り直しとばかりに距離を取る。
「危なかったですわね…」
それからは剣と短剣を巧みに使い、防戦一方となっていた。
「このままだと負けてしまいますわね」
「そういえば制限時間が予選はありますものね」
「そんな!ガーランド様…」
私はあなたと出会ってまだ少しだけど、それでもずっと一緒にいたいと思えるようになってきました。お父様の無理やりな話からでも、受け入れて下さって、一緒に帰ってくれる時も稽古をつけてくれる時も、カイラス様と戦われているときも、全部の顔が素敵です。だから、これからも一緒に――。
「旦那様っ!頑張って…勝ってください!!」
そう思ったら私は大きく叫んでいた。
「ティアナ…あなた……」
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