狂騎士の冒険譚

弓立歩

文字の大きさ
6 / 6

5 初冒険!

しおりを挟む
「狂騎士…だと!」

「はい!とってもいい響きですよね」

「おいおい、嘘だろ?狂騎士って誰もならない職じゃ…」

「見なよあの目。人を斬ってもなんとも思ってないよ…」

「俺ちょっと出かけてくるわ。しばらく近寄らないからな…」

みんななんか言いながら遠巻きに私を見てる。そんなにおかしいかなこの格好?

「カレン。きちんと止めたんだろうな?」

「は、はい。私は魔法剣士なんかがいいかなと思っていたのですが…」

「やですね。そんな変な響きの職になんてなりたくないです。狂騎士の響が一番ですよ」

「ああ…狂戦士たちと一緒のことを言ってやがるな。本物の素質を持つ奴はああなるんだとよ」

「ですがどうしましょう?この騒ぎ…」

「ひとまず事情を聴いてだな。そもそも、初心者がDランク冒険者をどうやって倒したかが気になる」

私は手前のテーブルに座って事情を偉そうな男の人に話す。

「~~というわけで、相手が害意を持ってきたので対応したんです」

「腕は何で斬ろうと思ったんだ?」

「ああすれば2度と危害を加えないかなって。一応、訓練ですし」

「クレア!クレアはいますか!」

その時、ギルドの入り口から大きな声がした。あの声はサラさんだな。何も来なくてもよかったのに…。

「お知合いですか?」

「邸の先輩です」

「邸?お前どこに住んでるんだ?」

「ウルス様のお邸でメイドしてます」

「ウルスって貴族のか?」

「はい。子爵様ですよ」

「マグナス家のメイドかよ…」

「居た!クレア、何もしてませんよね?あれほど私が一緒に行くと言ったのに…」

「大丈夫ですよ。ちょっと訓練をしただけですよ?」

「くん…れん?ここでですか?」

「まともそうなのが来た。おい、もう一回話してくれ」

「一度言ったら覚えてくださいよ。私は早く冒険に行きたいんですから」

「分かったから、頼む」

「~という事で…」

「…クレア。あなた、もう少しやりようがあったでしょう?」

「面倒ですよ。斬れば解決しますし…」

「良いですか?冒険者でも普段メイドをしているんですから、もう少し慎重にしなさい。街で評判を落としてはいけません」

「むむっ、確かに少し軽率でした。今後は気をつけます」

私はサラさんに頭を下げる。冒険者の私とメイドの私は別だと思っていたけど、周りはそう思わないみたいだ。街じゃ注意しよう。

「大変ご迷惑を…」

「いや、こっちも新米相手に絡んだしな。しかし、なんというか大丈夫なのかそいつ?」

「邸の人間に対してはこんなことはありませんので」

「はい!みんな良い人ですよ。頑張っておいしいものも差し入れるようにしますね!」

「まあ、とりあえず今回の件については不問だが、これからは問題を起こすな。それと、お前のクラスについてもきちんと周りに話しておけよ」

「はい!聞いてくださいよサラさん。私も皆さんと一緒の騎士ですよ騎士」

「騎士?たしか、冒険者ギルドではクラスがあるのでしたか」

「そうなんです。しかも、ただの騎士じゃないんですよ。バーサーカーナイトっていうレアクラスなんです!」

「…本当ですか?」

「はい」

「クラスは選べると聞きましたが?」

「それが、止めるのも聞かず、すぐに選んでしまって…」

「そうでしたか…。ウルス様にもお話させていただきます。今日は手間をかけました」

「いえ、こちらも…」

「サラさん!依頼は?」

「今日は登録のみだったでしょう?登録証は持っていますか?」

「もちろんですよ!」

「では、帰りますよ」

「ええ~、ちゃんと斬りたいです」

「これから機会があります。今日は帰りなさい」

「はぁ~い」



「嵐のようだったんだが」

「そうですね」

「見た感じだと、あのメイドには従うようだな…」

「というか、私達では無理そうなのですが…」

「何を言っているんだ。お前が明日から担当だ。必ず優先して対応しろよ」

「どうしてですか!」

「後ろを見てみろ、お前以外の奴はビビッて目も合わせてねぇよ」

後ろを見るとみんなびくびくしながらこっちを見ていた。

「も、もう帰ってこないわよね?」

「多分…」

「ふぅ~、緊張した~」

「みんな大げさよ」

「大げさじゃないわ。あなた感じなかったの?すごい威圧感よあの子」

「最初に受付したとき好意的だから懐かれたんじゃないの?」

ええ…そういうのはいいわ。せめて、もう少し普通の子でお願いしたい。その思惑は外れ、結局あの子は翌日私の前に現れた。


「こんにちは、おねえさん」

「こんにちは。お仕事はいいの?」

「はい、そわそわして危ないから依頼を受けて来いって言われました!」

「そ、そう」

「それで依頼って何がありますか?」

「今あなたはFランクだから、街の手伝いとか外なら薬草取りぐらいね」

「もっとこう…討伐とかはないんですか?」

「Eランクに上がらないとないわね。一先ず街から出るなら薬草取りね」

「…じゃあ、それでお願いします。ちなみに薬草取りの最中に襲われたら倒していいんですか?」

「もちろんそれは大丈夫だけど、依頼を受けられないから報酬は低くなるわ」

「ありがとうございます!」

私は薬草採取の依頼を受けて早速街を出る。最近治安が悪いという街道に向かって…。

依頼先に着いたわたしはまずは薬草を簡単に背中のかごに入れていく。そのかごの下には短剣が入っていていつでもかかれるようになっている。後は迷子のふりをして中道にそれればきっと来てくれるはずだ。

「おおっ、こんなところにガキがいんじゃん?どうしたの?」

「薬草取りに来て少し迷ってしまったみたいで…」

「へぇ~だったらこそ先に家があるんだけど、来ない?」

「本当ですか!ついてきます!」

「やれやれ…また悪い癖だ。リーダーが怒るぞ」

「大丈夫だって、この程度何も言うかよ」

「君の名は?」

「クレア」

「そう、クレアちゃん行こっか」

「はい」

こうしてもう少し森の奥にある一軒家を見つけた。

「ここがお兄さんたちの家だよ。ゆっくり休めるからね」

「ありがとうございます。私皆さんにお礼が言いたいです。きっと楽しいことに巡り合えそうです」

「そんなの良いからまずは荷物置いていこう?」

「そうですね。どこに置けばいいですか?」

「あの奥のところだよ」

「わかりました。先に荷物置きます」

「行ったか…さあ、ハンティングだ。取れるもの採れただけが今回の取り分ってことだな。最悪はどこにでも生えてる薬草だな」

ルールは簡単だ。今からから最初に取ったものが報酬だ。

「まだ来ないなぁ。遅いよ。かごからすでに短剣を取れる位置にしている私からすると無駄な時間だ~」

そしてみんながくる。

「待っててくれたんだねお嬢ちゃん。じゃあこれからは、大人の時間だ…みんなやっちまえ!」

一斉に男たちが私めがけて走ってくる、明らかな敵意だしまあ、最初から分かってたけど。まずは左から来た人間へ途中に持ってきてた石を投げる。頭に当たったから凄い衝撃だろう。前から来るのには薬草かごを投げる。そこでバランスを崩したところに、ナイフで一気に切りかかって息の根を止める。右の奴はよく分かってない状況を整理し出したので、即ナイフを投げて頭に刺すことで策を考えさせなくした。最後に石に当たったやつのもとに近づいてのどを掻っ切る。

「後は裏で見てる人だね」

たたっ

「ヤバい!」

あんな子供にどうやってこの盗賊団がやられるのか、恐怖に震えている時間はないわ。なんとしても逃げなきゃ!

「この先は川幅も広いし追ってこない!」

そう言ってボスらしき人が川を越える。ちょっと驚かせよう。水と火を同時に使って爆発を起こしその反動を利用して一気に迫る。

「た、助けて…」

「あなたたちが最近この周辺を騒がしている窃盗団ですよね?」

「はい…。助けて…」

「邸の人の負担になるからダメです」

「や、邸の負担…いったい何を?」

ザシュ

気付いたときにはもう遅い。その女はクレアに斬られていた。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

gorone
2023.02.21 gorone

続きが読みたいです・・・

解除

あなたにおすすめの小説

死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について

えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。 しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。 その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。 死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。 戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。

猫なので、もう働きません。

具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。 やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!? しかもここは女性が極端に少ない世界。 イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。 「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。 これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。 ※表紙はAI画像です

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから

渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。 朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。 「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」 「いや、理不尽!」 初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。 「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」 ※※※ 専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり) ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。