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第1部 2章 辺境の町メルキス
冒険者登録完了
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身分証にもなる冒険者証を手に入れるため、冒険者ギルドへ登録に来た私だったが、登録時のステータスで、クウィードさんたちを驚かせてしまった。
「後はね。そこに空間魔法ってあるでしょ?光魔法とか聖魔法も珍しい属性ではあるんだけど、空間魔法はもっと珍しいの」
「ああ~、便利ですよね。ものがいっぱい入って!」
「そうだな。その便利さゆえに商人や国からも引っ張りだこだ」
「需要はありそうですよね」
考えなくても分かることだが、商人なら商品を大量に、国なら食料など移動に必要なものを貯めておけるので役に立つだろう。
「だからそのね…」
受付のお姉さんが何か言いにくそうにしている。どうしたんだろう?
「だから、無防備でいると一人きりの時にさらわれたりするのよ」
「えっ!?誘拐されちゃうんですか?」
「まあ、色々その手の話は聞くな。ものを入れるだけではなく、中には魔道具を作れる人間もいるから、その場合は正直俺たちの身分では安全を守れない」
「そ。そこまでですか…」
さすがにそこまでの事態を想定していなかったので、ちょっと引いた。
「ミツキさんは作れたりしませんよね?」
恐る恐るお姉さんが訊ねてくる。
「いえ、作ったことがないのでそこは分かりません」
嘘を言っても仕方ないので私は正直に答える。
「これは祈るしかないわね」
「流石にこれはちょっと書かないことにしましょう。この書類を外部に出す人はいないと思いますけど、内部で騒ぎになっても大変ですからね」
「そうしてくれ。後、このステータスを全部表示しないようにできないか?」
「あ~、できなくはないんですけど、許可が…」
「これ以上はないってぐらい必要なステータスでしょ?許可ぐらい後回しにしなさい」
「うう~ん。でも、規則が…」
「この件については俺から色々と考えよう」
「…分かりました。その代わり責任は取ってもらいますよ?」
「悪いな」
どうやら、私が分からないまま事態はなんとかなったらしい。
「ミツキちゃん」
「はい」
「絶対に空間魔法が使えるってことは安易に言わないようにね。もし言ってしまっても、初心者レベルですって答えるのよ?それなら、ある程度人数はいるからね」
「分かりました。心に刻んでおきます」
刻んでおかないと、私が相手を刻むしかなさそうだし。勝てるかな?勝てるよね?
「全く、とんだ寄り道になったな」
「それにしても、ミツキちゃん。騎士団に入る気ない?」
「おいおい、さっきまで散々否定的だっただろ?」
「それは、ミツキちゃんが戦えなさそうなお嬢様に見えたからよ。これだけ戦力になるなら私だって勧誘するわよ」
ここに来て私のステータスを見たアルテラさんからの評価も爆上がりのようだ。
「で、でも、私は実戦の経験はあまりなくて…」
「そうなの?じゃあ、村で練習ばかりしていたとか?」
「そうですね。毎日欠かさず修行ばかりでした」
あの空洞での日々を思い出し、少し顔を上げる私。本当に長かったなぁ。これまで十数年ぐらいだと思っていた、ガイエルが来なかった期間もなんか長かったみたいだし、ひょっとしたらもう200年ぐらいは生きてるのかもしれない。
「ねぇ、急に黙ったけどどうしたの?」
「そういえば、精神系耐性をお持ちですね。ひょっとしたら…」
「あ、まあ、その。なんだ、察してやれ」
「分かったわ。絶対に会いに行くようにするから!」
私が修行の日々に思いをはせている間に、何か誤解が生まれた気がするけど、とりあえず今日のところは良しとしよう。
「じゃあ、登録用紙も空間魔法は未記載で、こっちの冒険者カードの方も出さないように設定して。後は…」
受付のお姉さんがあわただしく石板に触れている。どうやら、設定値を変えてくれているみたいだ。
「これで良しと!魔力に対してMPが低めだったからついでに魔力も100マイナスしておいたわ。正確な数値を知りたかったら、現在値に100足すようにしてね」
「分かりました。色々とありがとうございます」
「いいえ、期待してるからこれから頑張ってね。ステータスを鑑みてDランクからの登録にしておくから」
「いいのか?」
「いいも何もこんな逸材に薬草採取やゴブリン退治ばかりさせられないもの。無理はしなくていいけど、いいパ-トナーやパーティーメンバーを見つけてね!」
「はい!ところでメンバーの募集とかってどこにありますか?」
本当は一人で行動したいけど、人の姿で一人は危険だ。是非とも一緒に同行して欲しいのだけど…。
「一応、そこに張り出してもいるけど、内容を精査した方がいいから、良さそうなのがあったら私の方に持って来てくれると嬉しいわ」
「えっと…」
そこで私はお姉さんの名前をまだ知らないことに気が付いた。
「ああ、私の名前はテネシーよ。よろしくね!」
「よろしくお願いします!じゃあ、早速…」
「おい、お前を何で連れて来たのか忘れたのか?登録が終わったら、先にこっちの用事だ」
「あっ、そうでした!町に来るのが嬉しくて忘れてました」
「全く…ほら行くぞ!」
「は~い。テネシーさん、また今度お願いします!」
「ええ、待ってるからね」
テネシーさんから冒険者カードを受け取ると、私たちは部屋を出てギルドを後にする。私は帰り際に依頼書が張られているだろう壁のボードを見ながらだけど。
「後はね。そこに空間魔法ってあるでしょ?光魔法とか聖魔法も珍しい属性ではあるんだけど、空間魔法はもっと珍しいの」
「ああ~、便利ですよね。ものがいっぱい入って!」
「そうだな。その便利さゆえに商人や国からも引っ張りだこだ」
「需要はありそうですよね」
考えなくても分かることだが、商人なら商品を大量に、国なら食料など移動に必要なものを貯めておけるので役に立つだろう。
「だからそのね…」
受付のお姉さんが何か言いにくそうにしている。どうしたんだろう?
「だから、無防備でいると一人きりの時にさらわれたりするのよ」
「えっ!?誘拐されちゃうんですか?」
「まあ、色々その手の話は聞くな。ものを入れるだけではなく、中には魔道具を作れる人間もいるから、その場合は正直俺たちの身分では安全を守れない」
「そ。そこまでですか…」
さすがにそこまでの事態を想定していなかったので、ちょっと引いた。
「ミツキさんは作れたりしませんよね?」
恐る恐るお姉さんが訊ねてくる。
「いえ、作ったことがないのでそこは分かりません」
嘘を言っても仕方ないので私は正直に答える。
「これは祈るしかないわね」
「流石にこれはちょっと書かないことにしましょう。この書類を外部に出す人はいないと思いますけど、内部で騒ぎになっても大変ですからね」
「そうしてくれ。後、このステータスを全部表示しないようにできないか?」
「あ~、できなくはないんですけど、許可が…」
「これ以上はないってぐらい必要なステータスでしょ?許可ぐらい後回しにしなさい」
「うう~ん。でも、規則が…」
「この件については俺から色々と考えよう」
「…分かりました。その代わり責任は取ってもらいますよ?」
「悪いな」
どうやら、私が分からないまま事態はなんとかなったらしい。
「ミツキちゃん」
「はい」
「絶対に空間魔法が使えるってことは安易に言わないようにね。もし言ってしまっても、初心者レベルですって答えるのよ?それなら、ある程度人数はいるからね」
「分かりました。心に刻んでおきます」
刻んでおかないと、私が相手を刻むしかなさそうだし。勝てるかな?勝てるよね?
「全く、とんだ寄り道になったな」
「それにしても、ミツキちゃん。騎士団に入る気ない?」
「おいおい、さっきまで散々否定的だっただろ?」
「それは、ミツキちゃんが戦えなさそうなお嬢様に見えたからよ。これだけ戦力になるなら私だって勧誘するわよ」
ここに来て私のステータスを見たアルテラさんからの評価も爆上がりのようだ。
「で、でも、私は実戦の経験はあまりなくて…」
「そうなの?じゃあ、村で練習ばかりしていたとか?」
「そうですね。毎日欠かさず修行ばかりでした」
あの空洞での日々を思い出し、少し顔を上げる私。本当に長かったなぁ。これまで十数年ぐらいだと思っていた、ガイエルが来なかった期間もなんか長かったみたいだし、ひょっとしたらもう200年ぐらいは生きてるのかもしれない。
「ねぇ、急に黙ったけどどうしたの?」
「そういえば、精神系耐性をお持ちですね。ひょっとしたら…」
「あ、まあ、その。なんだ、察してやれ」
「分かったわ。絶対に会いに行くようにするから!」
私が修行の日々に思いをはせている間に、何か誤解が生まれた気がするけど、とりあえず今日のところは良しとしよう。
「じゃあ、登録用紙も空間魔法は未記載で、こっちの冒険者カードの方も出さないように設定して。後は…」
受付のお姉さんがあわただしく石板に触れている。どうやら、設定値を変えてくれているみたいだ。
「これで良しと!魔力に対してMPが低めだったからついでに魔力も100マイナスしておいたわ。正確な数値を知りたかったら、現在値に100足すようにしてね」
「分かりました。色々とありがとうございます」
「いいえ、期待してるからこれから頑張ってね。ステータスを鑑みてDランクからの登録にしておくから」
「いいのか?」
「いいも何もこんな逸材に薬草採取やゴブリン退治ばかりさせられないもの。無理はしなくていいけど、いいパ-トナーやパーティーメンバーを見つけてね!」
「はい!ところでメンバーの募集とかってどこにありますか?」
本当は一人で行動したいけど、人の姿で一人は危険だ。是非とも一緒に同行して欲しいのだけど…。
「一応、そこに張り出してもいるけど、内容を精査した方がいいから、良さそうなのがあったら私の方に持って来てくれると嬉しいわ」
「えっと…」
そこで私はお姉さんの名前をまだ知らないことに気が付いた。
「ああ、私の名前はテネシーよ。よろしくね!」
「よろしくお願いします!じゃあ、早速…」
「おい、お前を何で連れて来たのか忘れたのか?登録が終わったら、先にこっちの用事だ」
「あっ、そうでした!町に来るのが嬉しくて忘れてました」
「全く…ほら行くぞ!」
「は~い。テネシーさん、また今度お願いします!」
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