デュラハンちゃんの旅日記

弓立歩

文字の大きさ
26 / 32
第1部 3章 新たな住まい

自室の見学と契約書

しおりを挟む
「うわっ!?ベッドが大きい…」

部屋に入って最初に思ったことはベッドの大きさだ。ダブルベッドでいいのかな?結構部屋のスペースを持っていくサイズだ。

「こちらご夫婦で使用されておりましたので」

「あっ、そういうことですね。でも、これを運び出す訳には…」

「品質は良いものですし、このままお使いできますよ。部屋もわずかですが、この部屋が一番広いですから」

「そういえば、奥行きが半歩ぐらい広い気がする」

歩数で計算する当たり、ちょっと訓練してた名残があるなぁ。

「こちらにはクローゼットもありますから、収納にも困りません」

「わっ、本当だ!これは便利ですね」

クローゼットの広さも横幅2畳分ぐらいあって、結構服もかけられそうだ。

「あっ、ここは周りより大きな窓もあるんですね」

「はい。ただ、上の方ですからあまり見えないとは思いますが」

「それにしても、家全体であまり窓が大きくないですけど、やっぱり安全面ですか?」

「そうですね。先ほども申し上げましたが、明かりだけでしたら魔道具を配置しておりますので、窓の必要性がないんです。ですから、多くの家はこういった作りですね」

「へぇ~」

まあ、魔力補充の頻度にもよると思うけど、無理に光を入れないのは私にも有難いかも。目立つのは良くないしね。

「でも、ミツキ。宿とかは違うわよ。安い宿は魔道具の明かりなんて付いてないから、窓で採光するのが普通だし、鍵なんかも自己責任だから、泊まる時は気を付けるのよ」

とおもったら、さっきの話は一戸建てだけの話らしい。旅先じゃ、気を付けないとな。

「そうだな。できればミツキは高い宿に泊まる方がいいだろう」

「なんでですか?宿ぐらい泊まれますよ」

旅行する時にホテルには何度も泊まってるし。

「いえ、ミツキ様はその方が良いかと。個人で泊まられるなら、なおさらです。安い宿なら子どもと見られて吹っ掛けられますよ」

「そ、相場を学べば…」

「街ごとに結構違うわよ。町の周辺に強い魔物が出る地域だと、高かったりするし。もちろん王都とこの辺りの宿じゃ単価も全く違うしね」

「うううっ」

三者三様の意見を受けて、完全に沈黙する私。ここに来て低身長がマイナスに作用するとは。

「ミツキ様。この街にいる間でしたら、我がコールマン不動産をお訪ね下さいませ。いつでも、ご質問にお答えします」

「本当ですか!?今度また行きますね。あっ、でも、お仕事の邪魔じゃあ…」

「構いません。アフターケアの一部ですし、不動産屋といっても住宅販売が主でして、そこまで人も来ませんので」

「それじゃあ、また伺います」

そんなに家を見ることはないと思うけど、家の仕組みについては詳しいだろうし、私はお姉さんの言葉に甘えることにした。

「それで、部屋はどうなんだ?」

「あっ、気に入りました!家も全体的にきれいですし、とっても過ごしやすそうです」

「ありがとうございます。では、今一度店に来ていただけますか?こちらでよろしければ書類の方をまとめますので」

「分かりました。よろしくお願いします!」

家の中も一通り見終わったので、今度は契約のため再びコールマン不動産へ戻る。

「あっ、ちょっと待ってください。また着込みますから」

「…」

ガシャンガシャンと鎧を再び着込んで私たちは出発した。


「では、こちらの書類の方をご確認ください」

また、さっきの部屋に通された私たちは契約書類を確認する。

「ミツキも内容を確認するか?」

「もちろんです!」

私もこういう書類を見たことはあるんだから!と、意気込んでみ始めたものの…。

「ミツキちゃん本当に大丈夫?」

「大丈夫れす…」

やばい、この堅苦しい文章。久し振りに人と交流して、初めての文章が契約書なんて厳しすぎる。

「えっと、土地は領主様のもので建物は私。所有権の放棄をする時は…」

うんうん唸りながらも、何とか読み進める。

「後は住宅価格だけ…えっ!?これって高いんじゃ…」

そこには金貨800枚とあった。結構、高額商品じゃないのかな?まあ、家の時点で高いとは思っていたけどさ。

「ち、ちなみに一般の人の年収ってどれぐらいですか?」

「そうですね。色々ですけど、平均金貨140枚ぐらいでしょうか?」

「じゃ、じゃあ、これってかなり高いのでは?」

「別にこれぐらい当然だろう。金貨100枚あれば年間暮らせるんだし、この家は豪華な方だ。安い家ならこの半額で建つぞ?」

「うっ、その言葉の方が辛い…」

暗に半額でもそれなりの家が建つよと言われているようなものだ。それに今回は直ぐに住めるように中古住宅だ。新築だともっと高い家なのではないか?

「ミツキ様、別に気にしなくともよいのですよ。本来、ガイエル様のお客様に住んで頂くところですので、新築を用意すべきなのです。ですが、急で用意出来ないため中古物件になっておりますから」

「そう言われると助かります。正直、お風呂がないのは辛いですし」

住むならそれなりの環境は欲しい。素直にライラさんの言葉を受け入れて、私は書類にサインしていった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

迷宮遊戯

ヘロー天気
ファンタジー
ダンジョンマスターに選ばれた魂が生前の渇望を満たすべく、迷宮構築のシステムを使って街づくりに没頭する。 「別に地下迷宮である必要はないのでは?」

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

処理中です...