デュラハンちゃんの旅日記

弓立歩

文字の大きさ
2 / 32
第1部 1章 始まりの大地

クリエイト

しおりを挟む
 私の名前は鷹匠美月。不運な事故で死んでしまい、ただいま女神様と一緒に転生の準備中だ。転生先の種族はデュラハンに決定したけれど、それ以外にも要望が通りそうなので伝えてみることにした。

「じゃあ、背の低い美少女にしてください! これだけはお願いします!」

「美少女デュラハンですか? できますけどどうして?」

「いや、記憶の中にある男のデュラハンにいい思い出がなくて。それに、私って生前は身長が高くてあまりかわいいお洋服とかも着れなかったんですよね。なので、身長は低い方がいいんです」

 小学校3年生の時には周りより群を抜いて高く、その後も高止まりしたせいで、中々かわいい服には縁がなかったのだ。かわいい服を着て友達と歩いていると、どうしてもお姉さんに見られるので目立ってたんだよね。

「美月さんは変わった方ですね。そちらの世界にはデュラハンなんていなかったと思いましたけど、そんなに想像力が働くものなのですか……」

「嫌なものは嫌なんです!」

 絶対に譲れない覚悟で女神様に言い返す私。本当にこれだけは叶えて欲しいのだ。

「その程度は問題ありませんね。他には?」

「ほ、本当ですか!? よかった。後は……」

 いくつか考えを巡らせるものの、直ぐには思いつかなかった。

「待って、これはいい考えかもしれない」

「何か思い浮かびました~」

 律儀に女神様は私が考えている間、空にぷかぷか浮かびながら待ってくれていた。そんな優しい女神様に私は思いついたことを伝えてみる。

「はい。人間に化けるって言うのはできますか?」

「なるほど~。そういうことならいい前例がありますからそれを使いましょう」

「前例って他にもデュラハンになった人が?」

 私と同じ考えをする人もいたんだなぁと女神様に聞いてみる。

「いましたけど、その方はデュラハンではなくラミアでしたね。人間形態になると魔物の特性が消えて人になるのです。ただし、能力は激減しますけどね。そのペナルティを受け入れる代わりに使うポイントが少ないのですよ。普通は魔物が人間に変身ってなるとそれだけで目いっぱい使っちゃいますからね~」

 どうやら女神様の答えから察するに、転生に関係する要望にはいくらか用意されているポイントを消費するようだ。私が強い種族でも色々叶えてもらえることから、転生する種族にはポイントを消費しないのだろう。こんなところで昔やってたRPGの知識が生きるなんて。死んでるけど……。

「じゃあ、それでお願いします!」

「そうだ!美月さんにはサービスして、残りのポイントで他にも役立ちそうな機能を付けておきますね」

「いいんですか?でも、特別扱いになるんじゃ…」

 私はうれしいけど、女神様の立場的には大丈夫だろうか?さっきも世界のバランスについて述べられていたし。

「あっ、それは大丈夫ですよ~。さっき言った通り、その人はラミアでしたからね。人型になるには尻尾を消して足にしたり、生殖器とかも変えたりとやることが多かったのです。その点、美月さんは元から人型。顔とかも人間と一緒ですから、変化といえば本当に魔族と人間の切り替えぐらいです。切り替えのスイッチは頭を首に乗せたら変化するようにしておきますね~」

 そう言うと女神様はコンソール画面のようなものを浮かび上がらせて、何かを入力している。

「これで完了! 頭が少しでも浮いたら魔族に戻っちゃうから気を付けて下さいね。それと、人と魔族では使える魔法が変わるように細工しておきました。これで、人間形態で魔族とばれにくくなったはずです。後はちゃんと生殖器も機能しますからね。ただし! 元々は魔族ですから体が成長しないことには気を付けて下さい。一か所には長く留まらない様に」

 女神様から残りの特典内容と注意を聞かされる。結構豪華だし、今後の生活に生かせそうなものばかりだ。

「ありがとうございます! これで第二の人生が楽しく送れそうです」

「それは良かったです。魔法や言語は覚えさせておくので頑張って下さいね~」

「はい。それでは鷹匠美月、行ってきます!」

「いってらっしゃ~い」

 こうして私は女神様に見送られて、新たな大地に足を踏み入れたのだった。

「いってらっしゃい、メイリア……」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...