酷い召還されたけど、今は溺愛されて、幸せです!

toranon

文字の大きさ
1 / 21

酷い召還されました。

しおりを挟む
「疲れたぁ~!」

 ようやく残業が終わったのが、日付が変わった頃。

「明日が休みなのが、唯一の救いだわ。」

 重い身体を何とか動かし、家へと向かう。
 毎日毎日残業しても、人手が足りなくて、業務量が減らない。辛いけど、転職する時間が取れないし、どうにも出来ない。とにかく帰って寝るしかない。
 線路沿いの、街頭が少ない道をフラフラ歩いていた。
 すると、いきなり道が明るく光だし、足元に大きな魔方陣のようなものが現れた。

「え!?何これ、何なの!?」

 身体がフワッと浮いた感じがしたと思ったら、地面に落とされた。

「うぅ、いたた…。」

 落ちた衝撃で、お尻を痛めた。
 突然、グイッと髪が引っ張られ、上を向かされた。

「黒髪だと?しかも、こんな見た目が悪い者が聖女なのか?」

 目の前の、金髪の王子風の男が私を睨み付けて言った。

「間違いありません。この方は召還された聖女です。」

 は?どういうこと?召還?聖女?

「まぁ良い、一応力を調べろ。部屋に連れて行け。」

 騎士2人に強引に立たされ、両脇を持たれて連れて行かれた。後ろから王子の、信じられない言葉が聞こえてきた。

「あいつに力がなければ、殺して次を召還しろ。今度は見た目が良いのを頼むぞ。」

 部屋に入ったら、騎士に突き飛ばされた。

「ここで大人しくしてろ。」

 私を嘲るように笑って、出て行った。
 身体は疲れて重く、掴まれた頭と打ったお尻が痛む。

「何でこんな事に…。」

 夢であって欲しいのに、痛みを感じる事から、現実だと思い知らされる。

「私、力なんて無いから、きっと殺される…。どうしよう、どうにかしないと!」

 恐怖と混乱で、心臓がドクドクと激しく動いてるのがわかる。部屋の中を見回し、クローゼットが目についた。駆け寄って、震える手で開けた。
 中にはワンピースが10着程あり、左端にメイド服が掛けてあった。
 これで何とか、逃げられるかも知れない!
 急いでメイド服に着替えた。着ていた服は、ベッドの上に丸く置き、寝ている様に見えるようにした。
 そっとドアを開けて通路を見ると、見張りも人気もない。今なら逃げられる!
 ドアをそっと閉めて、姿勢を正し、通路を歩いていく。
 とにかく外へ出ないと。気持ちが焦って、早歩きになっていた。

「おい、お前。ここで何をしている。この先は聖女の居る部屋しか無いはずだ。」

 通路の向こうから、長髪の騎士がやって来て、鋭い視線で話し掛けられた。

「あの、聖女様にお茶をお出しして来ました。」
「そうか。」
「…それでは失礼します。」

 これ以上話をされる前に、切り上げた。何とか誤魔化せたかな…?横を通り過ぎようとしたら、腕を掴まれた。

「待て。この城に黒髪は2人しか居ない。所属は何処だ?」

 もう逃げるしかない!騎士の腕を振り払って走った。

「待て!!」

 騎士が追ってきて、怖くて必死に走った。
 苦しい!追い付かれる!どうにかしないと!右に曲がって、目についた部屋に入った。

「くそ、何処だ!」

 騎士の足音が遠ざかっていった。

「何か、何かないの!?」

 部屋を見たが、使えそうな物は見つからない。

「このままじゃ、私殺される!どうしよう…。あ~もう!こんな時に『変身』でも出来れば良いのに!」

 やけくそになっていたら、顔の横から長い綺麗な金髪が落ちてきた。

「え?何これ…私の髪…?」

 引っ張ったら、確かに自分の頭から生えていた。

「嘘…変身出来た!?これで逃げられる!」

 ドアを開け、早歩きで外への通路を探した。風が吹いてる?あっちに行ってみよう。
 進んでいくと、窓があり、その先に外が見えた。
 こっちも夜なのね。良かった、この窓鍵かかってない。窓を開け、周りを確認して、外へ出た。
 やった!外に出られた!

「あれ?ここって庭なの?外へはどっちに行けば…。」

 見える限り庭が広がり、暗くて遠くは分からない。
 道を探しながら歩いていると、聞いたことのある声が聞こえた。

「君、すまないが、こっちに黒髪の女が来なかったか?」

 さっきの騎士が来た。落ち着いて、今の私は黒髪じゃないわ。

「黒髪ですか…?見ておりません。」
「そうか、邪魔したな。」

 騎士は私に気付かず、走って行った。
 良かった、今のうちに外へ逃げないと。あっ、道があった!出られるかもしれない!
 見つけた希望の道を必死に走った。金色になった髪が顔に何度も当たるのも気にせず、ひたすら走った。もう身体は疲れて、動きがどんどん鈍くなっていく。
 殺されたくない!死にたくない!逃げなくちゃ!!
 大きな門が見えてきた。歩きながら息を整える。
 ここで捕まったら終わりよ。今の私はメイド、大丈夫、絶対逃げるんだ。

「おや、何処に行くんだい?」

 門番の男に声を掛けられた。

「お使いに行くの。上司の機嫌が悪くて、今すぐ行けって言われたのよ。」
「あ~あのおばさんか。大変だな、気を付けてな。」
「ええ、ありがとう。」

 止められることなく、門を通過した。少し歩いてから、走って路地に入った。
「はぁーっ、はぁーっ、何とか出られた!」
 息が苦しいけど、脱出出来た事に一安心した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。 そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。 お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。 挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに… 意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いしますm(__)m

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。 ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

処理中です...