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第3章雑談:柊
私のこと
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「…………!」
「美しい、と思うが」
「私がですか?
それとも、別の私のことですか?」
「もちろん、貴女がだ。
…まるで花のようにな」
うわぁ。
センスが古い上に、
ただの模範解答じゃん、それ。
「ただの高校生に、
花のような美しさが備わるとは
思えませんけどー?」
「……謙遜しているのか」
「だって、花のようだなんて
言われたって……」
「ユリ――……はやめた方がいいか。
貴女にはアリッサムのような、
親しみの湧く可愛らしさがある。
確かに、“美しい”とは少し違うかもしれない。
だが、俺のように他者に興味を持てない人間が
貴女のような慎ましやかな人に心惹かれる。
それは、貴女が美しいからではないのか?」
“ありっさむ”って何の花だろ?
「どうした?」
「いえ、“ありっさむ”って
どんな花だったかなーって。
……日本にある花なんですか?」
「あの世界の柊の知人が育てていた。
それに、その人の家の庭以外でも
よく見かけたから、日本にある花だ」
「……そういえば、“庭なずな”とも
いうのだったか?」
「…どっちにしても想像できないです」
「きっと、見てはいるが記憶と一致しないのだろう。
では、違う花に例えようか。
そうだな……。
……桔梗も、そうだったか」
「いえ、私、花に詳しくないので。
聞いたことはあるけど、
どの花のことだが……。
確かにそれ、日本にありそうですけど」
うわぁ、まさかの花攻めだよ。
こうくるとは思わなかったよ。
この性格で、なんでお花なの!?
「ならば、コスモスは?」
「さすがにそのくらいは知ってますよ!
学校の花壇に咲いてましたし!!」
いきなりグレード下げすぎ!!
「す、すまない」
「いえ……私の方こそ。
つ、つい」
「貴女にも、
そういう気の強い一面があるのか。
…………」
あ、どうせまた、違う私のことを
考えてるんでしょ。全く。
「だが、アリッサムだな」
「……あの…。
ユリも含めて、
さっきまで言ってた花になんか
共通点、あるんですか?」
「花言葉の“美しい、清楚だ”と
いった部分が一致している。
あと、どの花も白いものがある」
「へーぇ、お詳しいんですねぇ」
「……怒っているのか?」
「男の人がそんなに
お花に詳しいのは意外だなぁ~って。
誰に教えてもらったのかなぁって
ちょっと思っただけです」
しまった、今のは失言かも。
「……俺と花は似合わない、か。
無理もないな。
俺も、あの時代に割り込むまで
花のことなど知らなかった。
割り込んだら割り込んだで、
最初は……違う貴女がいつも傍にいたから
花など見ていなかった」
「俺が、花に興味を持ったのは……
あの時代に割り込んでしまった二度目の時……
つまり、貴女のいた世界に行ってからだ」
「へ?」
うそ。
私、てっきり……
違う私が花でも好きだったのかと。
ああ、でも……
違うって言っても、私には違いないから
やっぱり花は見ないのかな。
「この世界で花を目にする機会は滅多にない。
特別な行事の時や大金持ちの家でなら
見ることができるが……
俺のような者には、そんな機会など」
「あの世界の柊の家は
園芸を趣味とする者の家に挟まれているんだ。
だから聞かなくても色々と教えてくれた」
その環境って、花を好きになれなかったら……。
いやいや、変なことを考えるのはよそう。
他人の家のことだし。
「とにかく、アリッサムは貴女のいた場所で
よく見かける花だ。
帰ったら、誰かに聞いてみるといい」
「ユリじゃなくていいんですか?」
「……良くないものを
想像するのではないのか?」
「……あぁ。
そういう意味ですか」
「それに……
これからのことを思うと縁起も悪い」
確かに、日本人はあまり気にしないけど
ユリは海外では葬儀に使うから不吉、って
言う人もいるし、
それをネタにした話も多いし、
何より……私が死ぬかも知れないのなら、
縁起が悪いのか。
「あの、もしかして
他のみんなの花も連想できますか?」
「…………。
やめておこう」
「どうしてですか?」
「俺の例えた花の中に、
貴女の好きな花があったら困る」
「…………」
この人は、何がしたいんだろう。
私にどうして欲しいのだろう?
珍しく、たくさん
話してくれたなぁって思ったけど……
よく見たら、あまり楽しそうに見えない。
なんか……寂しそう。
やっぱり、迷惑……なのかな。
「美しい、と思うが」
「私がですか?
それとも、別の私のことですか?」
「もちろん、貴女がだ。
…まるで花のようにな」
うわぁ。
センスが古い上に、
ただの模範解答じゃん、それ。
「ただの高校生に、
花のような美しさが備わるとは
思えませんけどー?」
「……謙遜しているのか」
「だって、花のようだなんて
言われたって……」
「ユリ――……はやめた方がいいか。
貴女にはアリッサムのような、
親しみの湧く可愛らしさがある。
確かに、“美しい”とは少し違うかもしれない。
だが、俺のように他者に興味を持てない人間が
貴女のような慎ましやかな人に心惹かれる。
それは、貴女が美しいからではないのか?」
“ありっさむ”って何の花だろ?
「どうした?」
「いえ、“ありっさむ”って
どんな花だったかなーって。
……日本にある花なんですか?」
「あの世界の柊の知人が育てていた。
それに、その人の家の庭以外でも
よく見かけたから、日本にある花だ」
「……そういえば、“庭なずな”とも
いうのだったか?」
「…どっちにしても想像できないです」
「きっと、見てはいるが記憶と一致しないのだろう。
では、違う花に例えようか。
そうだな……。
……桔梗も、そうだったか」
「いえ、私、花に詳しくないので。
聞いたことはあるけど、
どの花のことだが……。
確かにそれ、日本にありそうですけど」
うわぁ、まさかの花攻めだよ。
こうくるとは思わなかったよ。
この性格で、なんでお花なの!?
「ならば、コスモスは?」
「さすがにそのくらいは知ってますよ!
学校の花壇に咲いてましたし!!」
いきなりグレード下げすぎ!!
「す、すまない」
「いえ……私の方こそ。
つ、つい」
「貴女にも、
そういう気の強い一面があるのか。
…………」
あ、どうせまた、違う私のことを
考えてるんでしょ。全く。
「だが、アリッサムだな」
「……あの…。
ユリも含めて、
さっきまで言ってた花になんか
共通点、あるんですか?」
「花言葉の“美しい、清楚だ”と
いった部分が一致している。
あと、どの花も白いものがある」
「へーぇ、お詳しいんですねぇ」
「……怒っているのか?」
「男の人がそんなに
お花に詳しいのは意外だなぁ~って。
誰に教えてもらったのかなぁって
ちょっと思っただけです」
しまった、今のは失言かも。
「……俺と花は似合わない、か。
無理もないな。
俺も、あの時代に割り込むまで
花のことなど知らなかった。
割り込んだら割り込んだで、
最初は……違う貴女がいつも傍にいたから
花など見ていなかった」
「俺が、花に興味を持ったのは……
あの時代に割り込んでしまった二度目の時……
つまり、貴女のいた世界に行ってからだ」
「へ?」
うそ。
私、てっきり……
違う私が花でも好きだったのかと。
ああ、でも……
違うって言っても、私には違いないから
やっぱり花は見ないのかな。
「この世界で花を目にする機会は滅多にない。
特別な行事の時や大金持ちの家でなら
見ることができるが……
俺のような者には、そんな機会など」
「あの世界の柊の家は
園芸を趣味とする者の家に挟まれているんだ。
だから聞かなくても色々と教えてくれた」
その環境って、花を好きになれなかったら……。
いやいや、変なことを考えるのはよそう。
他人の家のことだし。
「とにかく、アリッサムは貴女のいた場所で
よく見かける花だ。
帰ったら、誰かに聞いてみるといい」
「ユリじゃなくていいんですか?」
「……良くないものを
想像するのではないのか?」
「……あぁ。
そういう意味ですか」
「それに……
これからのことを思うと縁起も悪い」
確かに、日本人はあまり気にしないけど
ユリは海外では葬儀に使うから不吉、って
言う人もいるし、
それをネタにした話も多いし、
何より……私が死ぬかも知れないのなら、
縁起が悪いのか。
「あの、もしかして
他のみんなの花も連想できますか?」
「…………。
やめておこう」
「どうしてですか?」
「俺の例えた花の中に、
貴女の好きな花があったら困る」
「…………」
この人は、何がしたいんだろう。
私にどうして欲しいのだろう?
珍しく、たくさん
話してくれたなぁって思ったけど……
よく見たら、あまり楽しそうに見えない。
なんか……寂しそう。
やっぱり、迷惑……なのかな。
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