白き時を越えて

蒼(あお)

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第3章雑談:空山

自分のこと

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「俺のこと、ねぇ。
 明るくて頼れるお兄さん? イケメン?
 天才?」

「適当なこと、言ってませんか?」

「自分のことを
 真面目に話すのは恥ずかしいからな。
 まぁ、俺のこの性格は
 半分は作りもんだ。わざとやってる。

 じゃないと、柊の暗さと
 釣り合わないからな」

「長いことこのノリでやってると
 身体に染みついちゃって
 段々、この性格が
 俺の本体になりつつあるんだが」

「それって問題あるんじゃないですか?」

「や、まぁ……みんなもこっちに
 慣れてるだろうし
 それは、もういいんだけど……。

 俺にも譲りたくない座が
 ひとつだけある」

「なんですか?」

「イケメン枠だ!!」

「……は?」

「俺は元々はクラスの中心、
 女子にもモテる人気者だったんだ。

 っていうか俺みたいなタイプの方が
 ウケて当然だろ、ウケて」

「なのに柊の奴が飛び級でクラスに
 入ってきてから、どうだ!
 女子共はみんな手のひら帰したように
 柊、柊って」

「あんな愛想のない奴のどこが良いんだよ!
 喋らない上にリアクションもしないなら、
 ただの人形じゃねーか!!
 人形がモテるなんて認めねーぞ俺は!!」

「つーか、昔は“格好いい奴”は
 みんなお喋りだったじゃないか!
 いつから、あんな無言の奴が
 ウケるようになったんだよ。
 あと20年早く生まれていれば
 世界中の女性は俺のものだったのに!!
 俺の華やかな人生を返せ、柊のドアホ!!」

「あ、あの……」

「あっ、ごめん。
 喋りすぎる男は、最近はモテないよね」

「…………。
 ………… …………」

「…………」

「いや、今更なにやっても手遅れですよ!」

「この手遅れ感が俺の魅力なんだよ」

「は、はぁ……」

……心のメモ帳に書いておこう。
空山さんのマシンガントークに注意、っと。
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