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第5章雑談:千秋
消えない人
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「親が時にさらわれても消えない人って、
どんな人なんでしょう?」
「ああ、この前の話の続きかな?」
「……はい」
「私と姉さんが、そう。
親が時にさらわれ、殺されても死ななかった」
「……え!?」
あ、まずいこと聞いちゃった……。
「あ、あの!
そういう話だったら、いいです」
「いいんだよー。
その証拠に、この間ははぐらかしたのに
今は、何の躊躇いもなく
話し始めているもの。
きっと、私と華菜ちゃんが
一緒に過ごした時間が、
そうさせてくれるんだろうね」
……突然だなぁ、この人。
わ、私がびっくりするんだけど…。
「それとも、華菜ちゃんが聞きたくない?」
「いえ……その。
聞いてもいいのなら、知りたいです」
「じゃあ、話しちゃうぞ~。
久しぶりに家族の自慢が出来るし!」
「…………。
私たちの親は、どちらも有名な研究者だった。
きっと、未来に影響を及ぼすような」
「す、すごいですね……それは」
「でしょ!
でも……それって、自慢になっちゃうじゃない。
だから、あんまり人に言えないんだよね……」
「…………。
私が、とても小さい頃……。
そう、何でもない、普通の一日のはずだった。
夕食の時……黒い穴が
部屋中に無数に開くまでは。
穴は父と母をさらった」
「姉さんと私は怖くて、
ふたりで抱き合い、
手を繋いでずっと一緒にいた」
「……気が付くと、病院だったわ」
「私は、幼すぎると判断されて……
すぐには教えて
もらええなかったんだけど……
両親は、さらわれただけでなく、
殺されていた」
「私の家に残る様々な痕跡から
私たちの親は
未来からさらわれた後に
過去へ連れ去られ、
その後に殺されたと分かった」
「そんな、ひどい……」
「なぜ、そんな回りくどいことを
されたのかは分からない。
犯人はひとりではなく、
もしかすると複数の人が
私たちの親を狙っていたのかも知れない」
「だって、今は知ろうとすれば
未来から情報を得ることすら
可能な時代なんだからね」
「あ、そういえば……」
「この話で重要なのは……
私の親は過去で死んだ、ってこと」
「……あ!!」
「過去で親が死ねば子も死ぬ……
そういう仮説を、
姉さんと私という“存在”が否定してる。
こういう例は、他にも存在するわ。
決して珍しくはない」
「でも、消えてしまう人もいる。
その違いはわからない……」
時を自由に越えられるようになるって、
大変で……そして嫌なことだな。
きっと、どんな決まりを作っても
それを破って、歴史を変えようとする人が
出てくるんだろう。
「私と姉さんは思ってる。
あの時、ふたり一緒にいたのが、
その原因なんじゃないか……って」
「……え?」
「時に飲まれても、
少し手助けすれば自力で帰ることができる。
そういう、ものだから。
きっと、私と姉さんは
お互いがお互いを思っていたから、
“ぶれずに”ここに
存在し続けられたんだろうと……
そう、思ってる」
「……“ぶれない存在”…」
「時空って、謎が多いよね」
「そ、そうですね……」
「こういう仕事に就けば、
少しは何か分かるかと思ったけど……
分からないことが増えただけ!
なーんにも分からなかった」
「最初は、そんな現代の技術に
苛立ったりもしたけど……
今はそうでもない。
分からないことの方が多いんだ、って思ってる」
「そして……
分からないことは、
知る必要が無いのかもしれない……とも」
「千秋さん……」
どんな人なんでしょう?」
「ああ、この前の話の続きかな?」
「……はい」
「私と姉さんが、そう。
親が時にさらわれ、殺されても死ななかった」
「……え!?」
あ、まずいこと聞いちゃった……。
「あ、あの!
そういう話だったら、いいです」
「いいんだよー。
その証拠に、この間ははぐらかしたのに
今は、何の躊躇いもなく
話し始めているもの。
きっと、私と華菜ちゃんが
一緒に過ごした時間が、
そうさせてくれるんだろうね」
……突然だなぁ、この人。
わ、私がびっくりするんだけど…。
「それとも、華菜ちゃんが聞きたくない?」
「いえ……その。
聞いてもいいのなら、知りたいです」
「じゃあ、話しちゃうぞ~。
久しぶりに家族の自慢が出来るし!」
「…………。
私たちの親は、どちらも有名な研究者だった。
きっと、未来に影響を及ぼすような」
「す、すごいですね……それは」
「でしょ!
でも……それって、自慢になっちゃうじゃない。
だから、あんまり人に言えないんだよね……」
「…………。
私が、とても小さい頃……。
そう、何でもない、普通の一日のはずだった。
夕食の時……黒い穴が
部屋中に無数に開くまでは。
穴は父と母をさらった」
「姉さんと私は怖くて、
ふたりで抱き合い、
手を繋いでずっと一緒にいた」
「……気が付くと、病院だったわ」
「私は、幼すぎると判断されて……
すぐには教えて
もらええなかったんだけど……
両親は、さらわれただけでなく、
殺されていた」
「私の家に残る様々な痕跡から
私たちの親は
未来からさらわれた後に
過去へ連れ去られ、
その後に殺されたと分かった」
「そんな、ひどい……」
「なぜ、そんな回りくどいことを
されたのかは分からない。
犯人はひとりではなく、
もしかすると複数の人が
私たちの親を狙っていたのかも知れない」
「だって、今は知ろうとすれば
未来から情報を得ることすら
可能な時代なんだからね」
「あ、そういえば……」
「この話で重要なのは……
私の親は過去で死んだ、ってこと」
「……あ!!」
「過去で親が死ねば子も死ぬ……
そういう仮説を、
姉さんと私という“存在”が否定してる。
こういう例は、他にも存在するわ。
決して珍しくはない」
「でも、消えてしまう人もいる。
その違いはわからない……」
時を自由に越えられるようになるって、
大変で……そして嫌なことだな。
きっと、どんな決まりを作っても
それを破って、歴史を変えようとする人が
出てくるんだろう。
「私と姉さんは思ってる。
あの時、ふたり一緒にいたのが、
その原因なんじゃないか……って」
「……え?」
「時に飲まれても、
少し手助けすれば自力で帰ることができる。
そういう、ものだから。
きっと、私と姉さんは
お互いがお互いを思っていたから、
“ぶれずに”ここに
存在し続けられたんだろうと……
そう、思ってる」
「……“ぶれない存在”…」
「時空って、謎が多いよね」
「そ、そうですね……」
「こういう仕事に就けば、
少しは何か分かるかと思ったけど……
分からないことが増えただけ!
なーんにも分からなかった」
「最初は、そんな現代の技術に
苛立ったりもしたけど……
今はそうでもない。
分からないことの方が多いんだ、って思ってる」
「そして……
分からないことは、
知る必要が無いのかもしれない……とも」
「千秋さん……」
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