【完結済】高校時代に書いたファンタジー小説を原文ママで投稿してみる

蒼(あお)

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外伝(連載初期に「読んでも読まなくてもいい」扱いでサイトの片隅に置いていた)

3ー2

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「・・・焼刃が瀕死だ。」
「!!!?」
聖夜はかなり焦った顔になる。
「風真が焼刃達に予知夢のことを知らせに行ったときには・・・もう遅かった。」
「そんな・・・・。」

一輪の紅い花が、雪の上に静かに置かれた。

「すばるはショックで少しおかしくなってしまったが・・・・まぁ大丈夫だ。」
雪が、魔法陣を消していく。
「・・・焼刃とすばるは・・・・・?」
「波人が神域に連れて行って行った。」
それを聞いた聖夜は神域に引き返そうと思ったが、やめた。
自分がいない隙にまた、誰かが狙われるような気がしたから・・・・。
「シヴァ・・・他の皆はどこにいる?」
「・・・まだ焼刃の家の近くにいると思うが・・・。」
聖夜は走り出した。
「おい、聖夜!」
聖夜は振り向きもせずにそのまま行ってしまった。

焼刃の家には、風真・・・・そして波人とローザが残っていた。
「・・・聖夜!」
聖夜は息を切らしたまま聞いた。
「大丈夫か?!」
「・・・わしらはいけるけど・・・焼刃とすばるが・・・。」
「シヴァに聞いた・・・風真が来たときにはもう遅かったって・・・。」
3人は頷いた。
「焼刃は・・・・すばるを庇って、撃たれたらしい・・・・。
出血が酷ていつ死んでもおかしない状態やった・・・・ごめんな聖夜。」
「お前が謝ることはない。」
「せやけど・・・・。」
「起こってしまったことは仕方がない。」
「聖夜・・・。」
焼刃とすばるのことは気になるが、気にしている場合ではなかった。
何とかして"次の襲撃"にそなえなくては・・・・聖夜はそう思い3人に聞いた。
「・・・時雨は?」
時雨とだけは、まだ連絡が取れていない。
「それが・・・。」
ローザは言いかけて目を逸らす。聖夜は真剣な顔で彼女を見つめる。
「あいつだけ来なかった。」
横から風真が言った。
「・・・何!?」
「俺が風で皆を呼んだとき、あいつだけ来なかったんだ。」
聖夜はまた焦る。
「・・・ローザでも場所がわからんかったから・・・・
迂闊に動いてええんかあかんのか考えがまとらへなんで・・・そんで話おうとった。」
「・・・そうか・・・。」

桜の家の暖炉の前で、ただ揺れ続ける炎を見ていた初衣の耳に話し声が届いた。
「・・・すばる、落ち着きなさい・・・。」
すばるは何も言わずに、ただくすくすと微笑するのみである。
・・・・・・・すばる・・・・?
初衣は、どうしたんだろうかと気になった。
いつも落ち着いていたすばるが、あんな笑い方をしているのを聞いたことなど一度もない。
そんなことを考えていると桜が部屋の扉を叩く。
「ごめんなさい初衣。扉を開けてくれる?」
「は、はい!」
初衣が扉を開けると、血まみれになって気を失ってしまっている焼刃を担いでいる桜と、
血に染まった服を身に纏っているすばるがいた。
「焼刃くん・・・・すば・・・る・・。」
まだ乾ききっていない血の臭いがする。初衣は立ちすくむ。桜は焼刃をベッドに寝かした。
「初衣、焼刃とすばるお願いね。」
桜は初衣が怯えているのを無視して言った。
・・・初衣が何に怯えているのかはよくわかっている。
だからこそ、このふたりを任せるのだ。
怖がってばかりではどうにもならないことを認識させなくては・・・桜の考えはこうだった。
「・・・・わかりました・・・。」
震える声で答える初衣。桜は何も言わずに部屋を去った。

すばるは感情が麻痺してしまったかのようにひとりでただ微笑し続ける。
ある意味不気味な辛い声に耐えきれなくなった初衣は、すばるに近寄る。
「すばる・・・・。」
すばるは自分のことを見ていない。
「すばる!」
揺すっても、反応は無い・・・・。
「すばるってば!!」
反応無し。
「すばる!!焼刃くんは死んでなんかいないわ!」
すばるはぴくりと動いた。
「や・・・いば・・?」
すばるのわずかな反応に気付いた初衣は、『焼刃』を連発する。
「そうよ・・・焼刃くんは生きてるじゃない・・・。」
何があったのかわからない。
しかし、すばるが焼刃を怪我させられたショックでおかしくなっているのは事実のようだ。
「やいば・・・・・やいばって誰だっけ?」
「!?」
すばるが焼刃を忘れている・・・・・?!
「焼刃くんは貴女の夫でしょ!!」
「おっと・・・・?夫なんていたっけ・・・?」
・・・・・すばる・・・・・。
「焼刃!!焼刃くんを忘れたの!?」
「・・・うい・・・・私は独身だよ。」
自分のことは覚えているらしい。なのに、焼刃のことは・・・・・。
「バカ!!」
初衣はすばるの頬をはたいた。
「どんなに辛くても・・・・大切な人を忘れるんじゃない!!」
ひとりだけ逃げてるんじゃないわよ・・・・私だって逃げたいよ・・・・
心配してばっかりもう嫌だよ・・・・でも、逃げたらお終いじゃない・・・忘れてしまったらお終いじゃない・・・。
すばるは何も聞こえていなかったかのように、またくすくす笑っている・・・・。
初衣はその場に座り込んで声を殺し泣きだした。
「聖夜・・・・嫌だよ聖夜・・・。」
嫌だった。焼刃のように彼が怪我するかもしれないことが。
すばるのように最愛の人を忘れてまで逃げてしまいたい気がする自分が。
最愛の人を忘れてしまったすばるが・・・・・
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