【完結済】高校時代に書いたファンタジー小説を原文ママで投稿してみる

蒼(あお)

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本編(聖の旅編)

第十七話 ローザ・シャイン

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「・・・・ローザ=シャインのお出ましだな。」

スティーラは不気味な笑みを浮かべる。

「・・・・・・・・・・・そんな・・・・。」

波人は愕然としていた。

「創造神は・・・・そういう奴らだ。霜月聖も五十嵐楓も人形に過ぎない!

元の七大神を復活させるための、死んだふたりの為のただの人形だ!!」

「黙れっ!!」

・・・・・・・信じたくなかった。

シヴァも・・・・わしも気づいていたけれど。信じたくなかったんや!

「・・・・私もね、気分悪いわ。」

楓・・・・いや、ローザが言った。

「・・・・・ローザ?」

「・・・・・・・・・私は死んだのよ。

何があろうと、私が生きていた頃と同じ人格で大地に立つ事なんて

あり得ないはずだった。なのに・・・私は無理矢理ひとりの女の子の魂と

同化させられた。」

ローザは波人の前に立つ。

「私はね、こういうのが一番嫌なの。

でも創造神がやったことだったから・・・・

結局楓ちゃんの魂を離脱することは不可能だったわ。

だからずっと眠ってようと思ってた。楓ちゃんの人生を邪魔しなくていいように。」

「意外と冷静だなローザ=シャイン・・・・恋人との再会を喜ぶか生き返ったことに

驚きっぱなしになるかと思っていた。」

「私はそんな安っぽくないわ!波人もね!!」

ローザは言い放つ。

そして地面に落ちている十字架から羽衣を取った。

「貴方は私の眠りを故意に覚まさせたわね?

その上わざわざ私が動かなければならないように、

波人を殺そうとするフリをした。・・・・・許さないから。」

「・・・・ほぉ?五十嵐楓の身体を使って攻撃するか。

生き返ったことを認めるのだな?」

スティーラは剣を構える。

「・・・・・・・いずれ創造神に・・・・・聖神・・・神琉様に抗議するつもり。でも今は特別。」

「・・・・・・・・・・。」

ローザが羽衣を纏うと、それはフワリと宙に浮いた。

「・・・・・・・ローザ・・・・。」

ローザは左手をすっと上げた。

その姿は生きている頃の彼女と全く同じ。

「・・・・・・・壊。」

彼女が一言だけ呟くと、スティーラの足許の地面に亀裂が入る。

「!!」

亀裂はどんどん広がっていき、地割れとなる。

地割れはスティーラを飲み込んだ。

スティーラは崩れゆく自分の周りの岩を蹴って、上に戻ってくる。

ローザはそれに対抗するように地割れを増やしていった。

「・・・・このまんまじゃラチあかへんな。」

波人は右肩を自分で癒す。

自分の腕の痛みが無くなったのを確認すると、

先程スティーラがやっていたように手を目線まであげた。

「・・・・・・やってやろやないか・・・接近戦!」

波人は空気中の水を集め、スティーラと似たような剣の形にした。

「・・・・けっこう難しいもんやな。」

波人は剣を数回素振りし、剣の形が壊れないよう注意する。

「・・・・・・・・よし!」

波人は走り出し、ローザよりも前に出た。

ローザは一瞬驚いて、攻撃を止めてしまった。

「波人!?」

「まかしとき!」

波人は無謀にも地割れの中に飛び込む。

そして岩を跳び渡っているスティーラの正面に入った。

「貴様はっ!?」

「神界七大神をなめんなや。」

波人はスティーラを斬りつけ、封印の呪文を唱える。

「封魔!!」

「・・・・・・・・っ!!」

スティーラが光に飲み込まれるのを確認した波人は、

岩を飛び移りながらローザのもとに帰ってきた。

「七大神なら、どんなに弱てもこのくらい出来んとお話になりませんのや。」

皮肉たっぷりに、地割れの闇に向かって言う。

「・・・・・・・・波人・・・・。」

 

 闘いが終わった後も、楓はローザのままだった。

「・・・・ローザ・・・ほんまに・・・・・・。」

ローザは静かに頷く。

「・・・・・・・・私は・・・楓ちゃんが死ぬかそれに近い状態の時、

強制的に復活させられるようにされてたみたい・・・・・。」

「・・・・じゃあ・・・・いつでも出てこれたって事?」

「一応ね。でも、私は嫌だったから、ずっと寝てたけど。

起きたら波人がヤバそうで・・・・つい動いちゃったわ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

ローザの羽衣が、小さく揺れている。

「・・・・・楓は・・・・・・。」

「楓ちゃんは無事よ。タフな子ね。

よくわかんないけど、私が復活したときに傷も塞がったみたいだし。」

「・・・・・・やっぱり創造神は・・・・・意図的にお前を楓の中に・・・・。」

波人は声を震わせている。

いろいろな感情がごちゃ混ぜになっているのだろう。

彼がローザと会えて嬉しくない訳がない。

しかし、彼女が死人であることはしっかり認識しているし、

それが許されないことであることもわかっている。

「・・・・そうでしょうね。私が復活したときに、大怪我してたら話にならないもんね。

だから、復活と同時に回復するようにされていたのよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

ローザは波人の手を握った。

「・・・・私の代わりは確かにいないかもしれない。でも継ぐことができる者はいるわ。」

「・・・・・・・・・・・・。」

「私はまた眠る。楓ちゃんをちゃんと護ってあげてね。

・・・・・私が起きなくてもいいように。」

ローザは微笑んだ。どこか寂しそうな笑み。

「・・・・・・・っ約束する・・・・絶対・・・・っ・・・!」

波人はローザを抱きたかった。だがしなかった。

抱いたら、ローザが生き返ることを望んでしまいそうだったから。

「・・・・・・・・よろしくね・・・・・。」

ローザは脱力して、地面に倒れ込んだ。

波人が慌てて彼女を起こすと、楓が寝息をたてていた。

「・・・・・・・・かえ・・・・で・・・・。」

波人は楓を抱いて、想い出の地を去った。

モヤモヤした霧のような感情を胸に押さえ込んだまま・・・・・・・・・。

 

「・・・・・・七大神の空席を埋めるんは・・・・・楓、お前やで。」

 

偽り混じりの、しかし本気の、中途半端な言葉だった。
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