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本編(最終章『神界防衛』前編・三班編)
第百二話 引けない勝負
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「神界のふたつの場所に何か・・・!!」
魔族を避難させ終えた時雨達は、
魔界の入り口付近で青白い光が雷のように地に落ちる光景を見た。
「・・・・・火?」
韻唄が呟く。
「見えるの、韻唄?」
すばるが訊くと韻唄は首を横に振った。
「でも・・・火が燃える音がする。」
「姉貴は音を扱う。さっきあの光が落ちた地点の音を拾って聞くくらい、
たやすいだろう。」
羅唯が言う。
「・・・・・まさか・・・魔界と同じようなことが・・・?」
時雨は足を震えさせた。
「どうする時雨。あの異空間に神まで避難させればどうなるか・・・。」
羅唯は腕を組む。
「・・・僕の転移が使えなくなったら、闘いはかなり不利になる。
・・・・・・・・・・“みんな”を信じよう。」
「みんな?」
時雨は杖を出した。
「そう。神界の“みんな”。」
転移を封じるわけにはいかない。
「行くよ?レタリアに。人口はあっちのほうが多い、
それにポーリアには地下道がたくさん通ってる。
街が燃えてるだけなら地下に潜ってもしばらくは炎をしのげるし、
あの街はそう広くないから街の外へも逃げられる。」
「・・・・・・・・・・。」
気が乗らない。だが行くしかない。
三人は時雨に近寄った。
「・・・・・!!」
「どうしたの?」
時雨が転移をしないのですばるが訊く。
羅唯は前髪を分けた。
「・・・・ローザが助けを呼んでる。」
「!」
「・・・目標変更。まずは彼女たちの所へいこう。」
時雨は迷わず言った。
「人々は!?」
すばるは時雨の肩をゆする。
「最悪は羅唯と韻唄と君に残って貰って僕だけレタリアにすぐ転移する。
とにかく行かなきゃ。」
一瞬の迷いが仲間の命を奪うかも知れない闘い。
「・・・・行きましょうか。」
すばるは髪を結った。
聖は突然のことに目を閉じる。
『何をしている!』
「あ・・・。」
目を開けると、覇累が自分の剣を盾に聖を庇っていた。
「ちょっとヤバげだなぁ・・・。」
覇累は、シルヴァーを押し返す。
「でも、俺基本的に闘うの好きだから!」
彼は大剣を振り回した。
だがシルヴァーは覇累に見向きもしない。
「あっ!」
シルヴァーは一直線に聖に襲いかかる。
「おっと!」
今度は聖が自分で相手の攻撃を受け止めた。
シルヴァーの視界には聖しかいないらしい。
「何?俺のこと気に入ってくれちゃったわけ?」
聖はニヤリと笑った。しかしその頬からは冷や汗がしたたり落ちる。
「てめーの相手は俺なのっ!!」
茶々を入れるかのように覇累がシルヴァーを斬りつける。
シルヴァーは一旦退いた。
「・・・・痛っ・・・!」
聖は膝を付いた。
怪我を負ってからかなり時間が経っている。
「大丈夫・・・な訳ねぇな。」
焼刃が駆け寄ってきた。
「いや・・・血が足りてりゃ問題ない怪我なんだが・・・。」
聖は傷を押さえる。
『聖、私と・・・。』
聖夜が口を挟む。
魂が入れ替わるとき、傷は持ち越されない。
“交代”できれば状況が少しは変わるかも知れない。
「それがわかったらやってるよ。こっちだって限界なんだ。」
『・・・何が足りない・・・?』
ひと月修行しても習得できなかった“交代”。
「だからそっち行くんじゃねぇ!!」
聖の目の前に覇累の大剣が突き刺さる。
それが盾となってシルヴァーの攻撃が防がれていた。
「・・・・・・・!!」
『マズいな。奴の標的は君だ。』
覇累はシルヴァーの髪を掴んで投げ飛ばす。
そして自分の剣を回収するとまた相手に斬りかかった。
「イーヴルという押さえがいない今奴の欲望は
お前と闘うことだけで満たされるんだろう。」
シヴァが言った。
「俺と・・・闘うことだけが目的?」
「闘神とも呼ばれたシルヴァーだ。時の神殿で傷を負わせたんだろう?」
「・・・・・・・成る程。」
シルヴァーの実力はどのくらいなのだろう。
いくらなんでも、前と同じということはあるまい。
イーヴルはシルヴァーの強さを使って頭脳戦に持ち込んできたが、
シルヴァーひとりと闘うとなると、どうなのだろう。
力でごり押しされるだろうか。
「わかってんのは、いくら闘神といえど在人様よりは弱いって事だけか。」
その時、雷のような青白い光が連続して離れた二ヶ所に落ちた。
「!?」
「な、なんだ!?」
自分たちへの攻撃ではない。場所が遠すぎる。
「あっちの方角は・・・レタリアだな。」
シヴァが言った。
「え・・・。」
「向こうはポーリアだぞ。」
焼刃が付け足す。
「一体・・・・。」
聖は両方の方向を交互に見た。
「・・・嫌な予感がするが・・・、今は目の前の敵の方がよっぽどやっかいだぜ。」
シヴァは苦笑した。
逃がしてはならない。奴の中にはシャレアがいる。
シルヴァーを“完全に”倒し拘束する以外に、勝つ方法は無い。
「・・・・なんとかするさ。」
聖は立ち上がった。
「援護する。」
シヴァと焼刃は、聖の左右に付く。
「聖夜・・・俺はぶっちゃけ、ぼーっとしてて相手の気配がちゃんと読めねぇ。
あんたはどうだ?」
『私は・・・見えるが。』
「じゃあ、頼む。」
目と耳の役割を。
「行くぞ!」
魔族を避難させ終えた時雨達は、
魔界の入り口付近で青白い光が雷のように地に落ちる光景を見た。
「・・・・・火?」
韻唄が呟く。
「見えるの、韻唄?」
すばるが訊くと韻唄は首を横に振った。
「でも・・・火が燃える音がする。」
「姉貴は音を扱う。さっきあの光が落ちた地点の音を拾って聞くくらい、
たやすいだろう。」
羅唯が言う。
「・・・・・まさか・・・魔界と同じようなことが・・・?」
時雨は足を震えさせた。
「どうする時雨。あの異空間に神まで避難させればどうなるか・・・。」
羅唯は腕を組む。
「・・・僕の転移が使えなくなったら、闘いはかなり不利になる。
・・・・・・・・・・“みんな”を信じよう。」
「みんな?」
時雨は杖を出した。
「そう。神界の“みんな”。」
転移を封じるわけにはいかない。
「行くよ?レタリアに。人口はあっちのほうが多い、
それにポーリアには地下道がたくさん通ってる。
街が燃えてるだけなら地下に潜ってもしばらくは炎をしのげるし、
あの街はそう広くないから街の外へも逃げられる。」
「・・・・・・・・・・。」
気が乗らない。だが行くしかない。
三人は時雨に近寄った。
「・・・・・!!」
「どうしたの?」
時雨が転移をしないのですばるが訊く。
羅唯は前髪を分けた。
「・・・・ローザが助けを呼んでる。」
「!」
「・・・目標変更。まずは彼女たちの所へいこう。」
時雨は迷わず言った。
「人々は!?」
すばるは時雨の肩をゆする。
「最悪は羅唯と韻唄と君に残って貰って僕だけレタリアにすぐ転移する。
とにかく行かなきゃ。」
一瞬の迷いが仲間の命を奪うかも知れない闘い。
「・・・・行きましょうか。」
すばるは髪を結った。
聖は突然のことに目を閉じる。
『何をしている!』
「あ・・・。」
目を開けると、覇累が自分の剣を盾に聖を庇っていた。
「ちょっとヤバげだなぁ・・・。」
覇累は、シルヴァーを押し返す。
「でも、俺基本的に闘うの好きだから!」
彼は大剣を振り回した。
だがシルヴァーは覇累に見向きもしない。
「あっ!」
シルヴァーは一直線に聖に襲いかかる。
「おっと!」
今度は聖が自分で相手の攻撃を受け止めた。
シルヴァーの視界には聖しかいないらしい。
「何?俺のこと気に入ってくれちゃったわけ?」
聖はニヤリと笑った。しかしその頬からは冷や汗がしたたり落ちる。
「てめーの相手は俺なのっ!!」
茶々を入れるかのように覇累がシルヴァーを斬りつける。
シルヴァーは一旦退いた。
「・・・・痛っ・・・!」
聖は膝を付いた。
怪我を負ってからかなり時間が経っている。
「大丈夫・・・な訳ねぇな。」
焼刃が駆け寄ってきた。
「いや・・・血が足りてりゃ問題ない怪我なんだが・・・。」
聖は傷を押さえる。
『聖、私と・・・。』
聖夜が口を挟む。
魂が入れ替わるとき、傷は持ち越されない。
“交代”できれば状況が少しは変わるかも知れない。
「それがわかったらやってるよ。こっちだって限界なんだ。」
『・・・何が足りない・・・?』
ひと月修行しても習得できなかった“交代”。
「だからそっち行くんじゃねぇ!!」
聖の目の前に覇累の大剣が突き刺さる。
それが盾となってシルヴァーの攻撃が防がれていた。
「・・・・・・・!!」
『マズいな。奴の標的は君だ。』
覇累はシルヴァーの髪を掴んで投げ飛ばす。
そして自分の剣を回収するとまた相手に斬りかかった。
「イーヴルという押さえがいない今奴の欲望は
お前と闘うことだけで満たされるんだろう。」
シヴァが言った。
「俺と・・・闘うことだけが目的?」
「闘神とも呼ばれたシルヴァーだ。時の神殿で傷を負わせたんだろう?」
「・・・・・・・成る程。」
シルヴァーの実力はどのくらいなのだろう。
いくらなんでも、前と同じということはあるまい。
イーヴルはシルヴァーの強さを使って頭脳戦に持ち込んできたが、
シルヴァーひとりと闘うとなると、どうなのだろう。
力でごり押しされるだろうか。
「わかってんのは、いくら闘神といえど在人様よりは弱いって事だけか。」
その時、雷のような青白い光が連続して離れた二ヶ所に落ちた。
「!?」
「な、なんだ!?」
自分たちへの攻撃ではない。場所が遠すぎる。
「あっちの方角は・・・レタリアだな。」
シヴァが言った。
「え・・・。」
「向こうはポーリアだぞ。」
焼刃が付け足す。
「一体・・・・。」
聖は両方の方向を交互に見た。
「・・・嫌な予感がするが・・・、今は目の前の敵の方がよっぽどやっかいだぜ。」
シヴァは苦笑した。
逃がしてはならない。奴の中にはシャレアがいる。
シルヴァーを“完全に”倒し拘束する以外に、勝つ方法は無い。
「・・・・なんとかするさ。」
聖は立ち上がった。
「援護する。」
シヴァと焼刃は、聖の左右に付く。
「聖夜・・・俺はぶっちゃけ、ぼーっとしてて相手の気配がちゃんと読めねぇ。
あんたはどうだ?」
『私は・・・見えるが。』
「じゃあ、頼む。」
目と耳の役割を。
「行くぞ!」
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