【完結済】高校時代に書いたファンタジー小説を原文ママで投稿してみる

蒼(あお)

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本編(最終章『神界防衛』後編・ニ班編~最終決戦)

第百十九話 三分の一

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シヴァは額の汗を拭った。

「大丈夫?疲れてるんじゃない。」

すばるが言う。

「問題ない。」

シヴァは頭を振った。

「全然大丈夫そうじゃないんだけど?」

「心配するな。」

その様子を時雨の傍から見る焼刃は完璧に

自分の世界に引きこもってしまっている。

「同じ班でもあいつ・・・冷てぇ・・・。」

「何言ってるの、焼刃はそのくらいじゃ怒らないって信じてるんじゃないか。」

時雨は言う。

「だけどよぉ・・・なんかこー、遠くから見てるとあっちのほうが

お似合いに見えてきてさぁ・・・。」

「勝手に思ってれば?」

時雨は、すっぱり言った。

「ぐさっ。」

焼刃はわざと、口に出して言う。

「友よぉ~・・・。」

「もう、そんな事ばっかり言ってないで人がまだいないか探してきてってば。」

時雨も、焼刃をからかっているようだ。

「・・・・ずーん。」

焼刃は浸りモード十割になっている。

だが言われたとおり、街の最終チェックに行った。

「封印されたのが焼刃じゃなくてすばるだったら・・・大変なことになってたろうなぁ。」

時雨は呟く。

 

一度は目にしたことのある・・・青白い、光。

「!!」

焼刃はすぐに振り向いた。

自分の周りの建物は・・・燃えていた。

「熱ちっ・・・!」

火の粉が飛ぶ。

「これは怖ぇぞ、かなり・・・!」

目の前が光ったと思ったら一面火の海。

この世の終わりを告げる災いとも思える。

「何縁起でもねぇ事考えてんだ俺は・・・!」

焼刃は、時雨達のもとへ帰るべくすぐに走り出した。

 

 

「レンディとかいう女が・・・再び、ポーリアに現れた。」

在人は、走ってきて伝えた。

「なっ!」

皆驚く。

「だが・・・同時に、シヴァ達の所にもあの・・・フィーラルとかいう男が現れてる。」

「!!!」

今度こそ、カーティス本人が現れるものと思っていた。

「今更なぜそいつらが現れるのかわからねぇ。

だが・・・間違いなく奴らはその二ヶ所にいる。どうする?」

「・・・・・・・・。」

シヴァ達を全員で助けに行けばレンディが野放しになる。

「レンディは相当強い。

一方、フィーラルは一遍風真やサキが退魔の呪文で退けるのに成功してる・・・。

敢えて俺達は全員レンディを倒しにかかって、終わったらシヴァ達の方へ行こう。

とにかくあの女はヤバい。」

聖が言った。

「・・・・・・・・・・・。」

「いや・・・俺の失敗でシャレアを攫わせちまったんだ・・・

俺がひとりで抑えに行くべきか・・・?」

聖は親指の爪を噛む。

その背中を波人が思いきり叩いた。

「!」

「何言ってんねん!なんとかなるって。それにシヴァ達の方には時雨がおる。

神域に逃げることも転移しまくって時間稼ぎするんも簡単や。

とにかくあの女止めて、どういう事か説明してもらわなな!!」

全員、頷いた。

「・・・・・・!」

「迷ってる時間は無いで、ポーリアに一番近い・・・。」

そこで在人が、聖と波人の肩に手をかけた。

「俺がポーリアまで送ってやる。一瞬だ、心配ない。」

「・・・・・・在人様・・・!」

全員の顔に不安が走る。

「お前らをポーリアに放って、俺は異空間から出ずに神域にとんぼ返りだ。

これで問題ない。」

「・・・・・・・。」

簡単そうに言うが、もしもカーティスに先回りされてしまった場合かなり危険だ。

しかもその可能性は低くない。

「さ、行くぞ。」

 

神琉と桜は、その様子を霧の向こうから眺めていた。

「在人は・・・思い切りがすごくいいよね。たまに困るけど。」

桜が言う。

「・・・・・良すぎて頭が痛くなります。」

神琉は答えた。

「神琉・・・割ったのは、創造者の力だけじゃなかったんでしょ?」

「?」

桜は少し笑う。

「だって、心を貴女が創ってしまえば・・・それは、

創造者の力を自分の作り物に与えただけになるもんね。

だから貴女は、心も割った。みっつに。」

「・・・・・・・・!」

神琉は桜の顔を見た。

「私も在人も・・・ずっと前に気付いてたんだ。何となく。

神琉、貴女って笑うの下手くそだもん。怒るのも。」

「・・・・・・・・・。」

神琉は、また横を向いた。視線の先に何かあるわけではない。

「自分に残したのは・・・“冷静さ”だったんでしょ?

在人には“熱さ”、私には“優しさ”を。

もちろん、創造者の力と違って完全に分けたんじゃなくて

比重を変えて分けたんだと、私は思ってるけどね。」

「・・・・・心を割るのは・・・難しくて。失敗しました。」

神琉はため息をついた。

「心にも無いことを。いいよ、何でも。私たちは三人でひとりなの。

だから在人がどんな行動を取ろうが・・・

それも、本当は私や神琉がやったかもしれないことなんだよね。」

「・・・・・・・・・・。」

神琉はもう一度、ため息をついた。

「煙草いる?」

桜は言いながら、既に一本銜えている。

「私は吸いません。」

神琉はキッパリ断った。桜は、煙草に火を付ける。

「この先に待っているのがなんであろうと・・・今度は、受け容れようと思います。」

彼女は、呟いた。
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