【完結済】高校時代に書いたファンタジー小説を原文ママで投稿してみる

蒼(あお)

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本編(最終章『神界防衛』後編・ニ班編~最終決戦)

番外編 永遠の友

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※本編完結後に、メールマガジンで配布した番外編です。


「さて。明日は初代様がおっしゃっていたという…
神界七大神の長、霜月 聖様の結婚式の日ですよ」
金髪に紫の瞳のの女性が言った。
「初代様は亜神の韻唄様にからかわれたんだってね。
20年後に聖様の挙式があるが、
年老いた自分を見られるのがそんなに嫌なら“娘か息子”に出席して貰えばよいと」
紫の髪の中年が言う。
「それは冗談だって、初代様は勿論気付いておられた。
神々の国の1年は、人間界の何十年にも相当するから。
だから初代様…サキ様は何日もかけて計算された。
当時の暦で、何年の何月何日がその日なのかと。
…聖様の挙式の日には、自分はとても生きていないだろうと予想されて」
金髪の女性は、紫の髪に紫の瞳の我が息子の服を整える。
「実際、もう103年も前にお亡くなりになった」
中年は杖をついた。
腰が悪いときにつかうあの杖ではなく、神界と人間界を繋ぐ術を使うための杖だ。
「母上、どうして昨日髪を切れと仰ったのです?
僕はもう少し長い方がいいです」
少年は着慣れない服でもぞもぞしながら言った。
「ほら、あの肖像画をご覧なさい。あなたとそっくりでしょう?」
女性は壁にある肖像画を指さす。
「…僕と…あの、風の司祭一族初代の“サキ=レヴォマ”様がですか。
何かの間違いでしょう」
「いいえ、あなたはそっくりです。
年の頃も、当時聖様達と闘われていたサキ様と同じぐらいなんですよ」
「うーん」
少年は首をひねった。
「さぁ行ってらっしゃい。聖様は初代様にそっくりのあなたを見て、
とても驚かれると思いますよ」
女性は息子の背中を押す。
中年は杖を振った。

金色の光と共に、少年の姿は消えた。

「私たちが此処に存在するのは…あの神話の闘いと初代様のお陰なんですものね」
女性は呟く。
「悲しいものだ。100年と少しで、ただの神話になってしまうとは。
私たちだけでも…あの闘いは本当にあったのだと、伝えていかねばなるまい」
中年は杖を置いた。
「私たちですら、闘いそのものは見たことがない。
サキ様に会ったこともない。でもわかります…その闘いが本当にあったことは。
風の司祭一族の存在こそが、それを証明しています。」


その日、神界では盛大な結婚式が挙げられた。
神界七大神の長、霜月 聖と幻の龍の娘フレアの結婚式が。
「うわぁ…」
少年はその出席者の多さに目を見張った。
本当に自分はお門違いなどではないだろうか。
「あ、サキ!!」
十代後半から二十代前半に見える青年が、彼のことを初代の名前で呼んだ。
「………!」
金髪に青い瞳。
間違いない。この者は、神話に出てくるあの“霜月 聖”だ。
「…って、そんな訳無いか。いやいやあんまり似てるからつい…」
「オイ、新郎がそんなとこうろついててどうする!」
赤い長髪に、顔に大きな痣のある男が聖を呼ぶ。
「悪い!でもこっち来いよ、ソックリだぜこいつ。
人間界の時の進みから考えて絶対ありえないのに」
赤髪の男は少年の方に来た。
「確かに…これにあの白いバンダナ付けられたら、あの頃に気分が戻ってしまうな」
少年はふたりの顔を交互に見る。
「あの…初代様の話ですか?」
「しょ、初代様!!」
ふたりはつい吹き出してしまった。
あのサキが、そんな風に呼ばれているのか。
「人間界の暦は変わりました。初代様も100年ほど前に…。
僕は現司祭の長男、シン=レヴォマと申します」
少年は行儀良く挨拶する。
「でもめちゃめちゃ行儀いいな」
聖が言った。
「ああ、あの小僧とは比べ者にならんくらいいいお坊ちゃんだ」
羅唯も笑う。
「あの…聖様と羅唯様…ですよね?神話では聞いているのですが」
話に聞いているほど高貴に見えない。
「神話?確かに俺が聖だけど…神話っつうほど昔じゃないよなぁ…。
人間界ではもうそんな昔なのか」
聖は頭の上で腕を組む。
「ま、様付けも落ち着かねぇ。
遠慮無く呼び捨てにしてくれ、そっちの方がなつかしくていいや」
「そんな…とても!!」
シンの言葉を最後まで聞かずに、聖は行ってしまった。
「席までご案内しよう」
羅唯はシンを案内する。


神と人間。
それは全く違う種族。だがその間に芽生えた友情が絶えることは、なかった。
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