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なな
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アナタを、不幸にしてみたい―――
自分の事を振った相手に復讐する為に。
制服を着替えて、きつめのメイクに黒いサングラス。
見知らぬ人に成りすまして、他の誰かと仲良くして見せる。
気付かず声をかけてきたら、サングラスを外して微笑みかけるのだ―――
“魔女になりたい~”というフレーズが頭の中をぐるぐると駆け巡る。
いやいやまさか!
だって、あんな“イケメン”、振った覚えないし!
でも“魔女”って、別に女とは限らないんだよね?
て言うか、“アイアン・メイデン”って、中世の拷問具って言ってなかったっけ…?
ん?中世って―――魔女狩り?!
「…何やってんの、アンタ。」
「うひょっっ!!」
突然肩を叩かれて飛び上がる。
「柱の陰隠れて何やってんの?」
振り返ると、ユウキが呆れ顔で立っていた。
「青地に斜めのストライプ?」
「うん、だったと思う。どこの学校か知ってる?」
まさかとは思いつつ駅の構内や改札口で辺りを窺ってたんだけど、昨日の彼どころかそのネクタイの学生を見かけなかったのだ。
「あー、もしかしたら“成陵”かな…」
そう言いながら、リコがスマホで画像検索したのを見せてくれる。
成陵は県内でもスポーツで有名な私学校だけど、身近に通ってる人がいないから制服に覚えがない。
ホームページに載っている制服を見るけど―――うーん、これのような、違うような?
昨日一回だけだからなぁ…その前は私服だったし。
「でもおかしいね、成陵ってこの沿線じゃないから、あの駅は使わないと思うんだけど…」
「えっ、そうなの?」
「うん、市内だったらバスじゃないかな?JRだと乗り継ぎが手間だし。成陵がどうかしたの?」
「う…」
今日の一時間目は選択芸術だ。
私達は音楽を選択してるんだけど、音楽教師の和美ちゃんは何故だかしょっちゅう出掛けていて、自習になる事が多い。
一学期は校歌のテストなので特にやること無いし、みんな仲の良い同士で集まってお喋りしているから、わざわざこっちに聞き耳立ててる人もいない…とは思うんだけど、なんとなく顔を寄せて小声で昨日までの出来事を二人に話した。
昨日、駅でヘンなヤツに絡まれた事。
そこを助けてくれた彼が、一昨日、レイちゃんちのマンションですれ違った人だった事。
「なる程、スゴい偶然だねぇ…」
「…偶然かな?」
「偶然じゃない?だって、仕組んだとしたらスゴくない?絡んで来たヤツもグルって事だよね?」
「ソイツも成陵だったの?」
「それが、よく覚えてなくて…」
元々あんまり人の顔とか覚えないんだよね。
軽薄そうだったのは覚えてるんだけど…確か、ムダに胸元が開いてた―――
「だめだ、ネクタイしてたかどうかも思い出せない。」
「うーん、じゃあわかんないねぇ…」
リコが腕を組んで思案する隣で、ユウキが肩を揺らして笑った。
「考えすぎだよ、イケメンに助けてもらっちゃった!ラッキー!で、イイじゃん。」
「でも、成陵って、この辺じゃ見かけないんだよね?」
「んー、でも居ないわけじゃ無いよ。実際、あたしは駅で見た事あるもん。乗るより出る方だけど。」
「えー、それ説得力なさ過ぎる…」
私だって、自意識過剰だと思わなくもない、けど…。
「うん、やっぱりおかしいよ!」
不意にリコが声を上げた。
手にスマートフォンを持っている。
「成陵からだと、あの駅までバスで20分はかかるんだよ。しかも利用者が少ないせいか、20分置きにしかない。昨日、シズルは学校終わって直ぐ帰ったよね?」
「うん。…あ、そうか!」
私の声に、リコが力強く頷いた。
「昨日、ウチは6時間だったよね。4時間って所もあるらしいけど1時間の長さが変わるだけで、下校時刻はそんなに変わらないと思うんだよね。なのに、駅に居たっておかしくない?」
リコの言葉に、思わずユウキと顔を見合わせた。
だって、て言うことは、わざわざ早退けしたって事?
何の為に―――?
「新手だねぇ…」
「えっ?」
「うん?だって、助けたんでしょ?アンタの事。」
そう言って、ユウキが口元を歪めるようにして笑う。
「つまり、恩を売って気を引いたって事だよね。正直、気に入らないな。姑息過ぎる。」
「ま、さかぁ…そんなふうじゃなかったよ?うん。―――だって、ホントに、キレイな顔してたもん。女の子なんて選り取り見取りじゃないかな。」
「ふーん…じゃあ、何?わざわざそこまでする理由って?」
「…なんか、かけてる、とか。」
「ええ~?!」
「だって、ほら、変なあだ名付いてるし?」
そう言って肩を竦めた私の前で、リコとユウキが顔を見合わせた。
自分の事を振った相手に復讐する為に。
制服を着替えて、きつめのメイクに黒いサングラス。
見知らぬ人に成りすまして、他の誰かと仲良くして見せる。
気付かず声をかけてきたら、サングラスを外して微笑みかけるのだ―――
“魔女になりたい~”というフレーズが頭の中をぐるぐると駆け巡る。
いやいやまさか!
だって、あんな“イケメン”、振った覚えないし!
でも“魔女”って、別に女とは限らないんだよね?
て言うか、“アイアン・メイデン”って、中世の拷問具って言ってなかったっけ…?
ん?中世って―――魔女狩り?!
「…何やってんの、アンタ。」
「うひょっっ!!」
突然肩を叩かれて飛び上がる。
「柱の陰隠れて何やってんの?」
振り返ると、ユウキが呆れ顔で立っていた。
「青地に斜めのストライプ?」
「うん、だったと思う。どこの学校か知ってる?」
まさかとは思いつつ駅の構内や改札口で辺りを窺ってたんだけど、昨日の彼どころかそのネクタイの学生を見かけなかったのだ。
「あー、もしかしたら“成陵”かな…」
そう言いながら、リコがスマホで画像検索したのを見せてくれる。
成陵は県内でもスポーツで有名な私学校だけど、身近に通ってる人がいないから制服に覚えがない。
ホームページに載っている制服を見るけど―――うーん、これのような、違うような?
昨日一回だけだからなぁ…その前は私服だったし。
「でもおかしいね、成陵ってこの沿線じゃないから、あの駅は使わないと思うんだけど…」
「えっ、そうなの?」
「うん、市内だったらバスじゃないかな?JRだと乗り継ぎが手間だし。成陵がどうかしたの?」
「う…」
今日の一時間目は選択芸術だ。
私達は音楽を選択してるんだけど、音楽教師の和美ちゃんは何故だかしょっちゅう出掛けていて、自習になる事が多い。
一学期は校歌のテストなので特にやること無いし、みんな仲の良い同士で集まってお喋りしているから、わざわざこっちに聞き耳立ててる人もいない…とは思うんだけど、なんとなく顔を寄せて小声で昨日までの出来事を二人に話した。
昨日、駅でヘンなヤツに絡まれた事。
そこを助けてくれた彼が、一昨日、レイちゃんちのマンションですれ違った人だった事。
「なる程、スゴい偶然だねぇ…」
「…偶然かな?」
「偶然じゃない?だって、仕組んだとしたらスゴくない?絡んで来たヤツもグルって事だよね?」
「ソイツも成陵だったの?」
「それが、よく覚えてなくて…」
元々あんまり人の顔とか覚えないんだよね。
軽薄そうだったのは覚えてるんだけど…確か、ムダに胸元が開いてた―――
「だめだ、ネクタイしてたかどうかも思い出せない。」
「うーん、じゃあわかんないねぇ…」
リコが腕を組んで思案する隣で、ユウキが肩を揺らして笑った。
「考えすぎだよ、イケメンに助けてもらっちゃった!ラッキー!で、イイじゃん。」
「でも、成陵って、この辺じゃ見かけないんだよね?」
「んー、でも居ないわけじゃ無いよ。実際、あたしは駅で見た事あるもん。乗るより出る方だけど。」
「えー、それ説得力なさ過ぎる…」
私だって、自意識過剰だと思わなくもない、けど…。
「うん、やっぱりおかしいよ!」
不意にリコが声を上げた。
手にスマートフォンを持っている。
「成陵からだと、あの駅までバスで20分はかかるんだよ。しかも利用者が少ないせいか、20分置きにしかない。昨日、シズルは学校終わって直ぐ帰ったよね?」
「うん。…あ、そうか!」
私の声に、リコが力強く頷いた。
「昨日、ウチは6時間だったよね。4時間って所もあるらしいけど1時間の長さが変わるだけで、下校時刻はそんなに変わらないと思うんだよね。なのに、駅に居たっておかしくない?」
リコの言葉に、思わずユウキと顔を見合わせた。
だって、て言うことは、わざわざ早退けしたって事?
何の為に―――?
「新手だねぇ…」
「えっ?」
「うん?だって、助けたんでしょ?アンタの事。」
そう言って、ユウキが口元を歪めるようにして笑う。
「つまり、恩を売って気を引いたって事だよね。正直、気に入らないな。姑息過ぎる。」
「ま、さかぁ…そんなふうじゃなかったよ?うん。―――だって、ホントに、キレイな顔してたもん。女の子なんて選り取り見取りじゃないかな。」
「ふーん…じゃあ、何?わざわざそこまでする理由って?」
「…なんか、かけてる、とか。」
「ええ~?!」
「だって、ほら、変なあだ名付いてるし?」
そう言って肩を竦めた私の前で、リコとユウキが顔を見合わせた。
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