泣き虫な私と太陽の彼

はるち

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第1章

幼なじみと苦しい過去

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私は担任から怪我の心配をされ早退する事になった。

家に帰ったら、兄と姉が玄関で待っていた。
私のうちはママとパパが出張で家を開けることが多いから、兄と姉と私、それから猫のももと4人で過ごすことが多い。

でも私は口うるさく心配してくる兄といつもおっとりした口調で間に入ってくる姉が大嫌いだった。
こんな時にこの2人に絡まれるのだけは嫌だと思って急いで部屋に戻ろうとした時、呼び止められてしまった。


「おかえりぃ~」
「おかえりなさい」
「ただいま」
「ご飯は?」
「いらない、部屋戻る」
「荷物置いたら降りてこいよ」
「なんで?」
「一緒にご飯食べたら病院行こぉ?」
「そんなひどい怪我じゃないし大丈夫」
「いいからぁ」
「はいはい、荷物置いてくる」
「うん」


そう言って部屋に荷物を置いて下に降りた。
別に降りなくてもよかったのかもしれないけど呼びに来られた方が迷惑だったから。


「いただきます」
「いただきまぁす」
「どうぞ。」
「…で、先生から連絡でもあったんでしょ?」
「そぉ~だよ?ほんと心配したんだからぁ!」
「ったくお前は、どうしたらそんな怪我するんだよ」
「ただ転んだだけ」
「それ本当に言ってるのか?」
「まじ転んだだけだから、ほっといて」
「ほんとドジだねぇ~(笑)」
「うるせーよ」


ケラケラ笑う姉と真剣に何かを考える兄を無視してご飯を食べた。


「ごちそうさまでした」
「えっ!?もぉ食べたの?!」
「姉ちゃんがずっと笑ってて食べるのが遅いだけ」
「じゃあ、部屋戻るから」
「今から病院行くんだよぉ?」
「そう言ってる人がまだご飯食べてんじゃん」
「げっ!早く食べるから準備して降りてきなよぉ」
「そんな大した怪我じゃないからいいって」
「いちいちめんどくさい」
「…また何かされたのか?」


ずっと何かを考えていた兄が口を開いた。

「なに?急に」
「兄ちゃん突然どうしたのぉ?」
「花音は黙ってろ」
「柚結、ちゃんと言わないと誰にもわからないよ?」
「まじなに?ウザイ。」
「それに、またって何?どーせ話したって分かんないし」
「航太の時みたいな事だよ。」
「ちょっ、兄ちゃんそれ禁句だってぇ…」
「なんでずっと黙ってるんだ?」
「うるさいんだよ、まじ転けただけって言ってんじゃん!」
「人の心の中にズカズカ入ってくんな…っ!」


そう兄に怒鳴ると私は足早に部屋に戻った。

「なんなんだよ。人の心に土足で入ってくんじゃねーよ。」
「少しはほっとけよ」


「兄ちゃん、やっちゃったねぇ…。」
「俺はあの時何もしてやれなかった。」
「だからってぇ、今ここで話してもいい事にはならないんだからねぇ。」
「そうだけど、俺はただ心配なんだよ…。」
「…ブラコンにも程ってもんがあるでしょうよぉ。」
「うっせーよ、ほっとけ」



下でそんな事を話しているとも知らず、私は兄に言われた航太の時にあった事を考えていた。


航太ってゆうのは、小さい頃から家が近所で幼なじみの市ケ谷航太のこと。
私と航太には他に6人の幼なじみがいる。
しっかり者の宇田川央貴と悩み癖がひどい戸山恭一、いつも輝いてる山吹楓と人一倍優しい若宮颯叶に人よりちょっと飲み込みが遅い花園穂乃香と誰よりも真剣に悩みや相談を聞いてくれる美竹泰弘。

みんな保育園の時からずっと同じクラスで中学に上がってもそれが変わることはなかった。
だけど、中学2年生の夏、私達8人を変える大きな出来事があった。


私は小学校6年生の卒業式の日、ずっと好きだった航太から告白された。
それから、返事を返すことも出来ず春休みに入りその関係がうやむやのまま入学式の日になった。
中学生になっても私達8人がバラバラのクラスになる事はなかった。

そして、入学式の次の日、昼ご飯の時だった。
まだ、お弁当だった私たち1年生はそれぞれ好きな所でお弁当を食べていい事になっていた。
私と穂乃香は一緒に食べるためにどこで食べようか悩んでいた。
そんな時、恭一と楓から連絡があって裏庭の桜の木の下にベンチがあるからと言われた。
私たちは小さい頃から一緒ってゆうこともあって、恭一や楓が言葉足らずでも何も考えず理解出来るから裏庭に行った。
そこには他の男子もいて、幼なじみ8人でお弁当を食べる事になった。

「結局、中学生になってもこのメンバーなんだよな(笑)」
「え~?恭一嫌なの?(笑)」
「そうじゃなくて、安心感半端ないってゆうかさ、(笑)」
「恭ちゃんにしてはいい事言ったね!」
「穂乃香。俺にしては、は余計だろ?(笑)」
「あ、そっか(笑)」

桜の木の下で私たちの笑い声が響いた。


なんだかんだ言っても、この8人でいる時が1番安心出来るし好きだなって思いながらご飯を食べて教室に戻った。


そして、私たちを変える大きな出来事が起こった中学2年生。
始業式の日、クラス替えの張り紙を見て驚いたのをよく覚えている。
だって、また8人で同じクラスだったから。
そんな事ある?って思いながらも良かったと思った自分がいた。

始業式が終わって帰る準備をしていると穂乃香が私の席に来て、「ごめんっ!今日用事があるから一緒に帰れないんだ!」と言われた。
みんなで一緒に帰るんだろうって思っていたからか穂乃香がいない事でこんなに寂しいと思った事はあるかな?って思うぐらいショックだったけど、「大丈夫だよ、他の5人と帰るから」と伝えた。
すると、「なんか、航太以外はみんな今日用事があるって言ってたよ…。」
そう言われ、航太以外の男子の席を見ていくと本当にもぬけの殻だった。
「…分かったよ!1人じゃないし大丈夫!」
そう伝えて私は航太の席に行った。

航太と2人で正門を出て歩きながらこんな話しを始めた。

「航太、みんな恋でもしてるのかな?」
「急にどうしたんだよ?」
「だって、一緒に帰れないってなんか変じゃない?」
「心配しすぎだよ(笑)」
「いやいやいや、心配じゃなくてさ!そーなら嬉しいなって(笑)」
「…そういえばさ、」
「んー?」
「卒業式で俺が言ったこと覚えてる?」
「え?うん、覚えてるよ」
「立ち止まって、どうしたの?」
「あのさっ、ちゃんと伝えたいんだ!」
「聞いてくれる?」
「うん」
「……俺と、付き合ってください!」
「…うんっ!こちらこそよろしくお願いします(笑)」
「てか、恥ずかし~!(笑)」
「だな~(笑)」

これが私の初めての恋だった。


少し、笑い合っていると後ろから誰かに抱きつかれた。

「柚結!良かったね!」
「えっ!?穂乃香??!」
「用事もう終わったの?」
「えへへっ」
「後ろ向いてみなよ!」
「ん?」

すると、他の用事があると言って帰っていた5人が車の後ろから出てきた。

「お前らなんでいるんだよ!」
「そ、そうだよ!」

動揺してる私と航太を見て5人とも大笑いし始めた。

「あはははは(笑)腹痛てぇよ!(笑)」
「お前ら2人とも動揺しすぎだろ(笑)」
「航太が今日告白する事知ってたんだよ、それで俺ら全員用事があるって事にして2人きりにして後ろから様子見てよって事になったんだよ」
「そうそう、見守ってやったんだよ(笑)」
「だけど、嘘ついてごめんね?」

「穂乃香だけは許す!」
「なんでだよっ!」
「だって~、ちゃんと謝ったの穂乃香だけだもん!ね?航太」
「だな(笑)」
「だから~!悪かったって~!」
「まぁいいや!みんなありがとう!」


そう言いながらみんなで帰ることになった。


付き合ってから色んな事があったけど、なんだかんだ夏休みに入ってすぐの7月28日、航太とのデートの日。
待ち合わせ場所に行くと航太は待っていた。


「遅いよ!ねぼすけ!(笑)」
「ごめんごめん!ってか、寝坊はしてないよ!(笑)」
「そっか、行こう(笑)」
「笑いすぎ!」
「ごめん(笑)」


買い物をするために歩いていると横断歩道がちょうど青に変わった。
歩こうと思っていた時、縁石に気づかなくて私は派手に転んでしまった。

「柚結、どこまでドジなんだよ(笑)」

そう言いながら起こしてくれていた航太が一瞬にして目の前からいなくなった。
赤信号を無視して走ってきた車に飛ばされたのだ。
車は逃走し、救急車が到着した時にはもう手遅れだった。
暖かかった航太の手は冷たくなり、救急隊員の人の動く手が止まり病院に着く前に息を引き取ったのだ。

私は思いっきり揺すった。
「起きてよ!寝てないで起きて!」
でも、航太が目を開けることはなかった。
病院に搬送されたものの、医者や看護師さんたちの手が動くことはなかった。


少しするとみんなが走ってきてくれた。
私はまだ現実に起きたことだと思えず、口を開いた。

「悪い夢を見てるんだよね」
「そっか、そうだよね(笑)」
「柚結…。」
「この悪い夢から私を起こして?」
「立ってないで起こしてよっ!」
「もう止めろ。航太は死んだんだ。」
「何言ってんの?嘘だよね?答えてよ!」
「嘘じゃない。柚結こそ目を覚ませ…。」


それから私はみんなに連れられ家に帰った。
家に帰ってから、今の状況を理解していくと罪悪感ばかりが私を襲った。
あの時、私が転ばなかったら。 
今日、出かけなければ。
転んだ自分やデートの日程を決めた自分を責め続けた。



それから気持ちの整理も付かないまま学校に登校した。
教室に入った瞬間、私に鋭い視線が集中した。

「お前が航太を殺したんだ」
「お前が死ねばよかったのに」
「犯罪者と同じだな」

すると、そこに央貴と泰弘が来た。

「つまんねー事ばっかり言ってんじゃねーよ」
「今でも自分を追い詰めてるのに、これ以上追い詰めてどーすんだよ!」
「そこまで追い詰めて死んだら、お前らの方が犯罪者だからな!」
「柚結、行こ。」
「…。」
「ほら…。」


私は仲良かったクラスのみんなからいじめられるようになった。
みんなが居てくれたおかげで苦しい事は何もなかった。
でも、航太を失った悲しみはいじめよりもなによりも辛いものだった。


そして、中学3年生になり進路の話しが出た。
どこの高校に行こうか悩んでいた時だった。
小学校が一緒で中学校から私立に行く事になって離ればなれになった親友の服部紗良から電話がかかってきた。

「…もしもし。」
「あ、柚結?高校どこに行くか決めた??」
「悩んでて、まだ決まってないんだよね。」
「ならさ、私と一緒の高校受けない?」
「でも、紗良がいるのは私立じゃなかったっけ?」
「そうなんだけどさ、高校から公立に行こうと思って!」
「ほら!私の幼なじみのさ、もあっていたじゃん?!」
「えっと、新宅もあ?」
「そうそう!」
「それでもあがどうしたの?」
「もあと同じ高校に行きたいねって話しになってさ、公立を受けることにしたんだよね!」
「もあも柚結誘わない?って言ってたしさ!」
「じゃあ、私もそうしようかな?」
「もあと紗良がいる高校なら楽しそうだし(笑)」
「柚結の幼なじみはみんなバラバラなんだっけ?」
「…うん。」
「穂乃香ちゃんから連絡があったんだ。」
「柚結だけ高校はみんなと被らないようにしてって言ってるみたいってさ」
「それで同じ所に行かないか誘ってくれって頼まれたの?」
「頼まれたわけじゃないんだけど、航太くんの事があってから私も心配でさ…。」
「…。」
「それで、私から誘ってみるって穂乃香ちゃんに言ったんだよ。」
「あの時、私親友なのにずっとそばにいてあげる事が出来なかったからさ…。」
「そっか…。」
「それ聞いても、私、紗良やもあと同じ高校行きたいって言ったら迷惑になるのかな。」
「そんなわけないじゃん!逆にそう言ってくれて嬉しいよ!」
「…紗良、ありがとう。」
「いいよ!親友なんだから少しは頼って!」
「ありがとう…っ、」
「じゃあ後でもあと家に資料持って行くね!」
「うん、待ってるね。」


それから、受験して紗良ともあと3人で同じ高校に行く事が決まった。
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