75 / 119
75 河野よ。
しおりを挟む
喉のところを狭くして、ぎゅって、言いたいことを言えなくする。
ねぇ、あのね。
って、言いかけた言葉を飲み込んじゃう。
そんな感じ。
なんて言ったらいいんだろう。なんかさ――。
「わ、外……さむ……」
お店を出て、そう思わず呟いた口元を真っ白な吐息が覆った。この辺りは繁華街っていうほど飲み屋さんが連なってるわけじゃない、どちらかというと住宅地って感じ。駅もこの時間帯だと入る人よりも出る人の方が多く。そしてその足取りは急いでいる。
その中、早くうちに帰りたい人たちとは逆、駅の改札を通って、そのまま電車へ。いくつか駅を通って、たどり着くと、さっきまでとは一変した忘年会シーズンを迎えている賑やかな駅の雰囲気が広がっていた。
待ち合わせはお店が終わってからの時間、九時半、だって。
今年最後の営業日は少し早めに上がって、大掃除っぽいものをした。今まで、大きい企業のアパレルメーカーだとお正月は出勤だったから、なんか、大晦日とかにお休みなのが少し不思議な感じがした。
旭輝も実家には戻らないんだって。
そう言ってた。
――忙しいのを知ってるからな。それに実家に戻るとなるとかなりの長旅で大変なんだ。田舎だから。
だから今年のお正月は戻らないって。オフシーズンにゆっくり帰るからそれでいいって言ってた。
「聡衣」
だから、数日、二人っきりで過ごすことになる。
「仕事、お疲れ」
二人のお正月に。
旭輝だけ、まるで浮き上がってるみたいに、こんな人が大勢いる場所でもすぐに見つけられちゃうのって……すごいよね。
「悪いな、疲れてるのに」
「ううん」
「河野は店に待たせてる」
「うん」
待ち合わせた場所には旭輝が一人でいた。コートに身を包んで、寒そうにポケットへと手を突っ込んで。俺を見つけると手招いて、微笑んでくれる。
そんな旭輝の一つ一つにドキドキしたりして。
「寒かったろ」
「ううん。旭輝こそ」
「俺は平気だ。一日、のんびり掃除してただけだから」
「大掃除、俺もやったのに。明日から、になっちゃうけど」
旭輝がまたふわりと笑って、いいんだよって、優しい声で言ってくれる。
その笑顔にさ、胸のとこがキュってなる。
そして、触れたいなぁって思う。
旭輝に触りたくなる。
「ここから近い飲み屋だから」
「あ、うん」
颯爽と先を歩く旭輝の背中を見つめながら。
「……」
もっと触りたい。
もっともっとって、そう思った。
「聡衣?」
女の人ってさ、そういうことって言わないのかな。もっと慎ましいもの? 俺が男だからなのかなぁ。
「……ううん」
自然と少し先を歩いてエスコートしてくれる背中を見つめてた。お姫様みたいに扱われて、嬉しいけれど、でも、頭の中は色々考えて、言葉がぐるぐるって胸のところで小さく右往左往してるんだ。そして、忙しなく動き回る言葉たちを上手に捕まえることができないまま、唇をキュッと結びながら駆け足で旭輝の隣に並んだ。
「いや、なんで俺、わざわざこの席にお呼ばれしてんだ」
同僚の悪い人、じゃなくて河野がものすごく不服そうな顔をしてそう呟いた。
「河野には多少世話になったからな」
「してないだろ」
「したんだ。枝豆、追加でいいか?」
「あぁ。塩昆布和えの方がいい」
「わかった」
「じゃなくて! 俺が年末のこのクソ忙しい中、なんで久我山と酒を飲まないと行けないんだって訊いてるっつうの」
飲み屋さんに辿り着くと、やっぱりただの飲み屋さんじゃなくて、ちょっと高級な和風レストランへと通された。
「いいだろ。別に。それにそういう細かいところをネチネチ突くから、後輩に煙たがられるんだぞ」
「別に煙たがられたって気にならないね。ネチネチ突かれるような議案書を提出してくる方が悪いんだろうが」
「……確かにな」
旭輝は不敵に笑うと、シックな着物姿のスタッフへテキパキ追加の注文を伝えた。
俺はエリート同士のハキハキとした会話を見学してた。
「それにちゃんと仕上がってる議案書にはネチネチ突っかかったりはしていない」
「まぁな」
「残念なことに、お前が作った議案書にもネチネチ突っかかったりしたことはない」
「そりゃそうだろ。悪い、場を離れる」
「はいはーい。その間に彼氏、襲おうかな…………睨むなよ。しないって、そんなこと」
ヘラヘラ笑いながら手で払うような仕草をしてから、生ビールを一気に半分まで飲んだ。
旭輝は俺の頭をぽんって撫でてから立ち上がり、多分トイレ、かな。どこかへと向かっていった。
「「……」」
同僚の悪い人、河野と二人っきりに、なっちゃった。
「…………上手く行ったんだ」
「あ、うん」
「まぁ、それはそれでありがたいけどな。久我山はずっとふらふら目の前をうろついていたから鬱陶しかったし。そこで身を固めてもらえたら助かる」
「……」
「それにしても仲良さそうで」
「……河野ってさ」
「は? なんで、呼び捨てなんだ」
「河野っていい人、だね」
「はぁぁぁ? どうしてそうなるんだっ」
「だって」
今、そう言ってた。旭輝がふらふらしてるの気にしててくれたんでしょ?
「俺、この前、会ったじゃん。飲み会の帰りに遭遇した、あの時だってさ」
好きな人がいるって教えてくれた。ずっと好きな人がいるんだって。あれだって、俺にそれが誰なのか教えてくれようとしてたのかなぁって思った。なんとなくだけれど。
「最近、雰囲気変わったからさ」
「……ぇ?」
「あいつ、最近、雰囲気が変わった」
「……」
「だから、最近、できた恋人っていうのが、ずっと大昔にあいつがほざいていた、かの方、何だろうと思っただけ」
そこでさっき頼んだ、塩昆布和えの枝豆が到着した。同僚の悪い人はそれを楽しくなさそうにしながら、でも、パクパクと勢い良く食べていく。
「同期の中で評価が高いあいつに旨味十分の結婚なんてされて、ダントツのエリート街道を突き進まれるより、旨味ゼロの君とくっついてくれれば、俺の今後のエリート街道の前方を歩く奴はもう誰もいない。俺はお陰で出世街道を第一位で突き進める。そんなわけで君とくっついてくれるのが一番、俺にとってメリットがあったんだ」
「……」
「だからなだけだよ」
雰囲気、変わったの?
「どんな感じ、だったの?」
「あいつ? あいつは、そうだな。大先生の愛娘の一件の直後、秘書の蒲田さんが騒ぎ出したくらいか、その頃から急に毎日ニコニコニコニコ。かなり気持ち悪かった。それで察したんだ。俺は優秀だから」
「……うん」
そう、なんだ。ニコニコ、しててくれたんだ。
「そんなに違ってた?」
「まぁね」
「俺に会ってから?」
「あぁ、しつこいなぁ」
「じゃあ……さ」
「あ?」
ずっと、もやもやしてた。旭輝に言いたいことがあるけれど、でも言葉は胸の内を走り回ってばかりでちっとも大人しくなってくれなくて、その駆け回ってる言葉を上手に捕まえられなかった。だから、なんて言ったらいいのかわからなくて。わからないから、旭輝に「ねぇ」って話しかけられなかった。
言いたかったのはね。
旭輝に言いたかったけれど駆け回ってばかりで捕まえられなかった言葉はね。
「じゃあ、俺って、嫌われたりしない、かな」
こんなこと言ったら嫌われたりしない? って、訊きたかった。
女の人ってそういうの言わないものなのかなぁって。知らないからさ。男女間でのそういうの。だから、男女間しか知らない旭輝に、男の俺が欲しいものを口に出したら驚かれるかなって。
引……いちゃったりしないかなって。
そう思ってたんだけど。
「はぁ? なんで」
「まぁ、色々と」
「…………ないだろ」
河野に退屈そうに返されちゃった。
「あれだけ、嬉しそうにして? ないね。長年、思っていた、かの方のことそうそう嫌いになるなら相当なことしなくちゃ無理だろうな」
「……」
「なんか知らないけど」
「……ね、河野」
「はぁ? だから、どうして君に呼び捨てに」
「かの方、とか、言い方、ちょっと面白いよ」
そこでおいって怒り出すのが面白くて、笑っちゃって。
やっぱ、良い人って言ったら、もっと怒ってて。
こんなに面白い人ならもう名前、忘れないかもって言ったら、一度会った人間の名前も覚えてないなんて、って、河野が呆れてた。
ねぇ、あのね。
って、言いかけた言葉を飲み込んじゃう。
そんな感じ。
なんて言ったらいいんだろう。なんかさ――。
「わ、外……さむ……」
お店を出て、そう思わず呟いた口元を真っ白な吐息が覆った。この辺りは繁華街っていうほど飲み屋さんが連なってるわけじゃない、どちらかというと住宅地って感じ。駅もこの時間帯だと入る人よりも出る人の方が多く。そしてその足取りは急いでいる。
その中、早くうちに帰りたい人たちとは逆、駅の改札を通って、そのまま電車へ。いくつか駅を通って、たどり着くと、さっきまでとは一変した忘年会シーズンを迎えている賑やかな駅の雰囲気が広がっていた。
待ち合わせはお店が終わってからの時間、九時半、だって。
今年最後の営業日は少し早めに上がって、大掃除っぽいものをした。今まで、大きい企業のアパレルメーカーだとお正月は出勤だったから、なんか、大晦日とかにお休みなのが少し不思議な感じがした。
旭輝も実家には戻らないんだって。
そう言ってた。
――忙しいのを知ってるからな。それに実家に戻るとなるとかなりの長旅で大変なんだ。田舎だから。
だから今年のお正月は戻らないって。オフシーズンにゆっくり帰るからそれでいいって言ってた。
「聡衣」
だから、数日、二人っきりで過ごすことになる。
「仕事、お疲れ」
二人のお正月に。
旭輝だけ、まるで浮き上がってるみたいに、こんな人が大勢いる場所でもすぐに見つけられちゃうのって……すごいよね。
「悪いな、疲れてるのに」
「ううん」
「河野は店に待たせてる」
「うん」
待ち合わせた場所には旭輝が一人でいた。コートに身を包んで、寒そうにポケットへと手を突っ込んで。俺を見つけると手招いて、微笑んでくれる。
そんな旭輝の一つ一つにドキドキしたりして。
「寒かったろ」
「ううん。旭輝こそ」
「俺は平気だ。一日、のんびり掃除してただけだから」
「大掃除、俺もやったのに。明日から、になっちゃうけど」
旭輝がまたふわりと笑って、いいんだよって、優しい声で言ってくれる。
その笑顔にさ、胸のとこがキュってなる。
そして、触れたいなぁって思う。
旭輝に触りたくなる。
「ここから近い飲み屋だから」
「あ、うん」
颯爽と先を歩く旭輝の背中を見つめながら。
「……」
もっと触りたい。
もっともっとって、そう思った。
「聡衣?」
女の人ってさ、そういうことって言わないのかな。もっと慎ましいもの? 俺が男だからなのかなぁ。
「……ううん」
自然と少し先を歩いてエスコートしてくれる背中を見つめてた。お姫様みたいに扱われて、嬉しいけれど、でも、頭の中は色々考えて、言葉がぐるぐるって胸のところで小さく右往左往してるんだ。そして、忙しなく動き回る言葉たちを上手に捕まえることができないまま、唇をキュッと結びながら駆け足で旭輝の隣に並んだ。
「いや、なんで俺、わざわざこの席にお呼ばれしてんだ」
同僚の悪い人、じゃなくて河野がものすごく不服そうな顔をしてそう呟いた。
「河野には多少世話になったからな」
「してないだろ」
「したんだ。枝豆、追加でいいか?」
「あぁ。塩昆布和えの方がいい」
「わかった」
「じゃなくて! 俺が年末のこのクソ忙しい中、なんで久我山と酒を飲まないと行けないんだって訊いてるっつうの」
飲み屋さんに辿り着くと、やっぱりただの飲み屋さんじゃなくて、ちょっと高級な和風レストランへと通された。
「いいだろ。別に。それにそういう細かいところをネチネチ突くから、後輩に煙たがられるんだぞ」
「別に煙たがられたって気にならないね。ネチネチ突かれるような議案書を提出してくる方が悪いんだろうが」
「……確かにな」
旭輝は不敵に笑うと、シックな着物姿のスタッフへテキパキ追加の注文を伝えた。
俺はエリート同士のハキハキとした会話を見学してた。
「それにちゃんと仕上がってる議案書にはネチネチ突っかかったりはしていない」
「まぁな」
「残念なことに、お前が作った議案書にもネチネチ突っかかったりしたことはない」
「そりゃそうだろ。悪い、場を離れる」
「はいはーい。その間に彼氏、襲おうかな…………睨むなよ。しないって、そんなこと」
ヘラヘラ笑いながら手で払うような仕草をしてから、生ビールを一気に半分まで飲んだ。
旭輝は俺の頭をぽんって撫でてから立ち上がり、多分トイレ、かな。どこかへと向かっていった。
「「……」」
同僚の悪い人、河野と二人っきりに、なっちゃった。
「…………上手く行ったんだ」
「あ、うん」
「まぁ、それはそれでありがたいけどな。久我山はずっとふらふら目の前をうろついていたから鬱陶しかったし。そこで身を固めてもらえたら助かる」
「……」
「それにしても仲良さそうで」
「……河野ってさ」
「は? なんで、呼び捨てなんだ」
「河野っていい人、だね」
「はぁぁぁ? どうしてそうなるんだっ」
「だって」
今、そう言ってた。旭輝がふらふらしてるの気にしててくれたんでしょ?
「俺、この前、会ったじゃん。飲み会の帰りに遭遇した、あの時だってさ」
好きな人がいるって教えてくれた。ずっと好きな人がいるんだって。あれだって、俺にそれが誰なのか教えてくれようとしてたのかなぁって思った。なんとなくだけれど。
「最近、雰囲気変わったからさ」
「……ぇ?」
「あいつ、最近、雰囲気が変わった」
「……」
「だから、最近、できた恋人っていうのが、ずっと大昔にあいつがほざいていた、かの方、何だろうと思っただけ」
そこでさっき頼んだ、塩昆布和えの枝豆が到着した。同僚の悪い人はそれを楽しくなさそうにしながら、でも、パクパクと勢い良く食べていく。
「同期の中で評価が高いあいつに旨味十分の結婚なんてされて、ダントツのエリート街道を突き進まれるより、旨味ゼロの君とくっついてくれれば、俺の今後のエリート街道の前方を歩く奴はもう誰もいない。俺はお陰で出世街道を第一位で突き進める。そんなわけで君とくっついてくれるのが一番、俺にとってメリットがあったんだ」
「……」
「だからなだけだよ」
雰囲気、変わったの?
「どんな感じ、だったの?」
「あいつ? あいつは、そうだな。大先生の愛娘の一件の直後、秘書の蒲田さんが騒ぎ出したくらいか、その頃から急に毎日ニコニコニコニコ。かなり気持ち悪かった。それで察したんだ。俺は優秀だから」
「……うん」
そう、なんだ。ニコニコ、しててくれたんだ。
「そんなに違ってた?」
「まぁね」
「俺に会ってから?」
「あぁ、しつこいなぁ」
「じゃあ……さ」
「あ?」
ずっと、もやもやしてた。旭輝に言いたいことがあるけれど、でも言葉は胸の内を走り回ってばかりでちっとも大人しくなってくれなくて、その駆け回ってる言葉を上手に捕まえられなかった。だから、なんて言ったらいいのかわからなくて。わからないから、旭輝に「ねぇ」って話しかけられなかった。
言いたかったのはね。
旭輝に言いたかったけれど駆け回ってばかりで捕まえられなかった言葉はね。
「じゃあ、俺って、嫌われたりしない、かな」
こんなこと言ったら嫌われたりしない? って、訊きたかった。
女の人ってそういうの言わないものなのかなぁって。知らないからさ。男女間でのそういうの。だから、男女間しか知らない旭輝に、男の俺が欲しいものを口に出したら驚かれるかなって。
引……いちゃったりしないかなって。
そう思ってたんだけど。
「はぁ? なんで」
「まぁ、色々と」
「…………ないだろ」
河野に退屈そうに返されちゃった。
「あれだけ、嬉しそうにして? ないね。長年、思っていた、かの方のことそうそう嫌いになるなら相当なことしなくちゃ無理だろうな」
「……」
「なんか知らないけど」
「……ね、河野」
「はぁ? だから、どうして君に呼び捨てに」
「かの方、とか、言い方、ちょっと面白いよ」
そこでおいって怒り出すのが面白くて、笑っちゃって。
やっぱ、良い人って言ったら、もっと怒ってて。
こんなに面白い人ならもう名前、忘れないかもって言ったら、一度会った人間の名前も覚えてないなんて、って、河野が呆れてた。
4
あなたにおすすめの小説
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
鈴木さんちの家政夫
ユキヤナギ
BL
「もし家事全般を請け負ってくれるなら、家賃はいらないよ」そう言われて鈴木家の住み込み家政夫になった智樹は、雇い主の彩葉に心惹かれていく。だが彼には、一途に想い続けている相手がいた。彩葉の恋を見守るうちに、智樹は心に芽生えた大切な気持ちに気付いていく。
宵にまぎれて兎は回る
宇土為名
BL
高校3年の春、同級生の名取に告白した冬だったが名取にはあっさりと冗談だったことにされてしまう。それを否定することもなく卒業し手以来、冬は親友だった名取とは距離を置こうと一度も連絡を取らなかった。そして8年後、勤めている会社の取引先で転勤してきた名取と8年ぶりに再会を果たす。再会してすぐ名取は自身の結婚式に出席してくれと冬に頼んできた。はじめは断るつもりだった冬だが、名取の願いには弱く結局引き受けてしまう。そして式当日、幸せに溢れた雰囲気に疲れてしまった冬は式場の中庭で避難するように休憩した。いまだに思いを断ち切れていない自分の情けなさを反省していると、そこで別の式に出席している男と出会い…
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(2024.10.21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】
彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。
高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。
(これが最後のチャンスかもしれない)
流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。
(できれば、春樹に彼女が出来ませんように)
そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。
*********
久しぶりに始めてみました
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
【完結】薄幸文官志望は嘘をつく
七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。
忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。
学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。
しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー…
認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。
全17話
2/28 番外編を更新しました
離したくない、離して欲しくない
mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。
久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。
そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。
テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。
翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。
そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる