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95 すき、あらば
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旭輝とした後の余韻はたくさん並んだ料理の最後、綺麗な宝石に見えるようなデザートみたい。ずっと食べていたい感じ。ずっと味わっていられたらいいのにって。口の中に残る甘さに浸っているみたいな。
そんな幸せな気分になれる。
だから、まだ眠りたくなくて。
「こら、先に寝とけって言ったろ」
寝てていいって言われたけれど、ベッドの中で芋虫みたいにモゾモゾしながら起きていた。
「ん」
たくさんセックスして、一緒にお風呂に入って、先に上がった。旭輝はその後、お風呂掃除してくれてた。
「だって、先に寝ちゃうの申し訳ないじゃん」
「別に申し訳なくない。夜更かしさせたんだから」
夜更かし、なら旭輝もでしょ?
それに先に寝ちゃうのが申し訳なくて起きてたっていうのもあるけど、一番はそれじゃなくて、もっと浸ってたいからで。
「水飲むか?」
「大丈夫」
代わりばんこにお風呂掃除をしてる。本当なら俺がやる順番。そして、俺は朝が旭輝よりも遅いから、あとでやるはずだった。けれど、今日、たくさんしちゃったから明日はギリギリまで寝てろって。身体拭いて、髪乾かすのはしてやれないけどって、俺の肩のところに優しくキスをしてくれた。
大人なんですけど、ってちょっとくすぐったかったけど。
でも、こんなふうに甘やかされたことってないから、嬉しくて。
「別に、聡衣の寝顔を眺めるのも楽しいから気にするな」
ほらね。こんなふうに隙あらば甘やかしてくるの。
女ったらしのくせに。きっとこんなふうに相手を甘やかして、笑っちゃうくらい、本人がくすぐったくて仕方ないくらいに甘やかされたのは俺だけなんだよね。
多分。
もしかしたら。
おそらく。
かもしれない。
メイビー。
「で、夜更かししながら何見てたんだ? 寝る前にスマホの画面見てると寝つき悪くなるぞ」
あ、また、ほらほら、隙あらば甘やかして、大事にしたがる。
自分でも笑っちゃうくらいに自意識過剰みたいだけど、多分、おそらく、それで合ってるだろう予想に、頬が赤くなったんだと思う。赤面の理由を知ってるのか知らないのか、わからないけれど、旭輝が頬を撫でて、笑いながらベッドに入ってきてくれた。
「これ見てたんだ」
どれ? って覗き込んでくる旭輝にスマホの画面を向けて、それからその懐に潜り込むように身体を寄せると、腕で俺のことを引き寄せてくれる。
「あぁ、今度行くって言ってた展示会?」
「そう。すごいたくさんのとこから来るんだよね。見てみたら、一回、俺も参加したことあった」
「へぇ」
「その時は展示する側のスタッフのお手伝いで、搬入とかしたんだけど」
バイヤーの人とかって、なんかもうすっごくカッコよかったんだよね。こういう人が選りすぐりのものを探し出して「提供」してるんだって。
「……今度は買い付ける側だな」
「うん」
旭輝より先に上がった俺は、他にもバイヤーの仕事とかを検索してみたりしてた。こんなことをするんだなぁって、ぼんやりと思いながら、ワクワクして。
「今まではそのお店にあるものを、来てくださったお客さんに提供する仕事だったでしょ?」
「あぁ」
「今度はさ、そのお店にあるものを揃えるところまでできるんだよ」
もう何年もアパレルで仕事してるとたまにあるんだ。入荷してきた服がどれもイマイチだったり、その時の流行のテイストが自分の好みとは違ってたり。それとか、来てくれたお客さんに最良のものを選んであげられなかったり。ありとあらゆるファッションをお客さんに提供できる魔法のクローゼットはないから。
あったらいいのにって思ったことあるよ。
魔法のクローゼット。
この服素敵だけど、色がちょっとね。
このジャケット、襟の形がね。
このスラックスもいいんだけど、タックの数がね。
そんな時、とても焦ったくてたまらなかった。
「けどさ、今度はその魔法のクローゼットを開ける仕事でさ……」
それってすごいよね。
「俺も、思ったことあるよ」
「旭輝が? 魔法の?」
「あぁ」
頷いて、引き寄せた俺の耳元に顔を埋めながらキスをくれる。
「聡衣と初めて会った時」
「……」
「きっとその魔法のクローゼットを開ける時のテンションはさっき帰ってきた時のそれだろ?」
まぁ……かなり……はしゃいでましたよね。
「あの時の俺のテンション、聡衣に見せられるなら見せてやりたい。いや……ダメかな。笑うレベルだったから」
「っぷ、何それ」
「そのくらいのことだったんだ。俺にとっては」
そう?
そうかな。
そうだったら、嬉しいな。
だって、このワクワクのきっかけをくれたのは旭輝だから。
「ほら、もう寝るぞ。明日も仕事頑張れよ」
「はーい」
いい子、なんて言って笑って、俺の頭を撫でてくれる旭輝の懐に思い切り潜り込んで、そこで目を閉じる。
甘い甘い、美味しくてほっぺたが落ちちゃいそうなデザートの余韻に浸りながら。
「聡衣の体温……」
「あったかい?」
「あぁ」
「フフっ」
温かいと言ってくれた身体を擦り寄せながら。
「おやすみ」
好きだからこそ甘やかしてくれる腕の中に全身預けながら。
好きな人を温めてあげたくて腕を伸ばして。
そっと目を閉じた。
そんな幸せな気分になれる。
だから、まだ眠りたくなくて。
「こら、先に寝とけって言ったろ」
寝てていいって言われたけれど、ベッドの中で芋虫みたいにモゾモゾしながら起きていた。
「ん」
たくさんセックスして、一緒にお風呂に入って、先に上がった。旭輝はその後、お風呂掃除してくれてた。
「だって、先に寝ちゃうの申し訳ないじゃん」
「別に申し訳なくない。夜更かしさせたんだから」
夜更かし、なら旭輝もでしょ?
それに先に寝ちゃうのが申し訳なくて起きてたっていうのもあるけど、一番はそれじゃなくて、もっと浸ってたいからで。
「水飲むか?」
「大丈夫」
代わりばんこにお風呂掃除をしてる。本当なら俺がやる順番。そして、俺は朝が旭輝よりも遅いから、あとでやるはずだった。けれど、今日、たくさんしちゃったから明日はギリギリまで寝てろって。身体拭いて、髪乾かすのはしてやれないけどって、俺の肩のところに優しくキスをしてくれた。
大人なんですけど、ってちょっとくすぐったかったけど。
でも、こんなふうに甘やかされたことってないから、嬉しくて。
「別に、聡衣の寝顔を眺めるのも楽しいから気にするな」
ほらね。こんなふうに隙あらば甘やかしてくるの。
女ったらしのくせに。きっとこんなふうに相手を甘やかして、笑っちゃうくらい、本人がくすぐったくて仕方ないくらいに甘やかされたのは俺だけなんだよね。
多分。
もしかしたら。
おそらく。
かもしれない。
メイビー。
「で、夜更かししながら何見てたんだ? 寝る前にスマホの画面見てると寝つき悪くなるぞ」
あ、また、ほらほら、隙あらば甘やかして、大事にしたがる。
自分でも笑っちゃうくらいに自意識過剰みたいだけど、多分、おそらく、それで合ってるだろう予想に、頬が赤くなったんだと思う。赤面の理由を知ってるのか知らないのか、わからないけれど、旭輝が頬を撫でて、笑いながらベッドに入ってきてくれた。
「これ見てたんだ」
どれ? って覗き込んでくる旭輝にスマホの画面を向けて、それからその懐に潜り込むように身体を寄せると、腕で俺のことを引き寄せてくれる。
「あぁ、今度行くって言ってた展示会?」
「そう。すごいたくさんのとこから来るんだよね。見てみたら、一回、俺も参加したことあった」
「へぇ」
「その時は展示する側のスタッフのお手伝いで、搬入とかしたんだけど」
バイヤーの人とかって、なんかもうすっごくカッコよかったんだよね。こういう人が選りすぐりのものを探し出して「提供」してるんだって。
「……今度は買い付ける側だな」
「うん」
旭輝より先に上がった俺は、他にもバイヤーの仕事とかを検索してみたりしてた。こんなことをするんだなぁって、ぼんやりと思いながら、ワクワクして。
「今まではそのお店にあるものを、来てくださったお客さんに提供する仕事だったでしょ?」
「あぁ」
「今度はさ、そのお店にあるものを揃えるところまでできるんだよ」
もう何年もアパレルで仕事してるとたまにあるんだ。入荷してきた服がどれもイマイチだったり、その時の流行のテイストが自分の好みとは違ってたり。それとか、来てくれたお客さんに最良のものを選んであげられなかったり。ありとあらゆるファッションをお客さんに提供できる魔法のクローゼットはないから。
あったらいいのにって思ったことあるよ。
魔法のクローゼット。
この服素敵だけど、色がちょっとね。
このジャケット、襟の形がね。
このスラックスもいいんだけど、タックの数がね。
そんな時、とても焦ったくてたまらなかった。
「けどさ、今度はその魔法のクローゼットを開ける仕事でさ……」
それってすごいよね。
「俺も、思ったことあるよ」
「旭輝が? 魔法の?」
「あぁ」
頷いて、引き寄せた俺の耳元に顔を埋めながらキスをくれる。
「聡衣と初めて会った時」
「……」
「きっとその魔法のクローゼットを開ける時のテンションはさっき帰ってきた時のそれだろ?」
まぁ……かなり……はしゃいでましたよね。
「あの時の俺のテンション、聡衣に見せられるなら見せてやりたい。いや……ダメかな。笑うレベルだったから」
「っぷ、何それ」
「そのくらいのことだったんだ。俺にとっては」
そう?
そうかな。
そうだったら、嬉しいな。
だって、このワクワクのきっかけをくれたのは旭輝だから。
「ほら、もう寝るぞ。明日も仕事頑張れよ」
「はーい」
いい子、なんて言って笑って、俺の頭を撫でてくれる旭輝の懐に思い切り潜り込んで、そこで目を閉じる。
甘い甘い、美味しくてほっぺたが落ちちゃいそうなデザートの余韻に浸りながら。
「聡衣の体温……」
「あったかい?」
「あぁ」
「フフっ」
温かいと言ってくれた身体を擦り寄せながら。
「おやすみ」
好きだからこそ甘やかしてくれる腕の中に全身預けながら。
好きな人を温めてあげたくて腕を伸ばして。
そっと目を閉じた。
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