勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる

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第7章 神を探せ

第11話 仮面の男

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「おいみんな、こっちに来てくれ! ここに何かの結界があるぞ!」

 部屋を調べ始めてすぐに、ハストナーが奥の壁に結界が張ってあるのを発見する。

 オレたち全員でそこに集合してみると、遠くからではほとんど壁と同化して分からなかったが、直径2メートルほどの結界が壁の表面を覆っていた。
 どうやらこの結界をくぐり抜けて、壁の奥へと入れそうな感じだが……?
 ロゥエルがまず結界の前に立ち、精霊を喚び出して調べる。

「なんじゃこの結界は!? わらわですら知らない魔導技術でここを封印しておる! 精霊の解析でも解除ディスペル方法が分からぬとは……!」

「どれどれ……なるほど、これは高度な封印結界ですね。御大でも解除が無理なら、魔導大国マグナスの研究者たちに頼むしか手はありませんが……リューク殿、あなたならどうです?」

 ジュダハイムが振り返ってオレに訊く。
 ロゥエルでもお手上げのようだが、オレなら解除できるかもとジュダハイムは思ったようだ。

 解除できるかは分からないが、そもそもオレは結界を解除する必要がない。
 暗殺者『虚身うつろ』から取得したギフト『闇神』は、全ての結界を無効にするからな。

「とりあえず、結界に入ってみるよ」

 オレはそう言って通り抜けようとしたが……

「こ、これは……ウソだろ!?」

 結界を無効にするはずの『闇神』なのに、その効果が発揮されなかったのだ。
 こんなことは初めてだ。
 まさかこの結界、この世界の魔導技術ではない……とか?
 とにかく、『スマホ』で解析してみようとすると、その『スマホ』が眩しく輝いた。

「お、おいリューク、なんだそのアイテムは!?」

『スマホ』を見て、ゼオルグたちが驚く。
 あまりに激しく輝くので、さすがに隠し通すことができなかった。

「いや、その……実は『覇王の卵』で授かったアイテムなんだ」

 ゼオルグたちには申し訳ないが、オレはその場凌ぎのウソをついた。
 今オレは完全に動揺していて、みんなに説明できるような状況じゃないからだ。

 結界に何故か『スマホ』が反応している。
 オレ自身よく分からないというか、上手く言えないが、この結界は『スマホ』を持つ者を選別しているような感じに思える。
 イグゼクタはここで神に会うのがオレの使命なのではと言っていたが、神はオレが来るのを待っていたということなのか?

 もう一度オレが結界に触れると、今度は手がするりと通り抜けた。
 解析できなくても分かる。『スマホ』が結界を無効にしているんだ。
『スマホ』を持つオレだけがここをくぐれるらしい。

「みんな、ここで待っててくれ。どうやら神様はオレとだけ会いたいようだ。ゼオルグ、彼女たちをよろしく頼む」

「了解だ。ここはオレたちが守るから安心して行ってこい」

「アタシたちのことは大丈夫。気を付けてねリューク」

 オレはジーナたちのことをゼオルグに託し、結界の中に入っていった。


 ☆


 結界をくぐり抜けた先は洞窟内ではなく、白いモヤが立ちこめたおかしな空間になっていた。
 周囲には壁など何もなく、この空間が無限に続いているようにも見える。
 神様がいるとしたら、こんな場所なのかもしれないが……
 本当に本物の神様がこんなところいるというのか?

 しばらく歩いていると、前方の白いモヤの向こうから、うっすらと人影が見えてくる。
 慎重に近付いていくと、その人物は角が生えた鬼のような仮面を顔に付けていた。
 そして……黒髪だ。つまり、異世界人ってことか!?
 オレの全身に緊張が走る。

 10メートルほどの距離まで近付くと、その仮面の男がおもむろに言葉を発した。

「1000年待ったぞ。ようやく決着のときが来た」

「決着のとき……?」

 どういうことだ?
 決着のときが来たというのは、オレとこの仮面の男は敵同士で、今ここで戦うということか?
 オレは男の言葉を待つ。

「お前の成長を確かめたい。お前の全力を発揮してこのオレを倒してみろ」

 オレを待っていた理由は、やはりここで決着をつけるのが目的らしい。
 しかし、戦う理由がオレには分からない。
 可能なら戦闘を避けたいところだが……

 とりあえず、男が何者なのかを解析してみることに。
 だが、なんと『スマホ』で撮ることができなかった。
 写真に撮らなければ、解析することはできない。もちろん能力をコピーすることも不可能だ。
 この男はいったい何者なんだ!? 本当に神だというのか?

「……星に導かれてオレはここにやって来た。君と会う必要があるらしいからだ。今世界は異世界人の侵略におびやかされている。君が彼らの仲間なら、この争いを止めてほしいんだが……?」

 オレは仮面の男に問いかけてみた。すると……

「異世界人など知らぬ。それはお前が戦う相手ではない。お前が決着をつけるべき相手は別にいる。そのためにオレと戦うのだ」

 驚くことに、仮面の男は異世界人なんて知らないと告げた。
 そういえば、1000年待っていたとさっき言ってたっけ。
 さらに、オレが決着を付ける相手は別にいるということは、この男は敵ではないということか?
 なんだかサッパリ分からなくなってきたぞ。

 オレが混乱していると、仮面の男は腰の剣を抜いた。

「お前が戦わないなら、このまま殺すだけだ。死にたくないなら全力を出せ!」

 男から強烈な殺気が噴き出す。
 仕方ない、戦わなくちゃダメってことか。
 とはいえ、彼を殺してしまっては、この謎は何も分からないままだ。
 オレは神速で間合いを詰め、殺さないように手加減して男を斬り付けた。

「なっ……!? ぐああっ!」

 だがしかし、剣先が仮面の男に届く前に、オレは何かの見えない力に激しく吹き飛ばされる。

「全力を出せと言ったはずだ。次は本気で殺す」

 男は何ごともなかったように直立したまま、剣先をオレに向けた。
 こいつ、強い……ただ吹き飛ばされただけだが、オレの攻撃をはね返せる時点で規格外の強さを物語っている。

 オレがここまで成長してから、初めて出会うオレと同格の存在。
 やらねばこちらがやられるかもしれない。
 オレはまだ死ぬわけにはいかない。だから手加減なしでいかせてもらう。

 オレは高速スキル『雷光の勇者』を最大に発動し、神速を超える超神速で男を斬り付けた。
 相手が死んでも構わないという覚悟の一撃だ。
 しかし、それをいとも簡単に男は躱す。

(こいつ、オレよりも強い!?)

 力は同格と考えたオレだったが、もしかしてオレを超える強さかもしれないと思い直し、さらに本気の攻撃を男に仕掛ける。
 ゼオルグから取得した能力『金属支配メタルルーラー』で数百本の巨大剣を上空に出現させ、男目掛けて射出した。
 本家のゼオルグを遥かに超える攻撃で、このオレが操る以上、逃がすような隙など与えない。

 だが、これも軽々と男は躱していく。
 自分で攻撃しておいて思うが、オレですら完全に避ける自信がない。
 それくらいオレの狙撃は精密なのに、カスリもしないとは……

 オレは攻撃を調整し、男の位置をオレの正面に移動させる。
 そして、これは使いたくなかったが、魔王の守護機神ルシファーガーディアンから取得した『灼き尽くす魔王の一撃ルシファーズ・インフェルノ』を撃ち放った。
 広範囲を消滅させる巨大光線なので、これなら躱しきれないだろうと思ったが、直撃する瞬間、男の姿が消える。

(ヤバイ、やられるっ!)

 男の気配を完全に見失ってしまったことで、オレは死を予感した。
 とっさにその場を離れ、無我夢中でルーファスから取得した『空間喰いヴォイド・ディメンション』を発動する。
 ただの直感というか、完全に当てずっぽうではあったが、攻撃が来るならこの方向だろうというところに『空間喰いヴォイド・ディメンション』を放つと、まぐれで仮面の男を捕らえたのだった。

「や、やった!」

 オレにはもう、男を生かしたまま倒すなんて甘いことは頭から消えていた。
 ただ生き延びることに必死だった。
 仮面の男といえども、『空間喰いヴォイド・ディメンション』から逃れることは不可能だろう。可哀想だが、そのまま次元の壁に押し潰されて消滅するしかない。
 勝ったと思ったオレは安堵の息を漏らす。

 しかし、次元の壁に囲まれていたはずの男の姿が消え、次の瞬間には、オレの背後から剣を首に突きつけていた。
『物理無効』を発動する間もなかった。
 男がその気なら、今オレの首は斬り落とされていた。

「……何故オレを殺さない?」

 オレは仮面の男に問いかける。
 この瞬間、不思議とオレから恐怖は去っていた。
 男にはオレを殺す気はない――それが分かったからだ。

 オレは首元に突きつけられた剣から離れ、男と向き合う。
 男はオレを見つめながら口を開いた。

「まだその程度の力なのか……ならば、やはりお前は『回帰の秘石ジェネレート・ゼロ』を手に入れなければならない。北へ向かえ。最北の地に鍵がある。『真紅の指輪』がお前を導くだろう」

「ジェネ……? 『真紅の指輪』? なんだそれ?」

 オレが聞き返すと、男の姿が幻のように徐々に薄れ始めた。
 まさか消えちまうのか!? 訊きたいことはたくさんあるというのに!

「北に行くための道具も用意してある。必ず『回帰の秘石ジェネレート・ゼロ』を手に入れろ。さもなくば、お前の勝利はない……」

「ちょっ、待ってくれ! もう少し詳しい説明が聞きた……」

 オレの言葉が終わる前に、仮面の男は消えていた。
 オレの力がまるで通じなかったが、しかしあいつは神じゃない。それだけは分かる。
 だがそれ以外は分からないことだらけだ。

 とりあえず、あいつが言った通り北に行くしかないな。
 そのための道具も用意してあるって言ってたけど、どこにあるんだ?

 そんなことを考えていると、周囲に漂っていた白いモヤが消え、無限に広がっていたおかしな空間から洞窟内へと景色が変化した。
 すると、とんでもないものがオレの目に映る。

 おいおい、北へ行くのにコレを使えってことか~っ!?
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