勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる

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第6章 彼方からの侵略者

第13話 あれから1週間

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「リューク、言われていた仕事は全部終わったぜ」

「ああ、ありがとうザック! 助かったよ」

 昼過ぎ、ゲスニクの屋敷にある書斎で事務処理をしていたところに、仕事を終えたザックがやってきた。
 ザックはオレに一声かけたあと、「よっこらせ」と呟きながら近くにあった椅子に腰をかける。

 1週間前、領民たちをゲスニクの支配から解放したオレたちだが、統治者がいないままだと支障が出るので、とりあえずオレが代理となって実務をこなしている状態だ。
 ただ、オレ1人では全然手が回らないので、ザックたちAランク冒険者やジーナたちが臨時の手伝いをしてくれている。
 それでも治安管理などの手が足りないので、ゾンダール将軍がオレのために、王都から来た騎士たちの一部を貸してくれた。
 グリムラーゼ王女やサクヤたちもゲスニクの後始末を手伝いたいと言ってくれたが、あの突然の事態なので、王様や将軍と一緒に一度王都に戻ることになった。

 とにかく、ゲスニクはこの手のことを全て適当にやっていたので、正常に戻すのに手を焼いている。
 逆に、こんなデタラメなやり方で、よくぞ今までこの領地を運営できたものだと感心してしまうくらいだ。
 まあ領民の生活を考えず、ひたすら搾取するだけだから成り立っていたとも言える。

 この状態を改善するにはかなり専門的な知識が必要だが、当然オレにはない。
 だから普通に考えてオレに領地運営は無理だが、経済分野や事務処理系のスキルをコピーで取得したので、そのおかげでこんなオレでもなんとか復興作業ができている。
 何はさておき、領民たちの生活水準向上のため、ゲスニクが貯め込んでいた資産を分配することから始めたが。

 これらの作業に加え、新たなる強敵に備えて、オレ自身のレベル上げも毎日こなしている。
 異世界人の能力はやはり脅威だ。あの新宮斬也に勝ったからといって、自分の力に慢心するわけにはいかない。
 とはいえ、この辺りには強いモンスターはいないので、以前グリムラーゼ王女を救いに行った『北の森』まで往復5時間かけてレベリングに行っている。
 あそこには凶悪なモンスターが多数棲息しているからな。

 レベル200に到達したとき覚えた『スマホ』の能力がレベリングに最適なので、それを使って片っ端からモンスターを倒していったら、1週間でレベルを221から243まで上げることができた。
 そのせいで、北の森のモンスターはほぼ全滅しちゃったけど。
 復興作業とレベリングで寝不足の日々が続いたが、おかげでレベル225を超えたんで、また新しい『スマホ』の能力も覚えることができた。
 面白い能力なので、異世界人対策にもきっと役に立つはずだ。

「なあザック、もしオレがこの侯爵領を継いだら、オレのもとで働いてくれないか? オレに仕えるとかじゃなく、領地の運営を手伝ってほしいんだ」

 なんとなく落ちついたところで、オレはふと本心をザックに伝える。
 今は異世界人のことで世界全体が動いているが、それが解決したら、ここの統治についても結論を出さなくちゃならない。
 オレが継ぐかどうかはまだ分からないが、ザックたちがそばにいてくれれば心強い。もちろん、ジーナたちもだ。
 オレはザックの言葉を待つ。

「うーん……誘ってくれるのは光栄だが、公務ってのはガラじゃないな。オレはやっぱり自由気ままに冒険者をやっているほうが性分に合う。ただリューク、お前にはさんざん世話になってるし、オレが役に立つなら力になってやりたい。結論はもう少し待っててくれよ」

「ありがとう。まあ何はともあれ、まずは異世界人たちをなんとかしなくちゃな。早速王都からお呼びがかかってるし」

 ザックは返答を保留してくれた。
 オレとしても急がなくていいしな。それよりも、今はやることがある。

 実は王都に行くために、今日この領地を出立しなくてはならなかった。
 国王会議の準備が整ったという連絡が王都から来たからだ。
 これはオレを各国の王様に紹介するためではなく、異世界人の侵略に対して、緊急に対策会議を行うかららしい。その会議にオレも出席してほしいとのこと。

 ただ、オレは少々困っている。
 アニスが故郷に向かってから、まだ帰ってきてないのだ。
 病床の母親を治療するため戻ったのだから、こっちに帰ってくるのは、早くても1週間後だろう。オレとしてはアニスが帰ってきてから王都に行きたかったが、この緊急事態でそんなわがままを通すわけにはいかない。
 国王会議なんて、簡単に延期してもらえるものじゃないしな。

「そろそろ出発の時間だろリューク? 残ってる仕事はオレたちに任せて、世界を救いに行ってこいよ」

「世界を救うか……オレの力がどこまで役に立つか分からないが、やれるだけやってみるよ」

 オレはそう返事して、書斎をあとにした。
 そして、外で待っていたジーナ、ユフィオ、キスティー、レムと合流する。

「リューク、もう出発準備は整ってるわよ。でもアニスさんがまだ帰ってきてないけど、待たなくていいの?」

 オレに気を遣っているのか、心配そうな顔で訊いてくるジーナ。

「ああ、世界の緊急事態だ。オレの都合で王様たちを振り回すわけにはいかないさ」

「まったく、またしても『剣姫』と一緒になれないなんて、リュークも不運だな。もしかしたらそういう宿命かもしれないぜ?」

「そうですマスター。運命の相手は、いつだって近くにいるものですよ。ワタシのように」

 ユフィオとレムが余計なひとことを言う。
 あ~うるさい! オレだって、何故こうもアニスとの仲を引き裂く出来事が起こるのか、運命を少々呪ってるところなんだ。
 現実を再認識して、オレは思わず肩を落とす。

「大丈夫よリューク、あなたには私たちがいるわ。あなたが元気になるならなんでもするから、いつでも私たちを頼ってね」

「あ……ありがとうキスティー」

 キスティーの厚意を素直に受け取っていいのか一瞬悩んだあと、一応お礼を言った。
 ちなみに、レムがゴーレムだということは、すでにジーナたちには説明済みだ。
 3人とも声も出ないほど驚いていたんで、やはりレムの正体がバレるのだけは気を付けようと思う。

 というわけで、アニスの帰りを待つことなく、オレたちは王都に向かって出発したのだった。
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